ストーキング被害を申告した後、スマートウォッチの支給と接近禁止措置まで受けていた60代女性が、元交際相手の振り回した刃物で死亡した。被害者がスマートウォッチで緊急通報した後、警察が3分で現場に到着したが、犯行は阻止できなかった。当該被疑者が高リスク管理対象に分類されていなかった事実も確認され、ストーキング被害者保護体制の実効性をめぐる論争が拡大しそうだ。
6日警察によると、50代男性A氏は前日午前2時51分ごろ、ソンナム市チュンウォング・サンデウォンドンの路上で、元交際相手の60代女性B氏を刃物で複数回刺して殺害した疑いがある。
日雇い労働者のA氏は、B氏の退勤時間をあらかじめ把握したうえで凶器を準備し犯行に及んだとみられる。2人は約4年間交際した後に別れた関係だと把握された。
B氏は犯行当時、警察から支給されたスマートウォッチで緊急通報した。警察は通報受理から約3分後に現場へ到着した。B氏は病院に搬送されたが、同日午前5時37分ごろ死亡した。
A氏は犯行直後に自傷し、病院で治療を受けている。警察はA氏の治療が終わり次第、逮捕状を請求する計画だ。
今回の事件に先立ち、B氏は先月8日「A氏が嫌がらせをしている」という趣旨で112に通報していた。警察は当時、暴行はなく、B氏が事件受理を望まなかったと説明した。警察は2人を分離した後、A氏に対しB氏に接近しないよう警告状を送付した。
その後A氏は先月8日から9日にかけてB氏にSMSを8件送り、15回の電話を試みた。B氏は電話には一切出なかった。SMSには「なぜ警告状を送るのか」「どうしてそうするのか」などの抗議の内容が含まれていたとされる。
B氏はその後、A氏をストーキング処罰法(韓国のストーカー処罰法)違反の疑いで告訴し、警察からスマートウォッチの支給を受けた。警察はA氏に対し、電気通信を用いた接近を制限する緊急応急措置と、暫定措置1〜3号を申請した。
警察の女性青少年課と担当捜査官、被害者保護チーム(APO)はその後、B氏の状態を確認しながらモニタリングを進めた。最後の連絡は1日に行われ、当時B氏は安全な状態と記録された。
警察はB氏のストーキング被害等級をA等級に指定し、週1回の電話モニタリング対象として管理した。しかし被疑者のA氏は、リスク体系3段階のうち高リスク管理対象には指定されていなかったとみられる。
警察はストーキング被害予防マニュアルに従い必要な措置を講じたという立場だ。しかしスマートウォッチの支給と接近禁止措置があったにもかかわらずB氏が殺害されたことで、保護措置が十分だったのかについて批判は避けられない見通しだ。
一方でA氏には2009年の暴行前科があったことも確認された。ただし警察は、17年前の事件でありB氏と直接の関連はなく、B氏に関する通報履歴も先月8日の1回だけだったと説明した。
現在A氏は病院で治療を受けており、追加手術を控えるなど重体とされる。