12日、全羅南道モクポのサンジョン農工団地にあるKOREAMADE工場の岸壁。東遠産業の遠洋漁船「ダヌリ(DANURI)号」の建造作業が最盛期だった。甲板上では作業員が配管を点検しており、船内では食堂として使われる空間の仕上げ工事が進んでいた。
ダヌリ号は東遠産業が老朽遠洋漁船の更新のために新たに発注した2000トン級のマグロ巻網船である。東遠産業は2024年5月、KOREAMADEと2000トン級巻網船2隻の新造契約を結んだ。巻網船は長方形の網でマグロなどの魚群を取り囲んで漁獲する船だ。超大型の漁網を用いるマグロ巻網船は主にカツオとキハダマグロを漁獲し、遠洋漁船の中でも設備水準が高い船とされる。
◇8月引き渡し予定…遠洋漁船で初の遠隔モニタリング搭載
ダヌリ号は3月30日に進水を終え、現在は仕上げ作業を進めている。引き渡し予定日は8月30日だ。2番船は来年の引き渡しを目標に、モクポのサプジンサンダンにあるKOREAMADE工場で船体ブロックの製作が行われている。
ダヌリ号には遠洋漁船として初めて遠隔モニタリングシステムが搭載される。陸上からも船舶の状態をリアルタイムで確認でき、現場密着の管理が可能で、安全事故の予防にも資する見通しだ。船内の居住施設も既存の遠洋漁船より改善した。長期間外洋で操業する乗組員の休息環境を最大限確保するためである。
遠洋漁船の老朽化は乗組員の安全と操業競争力を同時に低下させる要因だ。海洋水産部によると、韓国の遠洋漁船の80%は船齢が30年を超える。古い船は内部空間が狭く、食堂・寝室など生活環境も劣悪な場合が多い。一度出航すれば1年近く船で生活しなければならない乗組員にとって、老朽化した船内環境は大きなストレス要因となる。
新造船の投入は漁獲物の品質と費用の両面でも効果がある。新型の冷凍設備と魚倉は、捕獲した魚の鮮度を維持するのに役立つ。新型エンジンを搭載すれば燃料効率を高めて運航費用を抑え、炭素排出量も減らすことができる。
問題は費用である。東遠産業が発注した巻網船の建造費は1隻当たり500億ウォンだ。2隻を新造するのに総額1000億ウォンが投じられる。東遠産業が韓国を代表する遠洋漁業会社の一つではあるものの、船舶の新造費は船社にとって小さくない負担だ。
◇建造費の半分を無利子支援…安全ファンドで10隻新造
政府はこうした負担を軽減するため「遠洋漁船安全ファンド」を運用している。東遠産業もダヌリ号の新造契約を結ぶにあたり、安全ファンドの支援を受けた。船舶建造費の半分に当たる250億ウォンについて、政府ファンドが利子負担を和らげる仕組みだ。
海洋水産部は遠洋漁船の安全性と乗組員の福利向上のため、2019年に安全ファンド事業を導入した。老朽船を代替建造する船舶に対し、建造金額の最大50%を15年間の無利子融資の形で支援する。条件は3年据え置き、12年返済である。
現在までに安全ファンドの支援を受け、合計8隻の遠洋漁船が建造され、2隻が建造中だ。支援金の返済が終わるまでは「セゲロファンド(世界へファンド)」が船主の役割を担い、返済が完了すれば所有権を船社に移す構造である。
今年は東遠産業、サジョ産業と並び韓国の三大遠洋漁業会社とされるSillaも安全ファンドの支援を受け、新規の巻網船を建造する予定だ。ただしSillaは国内の造船所ではなく、台湾の企業と新造契約を調整中とされる。
業界の一部では、政府支援を受ける新造事業が海外の造船会社に向かうことへの惜しむ声も出ている。政府資金が投入される以上、国内造船所の受注確保と連携する必要があるとの指摘だ。これに対し海洋水産部の関係者は「国内造船所の受注確保の観点から、投資審議委員会の審査時に国内造船所と契約する企業に加点している」としつつも、「海外企業との契約を制限しているわけではない」と述べた。
政府は遠洋漁船安全ファンドのモデルを参考に、沿岸・近海漁船の近代化事業も推進する計画だ。遠洋漁船だけでなく沿岸・近海漁船も高齢化と人手不足、安全問題を抱えているため、船舶の大型化・近代化が必要だとの判断である。ファン・ジョンウ海洋水産部長官は先月14日の記者懇談会で「漁船の大型化・近代化に向けた沿近海漁業の構造革新方案も用意し、水産業の体質改善を急ぐ」と語った。