オ・スンス・ポステック新素材工学科教授の研究チームと、チェ・シヨン・カイスト生命化学工学科教授の研究チームが、皮膚を介した薬物送達効率を左右する脂肪酸の分子構造を解明したと28日に明らかにした。研究結果は国際学術誌「ケミカル・エンジニアリング・ジャーナル(Chemical Engineering Journal)」に7月に掲載された。
皮膚を用いた薬物送達は注射より手軽だが、皮膚の最外層である角質層が外部物質の浸透を防ぐため、適用には限界がある。特にインスリンやペプチドのように水に溶けやすい薬物は、脂質成分が緻密に配列した皮膚バリアを通過しにくい。
研究チームは皮膚バリアを緩める透過促進剤の中で遊離脂肪酸に着目した。炭素鎖の長さや二重結合の位置などが異なる24種の脂肪酸を人工皮膚やブタ皮膚などに適用し、分子動力学シミュレーションを通じて脂質層内での配列も分析した。
その結果、皮膚の脂質構造を大きく乱したからといって薬物の透過度が必ずしも高まるわけではなかった。むしろ脂肪酸の分子形状と脂質層内での配置がより重要な要因であることが示された。
特に炭素鎖が18個で、鎖の中間に分子構造を折り曲げるシス(cis)型の二重結合をもつ脂肪酸が、水溶性薬物の皮膚透過を高めるのに有効だった。研究チームは、このような構造が薬物が皮膚を通過する際に必要なエネルギー障壁を低減すると分析した。
また研究チームは、光を受けると分子構造が変化する「光スイッチング脂肪酸」も開発した。実験の結果、光による脂肪酸構造の変化に応じて薬物の皮膚透過の程度も変わった。
オ・スンス教授は「脂肪酸の分子構造と皮膚透過の関係を確認した」と述べ、「今後、さまざまな生体膜と刺激応答型薬物送達技術へ拡張できる」と語った。
参考資料
Chemical Engineering Journal(2026), DOI: https://doi.org/10.1016/j.cej.2026.179663