「極左企業ですか?買わない。」
14日、ある食品会社のインスタグラム投稿に付いたコメントである。だし製品を宣伝する投稿には「失望だ」「不買する」など会社を批判するコメントが260件余り付いた。
この会社が最近ソーシャルメディア(SNS)で共有された、いわゆる「極左企業」名簿に含まれたことが発端だった。進歩(リベラル)系の政治ポッドキャストに広告を出稿したという理由だった。
会社は「ターゲット層である中高年層の視聴者が多い媒体に広告を出稿しただけで、政治的志向とは無関係だ」と釈明したが、反発は続いた。
SNSとオンラインコミュニティを中心に、消費財企業の過去の活動や広告・協業の履歴などを追跡して政治的傾向を判別しようとする動きが拡散している。「愛国企業」に分類された会社には製品購入を促し、「反国家企業」と指摘されたところには集団抗議と不買運動を行う構図だ。
◇「愛国企業」名簿が拡散…実際の売上増につながる
この日、SNSとオンラインコミュニティでは、いわゆる「愛国企業」リストが活発に共有された。国家有功者を支援したり国産原料を使用するなど、肯定的な活動が知られた企業の名簿である。製品を購入して当該企業を応援する、いわゆる「ドンッチュル」消費を促そうという趣旨だ。ドンッチュルはお金(ドン)と懲らしめ(ホンチュル)を合わせた造語である。
こうした消費者の動きは実際の売上増にもつながった。かに風味かまぼこ製品「クレミ」を生産する水産物加工会社Hansung Enterprise(003680)が代表的だ。同社が6・25戦争(朝鮮戦争)参戦勇士のための慈善イベントを継続的に行ってきた事実が知られ、6〜9日のオンライン売上が平時より40%増加した。同期間の自社モール会員数も42%増えたと伝えられた。
反対にオンライン上では特定企業を批判したり不買を促す名簿も拡散している。最近、化粧品ブランドのアイソイは「625%浸透」という広告文句が6・25戦争と参戦勇士を卑下したという論争に包まれた。
消費者の抗議と不買の動きが続くと、会社側は公式謝罪文を出した。オリーブヤングやKurlyなど主要流通プラットフォームでは当該製品の販売が中断された。
◇「タンクデー」論争が火種に…流通業界は薄氷の上
最近燃え上がった政治的消費運動の背景には、スターバックスの「タンクデー」プロモーション論争があるとの分析も出ている。
スターバックスは5月18日にタンブラーの割引イベントを実施する際、「タンクデー(Tank Day)」「机にタク」などの文句を使用して批判を受けた。その後不買の動きが拡散し、今年6月のスターバックスのクレジット・デビットカード推定決済額は1003億9000万ウォンと集計された。前月より208億ウォン(17.2%)減った規模だ。
不買運動に同調している消費者A氏は「スターバックスのタンクデー論争が経営陣の謝罪と全社的な歴史教育にまでつながったことは納得し難かった」と述べ、「5・18民主化運動だけでなく、6・25戦争や延坪海戦など他の歴史的事件にも同じ基準が適用されるべきだと考える」と語った。
企業はマーケティング文句やプロモーションが思わぬ形で政治的意味に解釈される可能性を警戒している。ある流通業界関係者は「最近はマーケティングやプロモーションに政治的意図が込められているとの誤解を受けないよう、企画から実行まで全過程を徹底的に検収している」と述べ、「論争を懸念して大胆または攻撃的なマーケティングを展開しにくくなっているのも事実だ」と語った。
◇政治の二極化が蓄積…不買運動も『イデオロギー消費』に
専門家は、政治的二極化が日常と消費領域にまで広がっていると分析する。過去の不買運動が、企業の優越的地位の乱用や環境破壊、労働問題など非倫理的行為に対する消費者の対応として展開されたのに対し、最近は企業の政治的・イデオロギー的傾向に対する判断が購入と不買を分ける基準として作用しているということだ。
ク・ジョンウ成均館大学社会学科教授は「政治的イデオロギー対立が社会全般に広がり、市民の日常的な消費活動にまで影響を及ぼす事例だ」とし、「過去に歴史問題を契機に展開された『ノー・ジャパン(No Japan)』運動が、現在の政治・社会的雰囲気に合わせて新たな形に進化したとみることができる」と述べた。