次世代ディスプレー素材として注目されるペロブスカイト発光ダイオード(PeLED)の性能を高める製造技術が示された。
ソウル大学と英国ケンブリッジ大学の共同研究チームは、既存の有機発光ダイオード(OLED)生産に用いる真空蒸着工程においてもペロブスカイト結晶が均一に成長するよう制御し、効率と色の鮮明度を高めたPeLEDを開発したと明らかにした。研究結果は1日、国際学術誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」に掲載された。
ペロブスカイトは明るく鮮明な光を出せるため、OLEDに続くディスプレー素材として関心を集めてきた。特に真空状態で材料を気化させ基板上に薄膜を形成する真空蒸着方式で作製できる点が強みである。この方式は現在OLED生産に広く用いられる工程であり、既存設備と接続して活用できる可能性が大きい。
課題は、ペロブスカイトが蒸着過程で過度に速く不均一に結晶化する点だった。複数種類の結晶構造が混在すると発光効率が低下し、色もにごるおそれがある。平たく言えば良質な画面を作るには素材が均一に成長する必要があるが、従来方式ではその過程を精密に制御するのが難しかった。
研究チームはこれを解決するため「X-typeスペーサー」という有機分子を導入した。この分子はペロブスカイトが生成される過程で結晶が無秩序に成長するのを抑え、発光に有利な構造が選択的に形成されるよう助ける。研究チームはここにフッ化リチウムを結合させた「異種スキャフォールド」も開発した。これは結晶が均一に成長するよう促す一種のシード層として機能する。
その結果、研究チームは光致発光効率85%以上の薄膜を作製し、これを適用したPeLEDで外部量子効率21.9%を記録した。外部量子効率はLEDが電気をどれだけ効率的に光に変換するかを示す指標である。また発光線幅は16.8nm(ナノメートル、10億分の1m)となった。発光線幅は光の色がどれだけ狭く鮮明に収束するかを意味し、値が小さいほど色がよりくっきりする。研究チームは、開発したPeLEDが大面積基板、フレキシブル基板、パターニング構造でも実装可能であることを確認した。
イ・テウ教授は「既存のOLED生産インフラと互換可能な真空蒸着工程で世界最高水準の高効率・高色純度ペロブスカイト発光素子を実現した成果であり、今後、超高解像度ディスプレーやAR/VR向けマイクロディスプレーの実用化を前倒しする中核基盤技術になる」と述べた。
参考資料
Nature Nanotechnology(2026)、DOI: https://doi.org/10.1038/s41565-026-02208-y