「きのう雨が一時的にやんだ隙に家へ入ってシンクを拭いたが、ウェットティッシュを1本丸ごと使い切った。」

21日午前、インチョン西海区シンヒョン小学校体育館。薄いレモン色のテントの前に座っていた70代の住民A氏は、粉じんが降り積もった家の中を思い浮かべてため息をついた。A氏は西海区ソンナム洞のクーパン32物流センターで火災が発生した18日から、ここ仮設避難所で生活している。

3日以上にわたる避難生活で体は疲弊しきっている。A氏は「体重も2kg以上減り、ほこりのせいか声も以前のようではない」と述べ、「火は収まったというが、家に戻って生活できるのか心配だ」と語った。

クーパン32物流センター火災の大きな火の手は、発生から61時間後の20日午後8時ごろに鎮まった。19日から発令されていた住民避難命令も同日午後11時に解除された。しかし100人を超える住民は依然として学校の体育館に設けられた仮設避難所を離れられずにいる。残り火の処理が続くうえ、家の中まで染み込んだ煙と粉じんのため、すぐに日常へ戻るのが難しいからだ。

21日、インチョン・ソヘグのシンヒョンブク小学校内に設けられた仮設避難所にテントがぎっしり並んでいる。/カン・ジョンア記者

◇30人が帰宅したが新規入所が続く

シンヒョン小学校の体育館の床には、オレンジ色のテント数十張が列をなしていた。テントの間を西海区庁とインチョン教育庁、大韓赤十字社、クーパン関係者が忙しく行き来し、住民の不便事項を確認した。

一方では、閉塞感と不安を訴える住民が赤十字社の職員と相談を受けていた。区庁の職員は新たに入所しようとする住民に割り当てる空きスペースを探すと同時に、昼食用の弁当を配る準備をした。

一人でテントに滞在していた高齢者には、ほかの住民と空間を共有できるかどうか了承を求めた。テント1張の定員は4人だが、家族構成や住民の事情に応じて配置を継続的に調整する必要があった。

21日、インチョン・ソヘグのシンヒョン小学校内に設けられた仮設避難所で、住民が昼食の弁当を受け取っている。/カン・ジョンア記者

仮設避難所はシンヒョン小とシンヒョン北小、シンヒョン女子中など3カ所に設けられた。この日午後1時時点で、シンヒョン小には54世帯80人、シンヒョン北小には55世帯90人、シンヒョン女子中には15世帯20人の計190人が滞在していた。

避難命令解除前の202人と比べて大差はない。避難命令が解かれた後、住民約30人が自宅へ戻ったが、新たに避難所を訪れる住民も続いたためだ。長時間続いた火災で煙と粉じんが近隣の居住地域まで広がり、遅れて家を離れた住民も少なくなかった。

◇「喉がしゃがれて言葉も出にくい」

避難所では、喉の痛みや頭痛、消化不良などを訴える住民を難なく見つけることができた。

シンヒョン北小の仮設避難所に滞在している60代の住民B氏は、かすれた声で「喉がひどくしゃがれて言葉もなかなか出ない」と述べ、「消化もできず頭も痛く、毎日薬を飲んでいる」と語った。

仮設避難所の住民はこの日午前までに計230件の健康診療と相談を受けた。火災と避難生活による不安を訴え、心理安定を要請した事例も58件だった。

21日、インチョン・ソヘグのシンヒョン小学校内の仮設避難所で、ソヘ区庁職員や大韓赤十字社の職員がテント周辺で待機し住民の様子を見守っている。/カン・ジョンア記者

住民の健康異常の訴えが続くなか、生活・医療支援も継続している。大韓赤十字社は応急救護セットや非常食、毛布などを支援している。クーパンフルフィルメントサービス(CFS)は専門の看護人員を常駐させ、住民の健康状態を見守っている。

シンヒョン女子中の体育館の外には、移動式心理相談車両の「マウム安心バス」も配置された。住民はここで火災後に経験する不安や抑うつ感、ストレスなどに関する相談を受けていた。

◇粉じんに落下物の危険まで…帰宅時期は不透明

煙と粉じんだけでなく、物流センター建物の追加の安全事故への懸念も、住民の帰宅を難しくしている。

この日、西海区一帯に強風が吹き、クーパン32物流センター外壁の鉄製構造物の一部が落下した。西海区は午前に安全案内のショートメッセージを送り、「豪雨と強風によりクーパン物流センターの構造物の一部が落下する危険がある」として、周辺区間への接近と通行を控えるよう呼びかけた。

避難命令は解除されたが、住民がいつごろ自宅へ戻れるかはいまだ不透明である。仮設避難所をいつまで運営するかも決まっていない。

西海区庁の関係者は「仮設避難所は避難命令と別に住民支援のために設けた施設だ」と述べ、「現時点では運営期限を別途定めていない」と語った。

火災が起きた物流センターでは消火作業が続いている。国家消防動員令は解除されたが、消防当局は対応2段階を維持したまま、建物内部の残り火を処理している。

消防当局は消火を終え次第、正確な火災原因と被害規模を調査する予定だ。「中央火災合同調査団」を組織し、火が始まったとみられる物流センター6階の施設を精密鑑識し、火災再現実験も進めることにした。

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