74人の死傷者を出した安全工業の火災が、平素から安全管理を適切に行わなかったことによる人災である状況が警察の捜査で明らかになりつつある。安全対策を改善すべきだという社員の建議をオーナーが黙殺したという主張まで出ており、安全管理者制度を見直すべきだという声も高まっている。
27日警察などによると、テジョン警察庁広域犯罪捜査隊は、安全工業の火災で14人が死亡し60人が負傷した核心要因の一つとして、避難が適時に行われなかった点を挙げている。火災は20日午後1時17分ごろ発生し、火災警報器が鳴った後すぐに止まったと社員が警察に共通して証言した。
平素からも火災警報器の誤作動が多かったため、すぐに避難しなかった社員が火勢から逃れられなかった可能性があるとみて、警察は捜査中である。
死亡者9人が出た安全工業2階の複層休憩室は図面に記載がなく、違法増築物と推定されている。3階には無許可のナトリウム精製所もあった。
また自動車バルブ製造過程で使用される切削油・潤滑油と、これに伴う油蒸気・油汚れの管理が適切に行われず、火が急速に燃え広がったと警察と消防当局はみている。
問題は、従前からも工場の安全問題を指摘する社員の声が少なくなかった点である。会社員匿名コミュニティ「ブラインド」に安全工業の前社員だと明かした人物が「換気や設備改善が必要だと継続的に話してきたが、費用負担などの理由で実際の措置には至らなかったと記憶している」と投稿したこともあった。
ブラインドの安全工業掲示板には2022年10月、2023年8月、2024年10月にも「油蒸気が舞い、床が油で滑りやすい」という趣旨の書き込みが上がった。
ソン・ジュファン安全工業代表理事は娘(常務)と共に前日合同焼香所を訪れ弔問した後、「今回の惨事が発生したことを申し訳なく思い、自身の軽率な発言で傷ついた犠牲者と遺族に謝罪する」と述べた。続けて取材陣が「労組の施設改善要求をなぜ黙殺したのか」「違法増築の事実を知っていたのか」などと質問すると、「申し訳ない」「知らなかった」という言葉だけを繰り返した。
今回の安全工業火災を機に、安全管理者制度を改めるべきだという主張も出ている。国民申聞鼓(韓国の行政苦情・提案受付制度)には「安全管理者の独立性保障および政府直通報告体制構築の提案」というタイトルの投稿が上がった。
提案者は「現行の産業安全保健法上、安全管理者は事業主を補佐し指導・助言する業務を遂行するが、今回の安全工業の事例のように、安全管理者が現場の危険要素を発見し報告しても、会社側が費用や工期短縮などを理由に黙殺する古くからの慣行が繰り返されている」と述べた。
続けて「安全管理者が事業主に危険改善を勧告したにもかかわらず、正当な事由なく一定期間内に履行されない場合、これを政府関係部署に直接報告するよう法的義務を付与すべきだ」と主張した。
専門家も安全管理者制度を改善すべきだという意見に同意した。チェ・ジン木原大学消防安全学部教授は「費用を抑えるため、安全管理者を教育履修した内部社員が担う場合が大半だ」とし「安全管理者の兼務を禁じ、外部専門家を雇用する方式などが有効だ」と述べた。
アン・ホンソプ群山大学建築工学科教授は「産業安全保健法上の安全管理者の役割に比べ、重い責任を課している」とし「安全管理者に独立的権限を与えるか、最高意思決定権者の責任を増やす形で整備する必要がある」と語った。