夏の果物といえば真っ先に思い浮かぶのがスイカである。ソンジュ、コチャン、ムドゥンサン、ウムソン(メンドン)など、韓国各地には名の知れたスイカの産地がいくつもある。その中で慶尚南道ハマンは主要産地の中で最も早い時期にスイカを市場に出す産地として挙げられる。他地域より出荷が約1カ月早いのが特徴だ。

ハマンのスイカは「早出しスイカ」という特徴だけではない。歴史も古い。ハマンでは朝鮮時代からスイカを栽培し、宮中に献上したと伝わる。洛東江と南江が合流する地理的特性により川沿いに肥沃な土壌が発達し、豊富な日照も加わってスイカ栽培に適した環境が整った。

写真は現代百貨店パンギョ店地下1階の食品売り場でスタッフが「ハマンスイカ」を紹介している。/現代百貨店提供

◇高麗時代に朝鮮半島へ入ったスイカ、ハマンでは朝鮮時代からの進上品

スイカの原産地はエジプトとされる。砂漠地帯でスイカは単なる果物ではなく、水が不足する際に水分を補う「水筒」のような存在だった。エジプトで始まったスイカは中東と中央アジアを経て東アジアへ広がり、朝鮮半島には高麗時代に入ったと推定される。

ハマンのスイカは地域の自然条件と栽培技術が結びつき、代表的特産品として定着した。ハマンは昼夜の寒暖差が大きく、糖度の高いスイカの生産に向く。とりわけ11月から翌年2月までの平均気温が2.1度で、他産地より温暖な部類だ。ここに早生品種の普及と施設栽培の拡大が加わり、冬のスイカ生産も活発になった。韓国の冬スイカの70%がハマンで生産されるほどだ。

品種も多様化した。マンゴーのように細長い楕円形で黄色い果肉を持つ「マンゴースイカ」、黄金色のヒョウ柄模様が特徴の「黄金スイカ」、黒く薄い皮を持つ「黒米スイカ」、黒い皮で種がない「ファッションスイカ」などが代表的だ。従来の縞模様スイカを越え、色や形、食感の異なるスイカが消費者の選択肢を広げている。

ハマンでは毎年5月に世界スイカ祭りも開かれる。本格的な夏の収穫期より先に祭りを開くのは、早期出荷されるハマン産スイカの強みを知らせるためだ。祭りではスイカ品評会、種飛ばし大会、スイカカービング大会など、スイカを活用した多様な催しが開かれる。2012年に初めての祭りを始めて以降、新型コロナウイルスのパンデミック期である2020〜2021年を除き毎年続いている。

早く出荷され品種まで多様化したハマンのスイカは、いまや単なる夏の果物を越え、地域ブランドになった。清涼で甘い味わいだけでなく高い水分含有量と栄養成分も、スイカが夏の代表的果物として愛される理由である。

ハマン地域で生産される多様なスイカ品種。/ハマン郡庁提供

◇水分90%超の夏の果物…渇きの解消と暑気払いに役立つ

スイカは90%以上が水分で構成される。汗を多くかく夏の水分補給に役立ち、体温を下げて渇きを癒やすのにもよい。古くからスイカが「天然の解熱剤」と呼ばれたのもこの特性による。

東医宝鑑にはスイカが「西瓜」という名前で登場する。ホ・ジュンは、スイカが渇きを癒やし熱を下げ、利尿を促すのに効果があると記した。夏の暑気を払う薬材と見なしたのである。本草綱目にも西瓜が暑気を収め、利尿作用を助けるという内容が含まれている。

スイカの赤い果肉には抗酸化物質のリコピンが豊富だ。リコピンは細胞損傷を抑え、老化防止や心血管の健康に役立つ成分として知られる。紫外線による皮膚損傷を和らげるうえでも肯定的な影響を与えうる。

スイカに含まれるシトルリンは血管拡張と老廃物の排出を助ける成分だ。体がむくみやすい夏のむくみ緩和に役立つ可能性がある。ビタミンAとC、カリウム、マグネシウムも含み、夏の疲労回復にもよい。熱量は100g当たり約30㎉と低い部類だ。

ただしスイカにも糖分は含まれる。糖尿病患者や血糖管理が必要な人は一度に多く食べるより摂取量を調整するのがよい。冷やして保存したスイカは暑気払いに向くが、過度に食べると血糖負担や腹部の不快感を招く可能性があるため、適量を食べるのが望ましい。

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