国家人権委員会(人権委)は「世界強制失踪犠牲者の日」に合わせ、国会に関連法案の可決をあらためて促した。
29日、人権委によると、今年は国連(UN)が「強制失踪からすべての人を保護するための国際条約(強制失踪防止条約)」を採択してから20周年に当たる。強制失踪とは、国家機関またはそれに関連する行為者が人を逮捕・拘禁・拉致するなどして自由を剥奪した後、その事実を認めなかったり、その人の生死または所在を隠蔽することで被害者を法の保護の枠外に置くことをいう。
6・25戦争(朝鮮戦争)前後の拉北者や未送還の国軍捕虜、北朝鮮抑留者なども強制失踪の代表的事例である。人権委は、強制失踪は身体の自由、生命権、人間の尊厳など複数の基本権を長期にわたり毀損する重大な人権侵害だとした。失踪者だけでなく、家族が希望と絶望を長年繰り返さざるを得ない問題でもある。
これを受け韓国も2022年に「強制失踪防止条約」を批准し、2023年から発効した。しかし、被害者の真実を知る権利と正義を実現する権利、賠償と回復を受ける権利が実質的に保障されるよう法的・制度的装置が必要だが、関連法案2件はなお立法手続きが終わっていない。人権委は昨年7月、国会議長に対し関連法案の早期可決が必要だとの意見を表明した経緯もある。
とりわけ韓国政府は強制失踪防止条約に関する最初の国家報告書を提出し、国連強制失踪防止委員会は今年3月に争点目録を採択した。政府は2027年3月までに争点目録に対する回答書を提出しなければならない状況だ。
人権委は「強制失踪防止条約採択20周年を迎え、政府と国会が条約の完全かつ実効的な国内履行に向け、より積極的に取り組むことを促す」と述べた。
あわせて「条約履行に必要な法律を速やかに整備し、被害者が真相究明と被害回復のすべての過程に参加できるようにし、今後だれも強制失踪の被害者とならないよう予防体制を継続して強化すべきだ」と述べた。
人権委は「強制失踪の被害者と家族の声にいっそう耳を傾け、なお未解決の強制失踪問題を被害者の視点から重ねて点検する」と述べた。