ネパール・ラスワ地域で発生した突発的な洪水。/Xキャプチャー

先月ネパールを襲った大規模洪水を機に、気候変動による氷河融解の問題が地球規模の災害要因として浮上している。雪山の氷雪が溶け落ちて大規模な土砂崩れを起こし多数の人的被害を出した今回の事故は、温暖化による融解の加速が単なる環境イシューにとどまらず、実質的な災害へつながり得ることを示した。

融解はヒマラヤだけの問題ではない。極地でも氷は速い速度で溶けている。最近、北極地域の融解速度を左右する変数の一つとして、北極航路の利用拡大が指摘されている。李在明政府が推進中の北極航路開発も、気候変動への対応という観点から伏兵に直面し得るとの観測が出ている。

◇北極時代に備える政府…外交の波を越えると気候問題に直面

0日海洋水産部によると、政府は来年の北極航路開拓および砕氷研究船建造など北極時代に備える予算として約1000億ウォンを編成した。今年は北極航路の試験運航に乗り出して第一歩を記したが、来年は長期開拓を本格的に推進するというのが政府の計画だ。

政府は来年、北極関連国との協力ガバナンスを構築するなど、航路開拓の基盤も整える予定である。これまで北極航路の開拓過程で外交問題が足かせとなったことを考慮したとみられる。

ウクライナ戦争を起こしたロシアに対し国際社会が強力な制裁を科す中、対ロ協力が不可避な北極航路の開発は、韓国社会がロシア制裁の隊列から離脱するシグナルを与え得る。政府は周辺国との積極的な外交で試験運航までこぎ着けたが、今回のネパール大洪水により覆い隠されていた環境問題が水面上に浮上した。

北極航路の利用が北極の融解を加速し気候変動をあおるという指摘は、これまで科学・環境界から一貫して提起されてきた。航路を通過する船舶が排出する炭素と砕氷活動で流氷が溶ける。暗い海水面は白い氷の表面より太陽熱を多く吸収する。吸収した熱が周辺の温度を上げ、これが結局気候変動を加速するというのが科学・環境界の主張だ。

船舶が北極航路を利用すると、なぜ氷は早く溶けるのか。第一の要因は「ブラックカーボン」だ。北極海域を運航する船舶から出た煤が流氷の表面に積もると、白い氷が黒く変わって太陽光反射率(アルベド)が下がり、その分多くの熱を吸収して融解が早まる。

北極航路の試験運航コンテナ船「パンスタ・アクロ号」が先月31日に北極海へ入り運航している。船首前方に流氷が見える。/海洋水産部提供。

◇北極航路を利用するほど融解がさらに速まるというが

船舶が運航しながら流氷を物理的に砕く過程も、融解を早める要因に挙げられる。船舶が極地を運航する際には、流氷と衝突する直接の砕氷と、波力による間接の砕氷が発生する。細かく砕けた流氷は海面と接する面積が広がり、より早く溶ける。

さらに氷が溶けてその量が減るほど、波による融解は一段と速くなる。2022年にニュージーランドのオタゴ大学のモクス・モンティエル研究チームは、国際学術誌クライオスフィア(The Cryosphere)に発表した論文で、砕けた氷が融解に一層脆弱になり、これにより局地的に「流氷密集度」が低下して波がより伝播しやすくなり、再び破砕を促進するフィードバック構造が形成されると説明した。とりわけこの破砕・融解の加速効果は夏から秋にかけて顕著であり、これは現在の北極航路の運航時期(7〜10月)と重なる。

結局、北極航路の利用が増えるほど融解は速まり、氷が早く溶けるほど運航可能期間が延びて北極航路を利用する船舶が増えるという「悪循環の輪」が形成されることになる。

政府もまた、北極航路の開拓がもたらす地球温暖化の問題を認識している。政府は環境配慮型船舶の利用などの方策で北極環境への影響を最小化する方針だ。南在賢海水部次官は1日、予算案ブリーフィングで「北極航路への船舶投入が氷が溶ける直接的な原因ではない」と線を引きつつも、ブラックカーボンなど船舶燃料の飛散物質が北極海に堆積して汚染を深刻化させ得る点は認めた。南在賢は「これを防ぐため今回の試験運航でも環境配慮型燃料を使用した」とし、「北極航路の経済的な部分を活用しつつ、環境保護の側面でも韓国が役割を果たせるよう事業を推進する」と述べた。

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