李在明政権の核心国政課題の一つである「北極航路」開拓に向けた初航海が22日に始まる。釜山を出発した船舶はロシア・シベリア北側の沿岸を経て英国、オランダ、ポーランドなどを回った後、釜山に戻る予定だ。これを皮切りに政府は5年間の試験運航を経て2030年から商業運航を開始する計画である。
◇欧州航行を20日短縮…国内初の北極航路運航、45日間の旅程開始
海洋水産部は22日から「北極航路開拓を通じた新(新)貿易ルート先取り」の一環として、北東航路コンテナ船の試験運航を実施すると20日に明らかにした。
北極航路は欧州へ向かう北東航路(NSR)、北米へ行く北西航路(NWR)が代表的だ。政府はこのうちロシア・シベリア北側の沿岸を経由して欧州へ向かう北東航路を運航する計画である。海水部によると、北東航路を利用した場合、釜山港からオランダ・ロッテルダム港までの航行距離は約1万3000㎞だ。20日余りで航行できる。これは既存のスエズ航路(約2万㎞)と比べ約7000㎞短い。また喜望峰航路(約2万6400㎞)の半分水準だ。時間ではそれぞれ10日、20日ずつ短縮できるということだ。
これまで北極航路は厚い海氷のため運航が難しかった。運航するには夏季か、前方で海氷を砕く支援砕氷船がともに航行しなければならなかった。このように運航すると単独運航と比べて収益性が低下せざるを得ない。しかし気候温暖化と航海技術の発達により、冬季でも単独運航が可能になった。今年8月15日基準の北極海氷面積は約561.9万㎢で、衛星観測を開始した1979年以降9番目に低い水準を維持している。
とりわけ最近の中東戦争でホルムズ海峡が封鎖されるなど、多様な航路開拓の必要性も提起されている。
今回の試験運航にはパンスタラインドットコムの2758TEU(1TEUは20フィートコンテナ1台分)級コンテナ船「パンスタ・アクロ(Panstar Acro)号」が投入される。総3万5708トン級で、2011年に中国・広州の遠東(元の表記: GUANGZHOU WENCHONG SHIPYARD)造船所で建造された。
この船舶は釜山を出発し、ロシア・シベリア北側沿岸を通る北東航路(NSR)を経由して英国フェリックストウ、オランダ・ロッテルダム、ポーランド・グダニスクなどに順次寄港する。その後、グダニスクから直ちに釜山港まで復帰する予定だ。海水部が想定した全体の運航期間は45日だ。ただし北極海域の気象条件などによって変わる可能性がある。
具体的には北極海域への進入時点は今月30日と見込む。その後、約8日間の運航を経て9月7日ごろ北極海域を通過することを目標とする。北極海の航行距離は計6400㎞だ。初寄港は9月9日ごろのフェリックストウ港を皮切りに、同月11日にロッテルダム港、15日にグダニスク港に順次立ち寄る。その後、同じ経路を通って10月5日ごろ釜山港新港に戻ることを目標とする。
◇化学製品・自動車・部品などの貨物を輸送…5年の試験運航、2030年の商業運航を目標
今回の北極航路運航に投入される船舶には、45のフォワーダーを通じて確保した85の荷主企業の輸出貨物が積載される。貨物約737TEUと空(から)コンテナ100個など、計837TEUの分量だ。貨物は化学製品の比率が43.4%(363TEU)で最も多く、中古車(141TEU・16.8%)、自動車部品(113TEU・13.5%)、金属製品(48TEU・5.7%)の順である。
今回輸送される物量は当初海水部が明らかにした水準より少ない。海水部は7月に北極航路運航のために1300TEUの貨物を確保すると明らかにしていた。空コンテナを除くと実際に輸送する貨物はおよそ半分に減ったことになる。
イスホ本部長(海水部北極航路推進本部長)は「6月ごろから貨物需要の調査を行ったが、船舶を準備するのに時間がかかったため、実需より少ない量で出航することになった」としつつ、「(初運航で)この程度の貨物を用意し、営業して確保できた部分にも意味があると考える」と述べた。
続いてイスホ本部長は今後の運航品目について「試験運航完了後に運航に適した貨物需要を発掘し、物流会社や船会社などと合意していく」と語った。
海水部は今回の試験運航を通じて、北東航路の航行距離と所要期間、燃料消費量、運航費用などを分析できる実証データを確保する計画だ。これを活用して北極航路活性化のための政策課題を発掘する計画である。5年間の試験運航を経て2030年の商業運航を目標としている。
ただし外交関連の状況による変数が生じるとの懸念も出ている。北極航路を利用するにはロシアとの協力が不可欠だ。欧州諸国はウクライナと戦争を続けるロシアへの制裁を強化している。これに韓国政府が推進する北極航路試験運航事業をめぐり、西側諸国が不快感を示しているとの海外報道もあった。
イスホ本部長は「試験運航のために(ロシアの)関連機関と協議を終えた」とし、「国際協約と規範を順守する」と述べた。
◇「安全」を最重要に…専門教育を修了・極地運航のベテランが乗船
海水部は船会社とともに安全を最優先に置いて試験運航を準備してきたと明らかにした。国内初のコンテナ船による北東航路運航であるうえ、韓国の船会社が北東航路運航を再開するのも2016年以来10年ぶりであるためだ。
これによりパンスタ・アクロ号に乗船する船長と航海士は全員、極地海域運航のための専門教育を修了した。とりわけ極地運航の経歴があるアラオン号の現職航海士が一等航海士として船長を補佐する。アラオン号は極地研究所が運用中の国内唯一の砕氷研究船である。
運航中に発生し得る変数に対応できるシステムも構築した。船舶と24時間常時の連絡体制を維持し、緊急状況の発生時には国際協約などに従って迅速に措置する計画だ。イスホ本部長は「試験運航を行う地域は高緯度海域であり、リアルタイム通信のためには低軌道衛星装備も必須だ」とし、「船舶と状況室などを通じてリアルタイムで疎通できるシステムを整えた」と述べた。