ゴキブリが背中に電子装置を取り付けて水中へ飛び込んだ。潜水服が酸素を供給し、水中でも自由に動けるためである。地上はもちろん、水中と宇宙まで陸海空を縦横無尽に動く全天候型サイボーグ探査隊員が誕生したというわけだ.
サトウ・ヒロタカ(Sato Hirotaka)シンガポール南洋理工大機械航空宇宙工学部教授は「遠隔で制御されるマダガスカルゴキブリ(学名Gromphadorhina portentosa)が酸素を供給する超小型潜水服のおかげで水中や宇宙でも活動できるようになった」と29日(現地時間)に国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で明らかにした。
◇過酸化水素を分解して酸素を供給
サトウ教授は、地震で建物が崩れた場所で生存者の痕跡を探すには、針の穴ほどの隙間にもこじ入るゴキブリが最適だと考えた。研究陣は2021年、ゴキブリの感覚器官に電極を移植し、背中に超小型コンピューターを取り付けて遠隔操作できることを初めて立証した。動物と機械装置を結合したサイボーグゴキブリが誕生したのである。2024年にはサイボーグ20匹がリーダーに従って集団移動するよう操縦することにも成功した。
今回のサイボーグゴキブリは活動舞台を陸上から水中へ広げた。豪雨や洪水が発生した災害現場は既存のサイボーグゴキブリが近づきにくい。研究陣は酸素が不足する水中環境に合わせて潜水服を追加した。研究陣によると、ゴキブリは潜水服のおかげで水中で最大3時間活動できたという。
だからといってゴキブリが圧縮酸素ボンベを背負ったわけではない。圧縮酸素ボンベはゴキブリが背負うには重すぎ、かさばる。代わりに研究陣は3D(立体)プリンターで作った超小型の酸素発生器を入れた。酸素をあらかじめ蓄えて直接供給するのではなく、酸素発生器で必要な酸素を生成して使う方式にした。
酸素発生器の内部は二酸化マンガン(MnO₂)触媒で覆われている。ここに過酸化水素(H₂O₂)を注入すると、二酸化マンガンが水(H₂O)と酸素(O₂)へと分解する。過酸化水素と二酸化マンガンをそのまま混ぜると反応が速すぎて、酸素気泡と水滴がゴキブリの動きを妨げる恐れがある。研究陣は二酸化マンガンで塗布したセルローススポンジに過酸化水素を染み込ませた。これにより複数箇所で酸素がゆっくり少しずつ発生した。
酸素はシリコン管を通じてゴキブリの呼吸器である気門へ送られる。潜水服を着用したサイボーグゴキブリは浸水したトンネルを模した実験装置で問題なく活動した。サイボーグゴキブリは地上で秒速87.5mmで移動し、水中でも78.4mmで動いた。サトウ教授は「サイボーグ昆虫の活動範囲を水中まで拡張し、災害現場での捜索と救助活動を強化できるだろう」と述べた。
◇無線で遠隔操縦、宇宙探査も可能
研究陣は同じ方法でサイボーグゴキブリが火星も探査できると期待した。火星大気にも水中のように酸素がほとんどない。これまでの宇宙探査にはバッテリーを搭載したロボットを使用してきた。ロボットがいかに小さくてもモーターを駆動するにはバッテリーが必須だ。これに対しサイボーグゴキブリは酸素さえ供給されれば自らの筋肉で移動するため、その問題から自由である。
もちろん動作制御には依然としてバッテリーが必要だ。サイボーグゴキブリは背中に位置制御用の超小型コンピューターとバッテリー、アンテナで構成されるバックパックを背負っている。ここから電線が伸び、触角と尾に接続された。外部からアンテナへ無線信号を送ると、バックパックのコンピューターがそれに応じて電線に電流を流す。
サイボーグゴキブリの操縦原理は単純だ。右の触角に電流を流すとゴキブリは左に曲がり、左の触角を刺激すると右に曲がる。触角の両方を刺激すると後退する。加速するには尾にある毛状の感覚器官(cercus)に電流を流せばよい。
英国ウェスト・オブ・イングランド大学のアラン・ウィンフィールド(Alan Winfield)教授は今回の研究について「スキューバダイビングをするゴキブリという概念は奇異に見えるかもしれないが、環境監視のような明白な応用分野がある」と述べ、「ゴキブリはロボットよりはるかに効率的なだけでなく、燃料補給なしでもより長く活動できる」と語った。宇宙は別としても、地球では自ら餌を見つけて筋力を補える。
研究陣はサイボーグゴキブリの商用化可能性を探っている. 지난3月28日ミャンマーで発生したマグニチュード7.7の地震当時、サイボーグゴキブリが捜索救助現場に試験投入された。サトウ教授は「今回の研究結果は、サイボーグゴキブリが捜索救助任務以外にも、浸水した配管、排水溝、トンネルのように接近が難しいインフラの点検にも活用される可能性を示した」と明らかにした。
参考資料
Nature Communications(2026), DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-026-74235-1
arXiv(2024), DOI: https://doi.org/10.48550/arXiv.2403.17392
arXiv(2021), DOI: https://doi.org/10.48550/arXiv.2105.10869