AUK増倍管(PMT)が並ぶLUX-ZEPLIN(LZ)検出器内部。光の最小単位である単一光子レベルの光を捉え、電気信号にして数百万倍以上に増幅する超高感度の光センサーだ。/Sanford Underground Research Facility

星や銀河を作った未知の存在が正体を現したのだろうか。韓国を含むLUX-ZEPLIN(LZ)国際共同研究陣が暗黒物質の有力候補であるウィンプ(WIMP)の痕跡を捕捉したと1日、日本で開かれた素粒子物理学国際学術大会で発表した。

科学者は宇宙の物質のうち自ら光を放って観測可能なものは15%にとどまるとみている。残りの85%は光を放たず見えない暗黒物質である。これらが物質を引き寄せて星と銀河を作ったとみる。粒子同士が互いに引き付け合う力である重力は星を作るには不足だからである.

◇陽子より重い粒子の痕跡を捕捉

この日LZ国際共同研究陣は、米国サウスダコタ州サンフォード地下研究施設にあるLZ検出器で暗黒物質がGenON粒子と相互作用する際に現れる閃光を捕捉したと明らかにした。検出器で248keV(キロ電子ボルト)のエネルギーが発生した事象であった。LZ研究陣はこの閃光を引き起こした暗黒物質粒子の質量が少なくとも200GeV(ギガ電子ボルト)に相当しなければならないとみる。1GeVはおおむね陽子質量に相当する。

現在暗黒物質の最有力とされる存在であるウィンプは「弱い相互作用をする重い基本粒子」を意味する英語の略語である。ほかの物質とほとんど反応せず、重力を持つほど重い粒子ということだ。ウィンプは電子や陽子よりはるかに重いが、光や他の物質とほとんど相互作用しないため検出が難しい。ただしごくまれに物質中の原子核と衝突して生じる極めて微弱な閃光を電気信号に変換し、超精密検出器で捕捉できる。

LZ検出器は地下約1.5㎞に約10tの超高純度液体GenONを満たした装置である。地下深くにあるため宇宙から来る他の粒子を遮断できる。GenONが入るタンク内には粒子が衝突する際に発生する微小な光と電気信号を捕捉する光電子増倍管(PMT)がある。光の最小単位である単一光子レベルの光を感知し、これを電気信号に数百万倍以上増幅して変換する超高感度光センサーである。

地下研究施設に設置される前、地上実験室に置かれたLUX-ZEPLIN主検出器。防護服を着た研究者が配線が露出した円筒形装置の周囲で作業している。装置を囲む壁面は光を反射するテフロン素材だ。/Sanford Underground Research Facility

◇確実な発見の水準には至らず

研究陣は2023年3月から2024年4月まで220日間収集したデータを分析し、暗黒物質信号が現れると予想される領域で粒子相互作用を1件捕捉した。研究陣はこの信号が実際に暗黒物質によるものであれば、ウィンプの質量は原子核の陽子より200倍以上重いと推定した。

LZ共同研究チーム責任者のリック・ゲイツケル(Rick Gaitskell)米国ブラウン大学教授は「暗黒物質信号が現れると予想され、他の要因による信号が極めて少ない領域で今回の信号が捕捉され注目している」と述べた。

ただし今回の結果はまだ科学的発見として認められる水準ではない。物理学で新たな発見とするには不一致の程度が不確実性の5倍、すなわち5シグマでなければならない。一般にある実験の信頼度が3シグマ(99.7%)であれば「ヒント」の範疇に入り、5シグマ(99.99994%)以上なら「発見」と認められる。現在LZで捕捉されたこの信号は2.6シグマ(99.07%)水準で、偶然の産物として現れる確率がおよそ200分の1程度であることを意味する。

しかし論文第1著者のサム・エリクソン(Sam Eriksen)英国ブリストル大学上級研究員は「既存の分析で扱っていなかったデータ領域を新たに分析し、観測された信号の原因を明らかにするため数カ月にわたり考え得るあらゆる原因を綿密に検討した」とし「検出器の特性と暗黒物質と誤認され得る信号を精密に把握しているため、すべての検証を通過した一つの特異信号も重要な意味を持つ」と明らかにした。

イタリアの暗黒物質検出施設であるグランサッソ地下実験室。地下1400mに位置する。/XENON共同研究陣

◇他の検出器でも発見が期待

幸いな点は、今回の分析がLZがすでに収集したデータの3分の1のみを扱ったという事実である。研究陣はこれまでで暗黒物質探索実験の中で最も多い観測資料を確保したのに続き、米国サンフォード地下研究施設でウィンプ探索を継続し、今回の信号の真偽を追加で検証する計画である。

またイタリアや中国、韓国など世界各地の他の暗黒物質検出施設もそれぞれのデータを保有している。韓国は江原特別自治道チョンソン郡イェミサン地下1000mに暗黒物質と宇宙粒子を研究するイェミラボ(Yemi Lab)を運営している。今回と同じエネルギー範囲で数件の事象がさらに観測されれば、ウィンプ発見の信頼度を5シグマまで引き上げることができる。これは物理学と宇宙に対する理解を完全に変え得る。

今回の研究には基礎科学研究院(IBS)地下実験研究団のキム・ヨンドク団長の研究陣も参加した。キム団長は「IBSはアジアの研究機関としては唯一研究に参加したのに続き、次世代実験であるXLZDにも共に取り組んでいる」とし「ウィンプ観測で優れた性能を示している液体ゼノン検出器実験で韓国がより主導的な役割を果たすことができる」と明らかにした。

ダグラス・レオナードIBS研究委員は「まだわれわれが理解していない何かが現れたのであり、どちらに判明しようともわれわれは新しいことを学び発見している」と語った。

今回の研究結果はまだ正式な論文としては発表されておらず、事前公開サイトであるアーカイブ(arXiv)に先に公開された。研究陣は国際学術誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に論文を投稿した状態だと明らかにした。

暗黒物質と暗黒エネルギーは天文学界でも熱い研究テーマである。先月30日、米国が打ち上げたナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡も暗黒エネルギーと暗黒物質を追跡する予定だ。

科学者は宇宙にあるエネルギーのうち、光を放って観測できる物質は5%に過ぎず、70%は押し出す力を持つ暗黒エネルギーだとみる。残りの25%は光を放たず物体を引き寄せる暗黒物質と呼ばれる。物質だけで見れば暗黒物質が85%で一般物質が15%である。

参考資料

LUX-ZEPLIN(2026), https://lz.lbl.gov/wp-content/uploads/sites/6/2026/08/LZ_Preprint_260901_Dark_Matter_EFT_N

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