16日、ビン・ソヨンさん(29)が会社員の友人らと結成した「ッタンウルリム」バンドの初公演で歌うと、観客が応じた。/カン・ジョンア記者

「Zankokuna tenshi no you ni, shounen yo shinwa ni nare!(残酷な天使のように、少年よ神話になれ)」

16日午後、ソウル・ホンデの地下ライブハウス。日本のアニメーション「エヴァンゲリオン」のオープニング曲「残酷な天使のテーゼ」が鳴り響くと、客席を埋めた若者たちが手を振って歓声を上げた。ステージに立ったのは専業の歌手ではなかった。平日はそれぞれ会社に出勤する20・30代の会社員バンドだった。

この日ステージに立ったバンド「ッタンウルリム」は、これまで磨いてきた実力を披露するため7曲を立て続けに消化した。ボーカルを務めたビン・ソヨン(29)さんは教育会社でマーケターとして働いている。ビン・ソヨンさんは別の会社に勤める友人たちと約1年6カ月間合奏を重ね、初公演を準備した。

◇3040中心だった会社員バンド、2030へ拡大

会社員バンドは過去にも着実に存在した。だが以前は30・40代の会社員がサークル形式でバンドを組む場合が多かったのに対し、最近は20代後半から30代前半の会社員へと参加層が広がっている。

QWER、シリカゲル、チャンナビ、新人類などバンド音楽が大衆的人気を得る中、「聴くバンド」から自ら演奏し舞台に立つ趣味バンドへと関心が広がっているとの分析が出ている。

20・30代の会社員は退勤後にリハーサルスタジオに集まり練習し、自らライブハウスを借りてステージに上がる。単に楽器を習うだけにとどまらず、チームを組んで練習した後に実際の公演まで開く形だ。趣味活動だが目標は明確だ。バンドメンバーと曲を合わせ、知人を招いてステージに立つという経験自体が彼らにとって一つの達成になっている。

ソウル麻浦区西橋洞のある公演場の入口に、趣味バンドの公演ポスターが貼られている。/カン・ジョンア記者

ビンさんもライブハウスの貸切から自ら準備した。貸切費用は約100万ウォンだった。費用負担を抑えるため、別のバンド2組と合同公演を開いた。ビンさんの初舞台を見ようと家族や友人、職場の同僚など80人余りが会場を訪れた。国内外のバンド曲が続くたびに客席からは歓声が上がった。

ビンさんは「窮屈な生活の中で意味のある趣味を探そうとする知人が増えた」とし「最近はバンドがそうした趣味の一つとして定着する様子だ」と述べた。ビンさんは「次は単独公演を開き、より多くの知人を招待したい」と語った。

◇SNSには「退勤後に一緒に演奏するメンバー募集」

2年目の会社員バンド活動をしているA(37)さんも、今年は変化した雰囲気を体感しているという。これまでバンドで最年少だったが、最近は大学の後輩と職場の後任2人が新たに練習に来始めたと話した。

Aさんは「飲みの席でバンドの話をしたところ、後輩たちが『やりたい』と言ってすぐ名乗りを上げた」とし「以前は会社員バンドといえばある程度年齢のある人の趣味という認識があったが、最近は若い人たちも自然に関心を示す」と述べた。Aさんは「昨年に続き、今年も公演をする計画だ」と語った。

国内の人気バンド「ジャンナビ」は昨年8月、インディーバンドとして初めて、国内大衆音楽コンサート界の象徴とされるソウル松坡区のオリンピック公園KSPO DOME(旧体操競技場)に進出した。/朝鮮DB

ソーシャルメディア(SNS)やオンラインコミュニティでもバンドメンバーを募集する投稿が相次いでいる。「退勤後に一緒に演奏する会社員バンドを探す」「ボーカルまたはギターを担当する20代半ば〜30代半ばのメンバーが必要」といった具合だ。公演を目標にチームを組む場合だけでなく、定期合奏、フェスティバル参加、ワンデー公演などを準備する集まりも少なくない。

バンド音楽に触れられる舞台が増えた点も、2030の会社員バンド拡大の背景に挙げられる。地域の祭りや屋外イベントでインディーバンドの公演を見る機会が増え、バンド音楽を扱うコンテンツも増えた。現在進行中の「2026ソウルガーデンフェスティバル」でも人気バンドの公演とともに、毎週日曜日にインディーバンドのステージが開かれている。

リハーサルスタジオの予約プラットフォームやコミュニティアプリも参入障壁を下げた。かつては周囲の知人を通じてメンバーを集めたり、オフラインの同好会を探す必要があったが、今ではオンラインで楽器別のメンバーを募集し、スタジオを予約することが容易になった。最近は1日のうちに即席で3〜5人がチームを組み、1曲を完成させて合奏まで行う「ワンデー・バンド体験クラス」も登場した。

◇週末のライブハウス、9月の予約まで満席

2030の会社員バンドが増えるにつれ、ホンデ・ハプチョン一帯の小規模ライブハウスやリハーサルスタジオにも新たな需要が生まれている。会社員バンドにとってライブハウスは単なる貸館スペースではなく、数カ月の練習を締めくくる到達点だ。観客の大半は家族や友人、職場の同僚だが、公演形式は一般のバンド公演と大きく変わらない。

各種集まりアプリやソーシャルメディア(SNS)には、1日でバンド体験をするワンデークラスやバンドメンバー募集の投稿が継続的に掲載されている。/趣味・余暇探索プラットフォームプレップ・オンラインコミュニティより

ハプチョン駅近くでライブハウスの貸出事業を行うBさんは「今年9月まで土曜日の貸切予約がすべて埋まるほど、趣味バンドの公演問い合わせが増えた」とし「大半は若い会社員や大学生が会場を探している」と述べた。

ソウル・サンスドンのある小規模ライブハウスも、今年の土曜日の貸切日程が2日を除きすべて埋まったと明らかにした。ホンデ・ハプチョン一帯でバンド公演の会場として人気の別の小規模ライブハウス2〜3カ所も、週末の貸切予約がほぼ満席の状態だった。早いところでも少なくとも2カ月後以降の日程から予約が可能だった。

こうした流れは新規ライブハウスの増加にも表れている。ソウルのライブハウスは今年に入り今月までに15カ所がオープンした。2024年と2025年の同期間にそれぞれ9カ所、5カ所が営業を開始したのと比べると増加幅が大きい。

業界では、2030の会社員バンドが小規模ライブハウス市場の新たな需要層として定着しているとみる。あるライブハウス関係者は「プロのミュージシャンの公演だけでは平日や週末の貸切をすべて埋めるのが難しい場合があったが、最近は趣味バンドの公演問い合わせが着実に入る」とし「会社員バンドは観客も一緒に連れてくるため、会場側としてもありがたい需要だ」と述べた。

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