全羅南道シナンのイムジャでは代表的な水産物3種を挙げて「イムジャ3味」と呼ぶ。イムジャ3味にはニベ、セウジョッ(塩辛)、そしてマナガツオが挙がる。
マナガツオは夏の代表的な水産物の一つである。シナンのイムジャとフクサン、モクポなど西南海岸では5月から漁獲量が増える。この時期のマナガツオは夏の産卵を前に脂がたっぷりとのる。
スズキ目マナガツオ科に分類されるマナガツオの名は「軍士の兵」から由来した。群れを成して移動する習性が兵士の行列に似ているとして付いた名である。海の中の「アーミー(Army)」というわけだ。
白身魚のマナガツオは淡泊で生臭さが少ない。頭と口は小さいが胴はふっくらしている。小骨と内臓が少なく身が多い。このため塩焼きや蒸し物で好んで食べる。コノシロのように骨ごと噛んで食べられるため、骨付きのまま薄く切って刺し身で食べることもある。
マナガツオはタチウオのように水面に上がると長く生きられず死ぬ。このため漁船ではマナガツオを捕獲するとすぐ急速冷凍し鮮度を保つ。
モクポなど湖南地域ではマナガツオをさまざまな呼び名で呼ぶ。大型のマナガツオは「トクジャ」、小型は「ビョンチ」とも呼ぶ。大きいものは煮付けに適し、小さいものはヒレと内臓を除いた後、骨ごと細く切って食べるのに向く。
マナガツオはたんぱく質含有量が高くオメガ3脂肪酸が豊富で、心血管の健康や免疫力の維持にも寄与する。新鮮なマナガツオはエラが鮮やかな赤色を帯びる。銀色のうろこが比較的よく残っており、瞳が澄んでいるものを選ぶとよい。
マナガツオとよく似た魚に「トクデ」もある。いずれもマナガツオ科に属する魚種で外観の判別は容易でない。頭部から始まる波模様が尾まで続けばマナガツオ、胸びれまでで止まればトクデである。味も微妙に異なる。マナガツオは淡泊なのに対し、トクデは脂がのって香ばしい。このためマナガツオは焼き物や煮付けに適し、トクデは刺し身に向くという声がある。
かつてはマナガツオが多く獲れ、手頃に食べられる魚の一つだった。小説家イスンが書いた短編小説「マナガツオ刺し身」では、経済的に没落した家庭でも負担なく食べられる魚として登場する。
しかし近年、マナガツオの漁獲量が大きく減った。2010年代に入って中国の底引き網漁船が乱獲し、国内の漁獲量が急減したためである。生産が減り貴重な魚となり、以前のように庶民が気軽に口にするのが難しくなった。
来週の6月12〜13日に釜山で防弾少年団(BTS)のワールドツアーコンサートが開かれる。同じ日、シナンのチドでは「島マナガツオ祭り」が開かれる。BTSを見るため世界中のアーミーが入国するとの見方が出ている。海の中のアーミー、マナガツオの群れも祭りに合わせて豊漁となるだろうか。
シナン郡関係者は「島マナガツオ祭りは地域住民と観光客が共に楽しむ実質型の夏祭りだ」と述べ、「旬を迎えたマナガツオの健やかな味とシナンの自然・文化を同時に体験できる好機になる」と語った。