黄海最北端の延坪島の漁師が忙しくなる季節が来た。毎年3月20日から6月30日までの3カ月、延坪島ではワタリガニ漁が最盛期だ。
「春ワタリガニ」と呼ぶこのシーズンには、卵を抱いたメスのワタリガニが旬を迎える。ワタリガニは年に2回旬がある。メスは春になると産卵を前に栄養を蓄える。腹板の内側に朱色の卵がぎっしり詰まり、身はやわらかい。
秋(9〜10月)になると逆転する。7〜8月に産卵を終えたメスは身が落ちる一方、オスは身が張ってくる。料理別では、春のメスはカンジャンケジャンやヤンニョムケジャンに、秋のオスは蒸しワタリガニやワタリガニ鍋の材料として適している。
ワタリガニはどうやって獲るのか。主にカゴ漁具(通称トンバル)を使い、潮流の速い場所では刺し網を用いる。円柱形の鉄製構造物に網を被せたカゴに餌を入れておくと、カニがカゴの中に入ってくる。緩やかな上り坂を伝って入ったワタリガニは、すとんと落ちて出られなくなる。
延坪島をはじめ潮流の速い地域では、いかり刺し網(錨付きの定置刺し網)を使うこともある。ワタリガニの通り道に1kmに達する長い網を設置し、カニが掛かるようにする方法だ。カゴより多くの量を獲れるが、網からカニを外す作業が欠かせない。外す過程で脚がもげたり、ストレスで死ぬ場合も多い。
ワタリガニの本来の名は「コッゲ」だった。甲羅の蓋を甲と呼び、甲の両側にトゲが突き出ているのを「コッ」(岬、Cape)という。岬(コッ)を持つカニという意味で「コッゲ」と呼んでいたのが「コッケ(花蟹)」になったという。朝鮮後期の実学者イ・イクが記した『星湖僿說』にも、ワタリガニについて「串蟹(コッゲ)」とし、背甲に二つの串のような角(コッ)があってそう呼ばれたと記録している。一部では甲羅の模様が花のように見えるため「花蟹」になったという主張もあるが、説得力は乏しい。
今年のワタリガニ漁は例年より漁獲量が増えるとの見方が出ている。11日、国立水産科学院によると、今年春季の漁期における西海(黄海沿岸)地域のワタリガニ漁獲量は4300〜5800tで、前年より12〜50%増加する見通しだ。昨年秋の産卵量と加入量が増えたうえ、冬季に黄海暖流の西海への流入量が増加したことが、ワタリガニの漁獲量増につながるとの説明だ。
☞ヤンニョムケジャンのレシピ
①ワタリガニを歯ブラシで隅々まできれいに洗う。
②脚の先とはさみの部分を切り落とし、腹を開けてエラ・砂袋を取り除く。カニを4等分に切り、ザルに上げて水気を切る。
③醤油(焼酎グラス1杯)、粉唐辛子5T、水あめ1T、砂糖3T、塩0.5t、刻みにんにく1T、刻み生姜2Tを混ぜてタレを作る。
④下処理したワタリガニをタレの入ったボウルに入れて和える。
⑤好みによりチョンヤン唐辛子と赤唐辛子、こしょうなどを加え、もう一度和える。
⑥冷蔵庫で1日ほど寝かせて味をなじませ、味わう。