スペースXのファルコン9ロケット。/スペースコイン

宇宙へ貨物1㎏を送る平均費用が1960年の8万7000ドルから昨年は4000ドルを下回ったという研究結果が出た。発射量が現在と同様のペースで増えれば、2040年には㎏当たり費用が300ドル水準まで下がる可能性があるという見通しである。

アレッシオ・テルツィ(Alessio Terzi)英ケンブリッジ大学研究員とフランチェスコ・ニコリ(Francesco Nicoli)伊トリノ工科大学教授の研究チームは、1960年から昨年まで実施されたロケット発射4405件を分析した結果を14日(現地時間)に国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)ネクサス」に発表した。分析対象には韓国をはじめ、米国、ロシア、中国、インド、日本、欧州など主要な宇宙開発主体の発射記録が含まれた。

研究チームは国や時期ごとに異なる発射費用を2024年のドル価値に換算した。発射体ごとに目標軌道や搭載能力が異なる点を考慮し、輸送性能も地球低軌道基準で標準化し、貨物1㎏当たりの平均発射費用を算出した。

分析の結果、貨物1㎏当たりの平均費用は1960年の8万7023ドルから昨年は3868ドルへと95.6%減少した。宇宙へ送った累積搭載量が倍増するたびに平均費用は21.2%ずつ低下した。生産と運用の経験が蓄積されるほど単位費用が減少する傾向が宇宙発射産業でも確認された。

研究チームは、こうした費用低下が同じロケットを複数回打ち上げた結果だけではなかったと説明した。過去30年間では、個別ロケットの反復運用から得たコスト削減よりも、発射物量がより割安なロケットへ移行した影響の方が大きかった。

宇宙発射体の費用減少の速度は、他の技術と比べても急であることが示された。太陽光モジュールは1975年から2019年まで累積設置量が倍増するたびに価格が平均20.2%下落した。19世紀の蒸気船導入以降、大西洋の貨物運賃は累積貨物輸送量が倍増するたびに15.5%減少したことが示された。

研究チームは、2010〜2025年と同様に軌道に送る搭載量が年平均13.3%増加するという条件で、平均発射費用が2030年に1㎏当たり1600ドル、2040年には300ドルまで下がると試算した。

とりわけスペースXの次世代大型発射体「スターシップ」が完全再使用と高頻度発射を実現する場合、初期費用は㎏当たり1000ドル前後、生産と運用が標準化されれば500ドルを下回る可能性があるともみている。現在スペースXが世界の軌道投入搭載量の約75%を占めるだけに、今後の平均発射費用もスターシップの運航拡大の行方に大きく左右される見通しである。

韓国も再使用発射体の開発と反復発射を通じて宇宙輸送費用を下げる方策を進めている。政府は次世代発射体を再使用方式で開発し、ヌリ号の反復発射と公共衛星需要を連携して発射経験を蓄積する計画である。

ただし研究チームは、特定企業に発射能力が集中して競争が弱まると、製造費用が下がっても顧客価格は十分に低下しない可能性があると予想した。また各国が安全保障上の理由でより高価な自国発射体を維持したり、宇宙デブリの増加で衝突回避と保険費用が膨らむ状況も、費用低下を遅らせる変数に挙げた。

参考資料

PNAS Nexus(2026)、DOI: https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgag217

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