最近、大韓医師協会は、救急患者と119救急隊が治療先の病院を見つけられず複数の医療機関を転々とする状況を指す「救急外来たらい回し」という表現の代わりに、「救急外来未受け入れ」「受け入れ困難」などの用語を使用してほしいとメディアに要請した。
救急外来たらい回しという表現が医療現場の構造を十分に反映できず、医療陣個人の責任と誤認されかねないことが、医師協会が用語改善に乗り出した主な理由である。
大韓医師協会は22日、報道参考資料を通じて「救急外来たらい回しという表現は国民が体感する状況を直感的に示すが、救急医療体制の構造的現実を十分に反映できない」とし、「救急外来未受け入れ」「救急患者受け入れ困難」「背後診療不可に伴う受け入れ制限」などの表現を提案した。
最近、保健福祉部医療革新委員会傘下の地域・必須・公共医療専門委員会は会議を経て、「救急外来たらい回し」の代わりに「救急外来未受け入れ」で用語を統一して使用することにした。
救急患者を受け入れられない問題について病院従事者は、「単純な拒否ではない」「一人の医師の意思だけで救急患者の受け入れを決定できるものではない」と口をそろえる。
患者の状態、医療機関の診療・手術の可否、集中治療室の病床確保状況、背後診療科専門医の対応可否、既存の重症患者の診療状況などが複合的にかみ合った結果だということだ。
これまで医療界内部では、「救急外来たらい回し」という表現が医療陣個人を潜在的な犯罪者として認識させかねないとの懸念の声も相次いだ。
またこの表現により、必須医療人材の不足や背後診療インフラの崩壊、過度な司法リスクなど実際の原因が覆い隠される可能性があると指摘する。
広域外傷センターを守ってきたある外傷外科専門医は「たらい回しという表現で現場を守る医療陣は大きな傷を負う」とし、「この言葉が医療陣が患者を意図的に回すという意味を含んでいるように聞こえる」と述べた。
この専門医は「現在の医療現場は、患者を受け入れたくても受け入れられない構造的問題を抱えている」とし、「過去には細分化された専門医がいなくても、当直の専攻医が救急状況で可能な範囲内で患者を優先受け入れし、診療する場合が多かった」と説明した。
現場の医療陣は「医療紛争」の負担が救急患者の受け入れ可否をより保守的にする要因になっていると指摘した。これは医学生がいわゆる必須医療の診療科を忌避する問題の原因としても挙げられる。
ある専門医は「訴訟が増え、裁判所の判断基準が細分化されるにつれ、医療陣が積極的に診療しにくい環境になった」とし、「例えば小児患者を成人外科医が手術したという理由などで事後責任を問う司法の判例が積み上がり、これにより医療現場が大きく萎縮する傾向が生じた」と述べた。
結局、論争の核心は、問題現象を指す表現自体ではなく、救急患者が適時に治療を受けられる医療体制をいかに構築するかにある。
政府も対策を探っている。
最近、保健福祉部は救急患者の搬送体制を改善したパイロット事業の結果を公開し、9月から全国に拡大すると明らかにした。当該パイロット事業は、救急隊が病院選定に苦慮する際に広域救急医療状況室が介入し、搬送先病院を指定する方式で運営された。
福祉部によると、3〜5月に光州広域市・全北・全南でパイロット事業を実施した結果、救急車に乗った救急患者が病院を見つけられない、いわゆる「救急外来たらい回し」「救急外来未受け入れ」事例が一件も発生しなかったと明らかにした。パイロット事業期間の搬送要請は計123件だった。
救急隊が現場から病院へ出発するまでに要する滞在時間は、一部地域で短縮したという。
光州の場合、重症患者基準の平均滞在時間は16分6秒で前年より1分24秒減少し、全北は12分54秒で24秒縮んだ。全南は小幅に増加したが、類似条件の地域と比べて短い水準を維持した。
ところが、医療界の一部では成果の解釈に問題があるとして、パイロット事業の拡大に「反対」の意見を出した。
大韓救急医学医師会は「3カ月間、当該地域全体の重症患者搬送件数は8000〜1万件水準と推定されるが、政府が分析した123件はごく一部だ」とし、「これを根拠に全体の救急医療体制の成果を判断するのは無理がある」と主張した。
さらに「救急医療問題の本質は背後診療人員の不足と医療伝達体制の構造問題であり、これを改善しないまま一部の数値だけを強調するのは錯視だ」として、実質的なインフラ改善の先行とパイロット事業の一次データ公開、医療界が参加する再評価を要求している。