「袋はありますか。あればもう少しください。」
25日午前10時ごろ、インチョン・ミチュホルグのシンギ市場。開店して間もない袋店の前に客が押し寄せた。店内では従業員がひっきりなしに電話を受けて注文を確認し、売り台の上のビニール袋は目に見えて減っていた。
最近の中東情勢でホルムズ海峡通過の物量が減り、ビニールの原材料調達に支障が生じている。現場ではこの余波が直ちに「黒いビニール袋」不足につながっている。
ある袋店の店主A氏は「売りたくても原料がなく作れないので売ることができない」とため息をついた。A氏は原料商を通じ、ビニール袋の原材料であるポリエチレンを供給を受け、自ら製作・販売している。
◇原料値が60%急騰し生産は半減
原料価格の急騰と供給の混乱が重なり、ビニール袋の生産が急減している。直近1カ月で原料価格は約60%上がり、物量の確保も難しくなったことで生産量は平時の半分水準にまで減った。
A氏は「上乗せして払っても原料を手に入れるのが難しい」と述べた。実際、A氏と5分ほど会話する間にも「袋を買えるか」という問い合わせ電話が相次いだ。A氏は「商売に最大限支障が出ないように手当てしてみる」と答えたが、困惑した様子を隠せなかった。
市場のあちこちでは品物を求める客はいるものの、これを入れる袋を確保できず「商売を続けにくい」という嘆きが続いた。この日午前、市場の店が次々と店を開けたが、袋店の前は早い時間から混み合った。10人余りが一度に押し寄せ、「値段はいくらか」「あるうちに買っておかないと」との声が相次いだ。
別の店主B氏は「工場で製作したビニールを納品してもらって使っているが、原料不足を理由に最近は供給量が減った」とし「時間がたつほど状況がさらに悪化するのではと心配している」と語った。
こうした現象の背景には原料の調達問題がある。ナフサは原油を精製する過程で出る炭素化合物で、プラスチックやビニールなど石油化学製品の基礎原料として使われる。「重化学工業のコメ」と呼ばれる。
韓国に輸入されるナフサの約54%がホルムズ海峡を経て入ってくるが、最近の中東情勢不安で通過物量が減り、供給に支障が生じたとの分析が出ている。
◇「商売が厳しくなるのではと心配」…ごみの従量制袋も『不足』
近隣の商人らは事態の長期化を懸念していた。衣料品店を営むチョ・モ(35)氏は前日、黒いビニール袋を求めて市場のあちこちを回ったが、結局手に入れられなかった。チョ・モ氏は「普段は袋を不要と言う客も、最近はさらに用意してほしいと言うのではと心配だ」と述べた。
とりわけ廃棄物が多く出る精肉店の苦労が大きい。食肉の処理過程で出る骨や副産物をポリエチレン袋に入れて処理しなければならないが、これすら入手が容易ではないという。精肉店の店主C氏は「ごみを入れる袋が不足しており、まともに商売ができるか心配だ」と語った。
市場では依然としてエコバッグよりビニール袋の使用が多かった。客の大半が黒い袋を手にしており、エコバッグを持参した人も、袋に入った品物を改めて移し替える様子が目立った。
果物店の商人キム・モ(53)氏は「ビニール袋をサービスと受け止める場合が多く、追加の要請が頻繁だが、最近は対応が容易ではない」と述べた。
スーパーやコンビニで販売するごみの従量制袋も状況は同様だ。原材料の調達不安と買いだめの動きが重なり、購入が難しくなった。従量制袋の販売業者「従量制ドットコム」は最近、ホームページの告知を通じて「国際情勢の影響で製作と調達、入庫日程が円滑ではない」と明らかにした。