10日(現地時間)に訪れたトルコ・イズミル州の古代都市エフェソス。2000年の歳月を湛えた大理石の通りでは英語、中国語、韓国語が途切れなく飛び交っていた。アルテミス神殿やケルスス図書館などの古代遺跡を見ようと世界各国から訪れた観光客だった。観光客は大型映像と立体音響で構成した「エフェソス体験博物館」で、2000余年前のローマ時代の通りや市場、アルテミス神殿も見学した。
トルコが観光を国家経済の前面に押し出している。経済を支えてきた繊維・衣料産業の価格競争力低下と大理石産業の成長鈍化を補う手段として観光を選んだ。豊富な文化遺産を土台に、イスタンブールなど世界中の人々が訪れる都心を整備し、観光客の滞在期間と支出を伸ばすことに注力している。
観光の台頭は伝統的製造業の成長鈍化と歩調を合わせている。トルコの衣料輸出は2022年に212億ドル(約2兆8000億ウォン)でピークを付けた後、昨年は168億ドル(約2兆2500億ウォン)と21%減少した。高インフレで賃金と原材料費が上昇したが、リラの下落幅はそれに及ばず価格競争力が低下した。価格を引き上げれば受注を失い、据え置けば収益性が悪化する状況だ。
大理石を含む天然石産業も世界的な地位に比べ成長が鈍い。トルコは世界の天然石輸出市場の11.6%を占める世界3位の輸出国だが、輸出額は2013年の22億3000万ドル(約3兆ウォン)から昨年の21億ドル(約2兆8000億ウォン)へと10年以上停滞している。
中核産業の成長が鈍るなか、トルコは観光を新たな柱として育成している。「観光マスタープラン2024〜2028」も策定した。文化観光省は今年の観光収入目標を680億ドル(約91兆4000億ウォン)と示した。
観光振興開発庁(TGA)を中心に国家ブランドを発信しつつ、既存の文化遺産に観光コンテンツを上乗せしている。2023年に開館した古代都市エフェソスの体験博物館が代表例だ。トルコSuNAM部のデニズリ州パムッカレでは、2017年に気球ツアーを導入したのに続き、2024年から石灰棚とヒエラポリス遺跡を夜間も開放した。昼と地上にとどまっていた観光の時空間を空と夜へと広げた。
文化遺産コンテンツを拡張する一方で、欧州とアジア、アフリカを結ぶイスタンブール都心もきめ細かく管理している。8日に訪れたイスタンブールの主要観光地では、オレンジ色の車に乗った「観光警察」が目を引いた。
道に迷ったり危険な状況に直面した観光客が遠くからでも容易に見分け、迅速に助けを求められるよう、車両と制服に視認性の高いオレンジ色を採用したという。観光警察は主要観光地を巡回し、道案内から紛失・窃盗などの事件まで担当する。
現地でガイドとして働くギュベン・デュゼンリ氏は「どの国にも泥棒はいるので金はしっかり管理すべきだ」としつつも、「ただトルコは欧州内の他国ほど泥棒が有名だと知られておらず、都心の安全管理を徹底している」と説明した。
治安だけでなく、観光客の目に映る都市の表情も整えた。タクシム広場やアヤソフィア一帯など観光客が多く集まる通りは、おおむね清潔に整理されていた。歩道に捨てられたごみは見当たりにくく、店舗周辺もすっきりしていた。日中も環境美化員が路上にたまったごみを片付け、通りを整備した。
ドイツから来たというミハエル氏は「通りが汚いだけで旅のストレスになるが、観光客で混雑する場所が予想よりもきれいで、落ち着いて見て回ることができた」と語った。