サムスンバイオロジクスが2026年3四半期にオランダで欧州営業事務所を開設する。米国の生産拠点確保に続き、日本と欧州の現地営業網まで構築し、グローバルでの顧客接点を拡大する狙いだ。米国・欧州・日本を網羅するグローバル受注ネットワークを完成させ、世界最大のバイオ医薬品受託開発製造(CDMO)企業としての地位を一段と強化する戦略である。

23日(現地時間)、米カリフォルニア州サンディエゴで「バイオUSA」が開かれ、サムスンバイオロジクスのジョン・リム代表が韓国メディア向けに懇談会を行っている。/サンディエゴ(米国)=パク・スヒョン記者

ジョン・リム サムスンバイオロジクス代表は23日(現地時間)、米カリフォルニア州サンディエゴで開かれた「バイオUSA」に出席し、韓国の取材陣を対象に懇談会を開き「2026年3四半期にオランダで事務所を開設する予定だ」とし「欧州営業を一括して担うハブの役割を果たすことになる」と明らかにした。

サムスンバイオロジクスは現在、米国のボストンとニュージャージーに営業事務所を運営しており、昨年は日本の東京にも事務所を開設した。ここに欧州拠点まで加え、米国・欧州・日本などグローバル製薬市場を事実上すべて網羅する営業網を構築することになった。

ジョン・リム代表は「セールスの側面ではほぼすべてをカバーできる」とし「米国に次いで欧州、その次が日本がサムスンバイオロジクスの核心市場だ」と述べた。中国市場については「知的財産権(IP)問題が複雑で、まだ進出は検討していない」と語った。

オランダを欧州拠点として選んだ背景にはアクセス性とコスト効率を挙げた。ジョン・リム代表は「オランダは相対的にコストが安く、欧州の中心に位置している」とし「アムステルダム・スキポール空港近隣に事務所を用意する予定で、英国、フランス、デンマークなど主要国へ2時間以内で移動できる」と説明した。

ジョン・リム代表によれば、現在サムスンバイオロジクスの受注における欧州顧客の比重は米国(約40%)と同程度だ。グラクソ・スミスクライン(GSK)、アストラゼネカ(AZ)、サノフィなどグローバル大手製薬の多くが欧州に本社を置くことから、現地での顧客接点を拡大する必要性も大きい。

◇「3大成長軸」に基づくグローバル拠点拡大を加速

欧州営業拠点の新設は、サムスンバイオロジクスが推進中のグローバル拠点拡大・生産能力拡充・ポートフォリオ多角化という「3大成長戦略」の延長線上にある。会社はとりわけ最近の米国生産拠点確保を機に、グローバル顧客への対応力強化に注力している。

サムスンバイオロジクスは3月、GSKから米メリーランド州ロックビルに位置するバイオ医薬品生産施設を買収した。6万ℓ規模の原薬(DS)生産能力を備えた同工場には現在約520人が勤務している。

ジョン・リム代表は「ロックビルの買収は地理的拡張の観点から非常に良い決定だった」とし「最近、グローバル製薬各社は米国内の生産施設確保を重視している」と述べた。さらに「ロックビル工場は米食品医薬品局(FDA)本部にも近く、GSKをはじめ主要顧客がすでに施設をよく知っている」とし「実際に顧客企業が現場を訪れ、生産能力を確認している」と説明した。

サムスンバイオロジクスの米メリーランド州ロックビルにあるバイオ医薬品生産施設。/サムスンバイオロジクス

ロックビル工場の買収は、生産能力拡充を超えて、サプライチェーンの不確実性や関税リスクに対応できる基盤を整えたとの評価もある。ジョン・リム代表は「バイオシミラーは関税の影響が大きくないため、会社への直接的な影響は限定的だ」としつつも「顧客企業の立場では、米国での生産オプションを確保することが重要だ」と述べた。

米国政府の中国バイオ産業けん制の流れも、サムスンバイオロジクスに好意的に作用しているとの分析が出ている。ジョン・リム代表は「5年前までは中国のCDMO企業が規模と価格競争力を強みとして掲げていたが、今はそのような話はほとんどしない」とし「中国企業が建設した生産施設のうち、実際に稼働していないところも少なくない」と語った。

◇グローバルトップ製薬の顧客を拡大…第6工場・第3キャンパスへの投資を継続

サムスンバイオロジクスは、グローバル営業網の拡大と生産能力の拡充を土台に受注拡大を続けている。

今月だけで3回、既存顧客との受託生産契約の規模を増額し、累積受注残高は104億ドルを超えた。9日に欧州製薬企業との契約を拡大したのに続き、17日に米国製薬企業、22日にはアジア製薬企業との契約も相次いで増額された。

ジョン・リム代表は「昨年、グローバル時価総額上位の製薬企業17社を顧客として確保したと発表したが、今はほぼ20社に近づいただろう」とし「大手製薬によるバイオテックの合併・買収(M&A)が活発化するにつれ、顧客基盤も継続的に拡大している」と述べた。

受注増に合わせて生産能力の拡張も続いている。サムスンバイオロジクスは昨年、18万ℓ規模の第5工場を稼働し、総生産能力を78万5000ℓまで拡大し、ロックビル工場の買収後には84万5000ℓ規模の生産体制を構築した。

会社は年内に18万ℓ規模の第6工場の着工可否を決定する計画だ。ジョン・リム代表は「第5工場は順調に稼働しており、受注も引き続き入ってきている」とし「第6工場も年内に関連する意思決定を終える」と述べた。

仁川ソンド国際都市内に位置するサムスンバイオロジクスの第3バイオキャンパス予定地(黄色表示)。/仁川経済自由区域庁

ポートフォリオ拡張に向けた第3バイオキャンパスの開発も本格化している。ジョン・リム代表は「現在、用地工事を始めた段階だ」とし「抗体医薬品はもちろん、ペプチド、細胞・遺伝子治療(CGT)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベースの遺伝子治療など、多様なモダリティを検討している」と述べた。

同氏は「現在の市場状況を踏まえると、第3キャンパスはペプチド事業に向かう可能性が高い」とし「肥満治療薬市場の成長に伴い、GLP-1系ペプチドの生産需要も増加すると見ている」と説明した。

続けて「CGTとAAVはまだ市場の初期段階だ」とし「米国でも関連企業が生産施設を縮小または売却する事例が出ている」と付け加えた。

◇攻勢的な拡大の中で労使対立の管理が課題

ただし、攻勢的な事業拡大と受注の成長基調にもかかわらず、労使対立は解決すべき課題として残っている。

ジョン・リム代表は、現在進行中の労組との賃金交渉に関して「まだ労使間に隔たりがある」とし「生産と事業運営には問題がない。顧客企業も関連状況を問い合わせてくるが、供給に問題がない点を継続的に説明している」と明らかにした。

同氏は「グローバル製薬企業はサプライチェーンの不確実性を最も嫌う」とし「過去には地政学的リスクが主要な懸念要因だったが、最近では労組問題もサプライチェーン安定性を評価する要素とみなしている」と述べた。

ただし「顧客企業が生産中断や契約撤回の可能性を懸念する状況ではない」とし「現時点まで生産と供給に支障はない」と強調した。

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