2月23日午後、ソウル鍾路5街の薬局街一帯。ある薬局の前に肥満治療薬のマンジャロとウゴービの在庫なしを知らせる案内文が掲示されている。/キム・グァンレ記者
「ウゴービ・マンジャロを『誤用・乱用のおそれがある医薬品』に指定すれば、肥満治療薬の誤用・乱用を防げると考えるか」

食品医薬品安全処がウゴービとマンジャロなど肥満治療薬を『誤用・乱用のおそれがある医薬品』に指定する手続きを進めていることが2日に判明した。規制審査と行政予告を経て、早ければ今月に関連告示改正が完了する見通しだ.

誤用・乱用のおそれがある医薬品に指定されれば、製品包装に関連警告文句を表示しなければならず、医薬分業例外地域(医療機関と薬局を併用しにくい邑・面・島しょ地域)でも医師の処方せんなしには販売できなくなる。また健康保険審査評価院の医薬品安全使用サービス(DUR)などを通じた処方状況の監視(モニタリング)の対象となる。

政府は減量ブームのなか、美容目的の使用やオンラインでの違法取引、海外の個人輸入および遠征購入の事例が増えている点を規制推進の背景に挙げている。

一方で医療界と業界の一部では、規制は適切ではなく実効性にも限界があると主張する。

腸から分泌されるホルモンであるグルカゴン様ペプチド(GLP)-1の作用を模倣した肥満治療薬の登場で市場が急成長するなか、誤用・乱用のおそれがある医薬品指定が適切な解決策かどうかをめぐり論争が続いている。

ウゴービ(上)とマンジャロ(ゼプバウンド)。GLP-1系の肥満治療薬は、脳の食欲中枢を抑制し胃排出を遅らせることで、少量でも満腹感が長く続くように作用する。/チョソンDB

◇「無分別な使用を阻止すべきだ」…政府、誤用・乱用管理を強化

ノボノルディスクのウゴービとイーライリリーのマンジャロは2024年10月と2025年8月にそれぞれ国内市場に投入された。国内市場でも品薄が生じるほど旋風的な人気を博した。

問題は、肥満患者だけでなく正常体重または過体重水準の消費者までが美容目的で処方を受ける事例が増え、論争が噴出したことだ。

誤用・乱用のおそれがある医薬品指定は、こうした問題を管理する最低限の安全装置だというのが食薬処の判断である。

実際、ソーシャルメディアやオンラインコミュニティには肥満治療薬を活用した減量の体験談や処方情報があふれている。日本など海外で製品を購入する、いわゆる『遠征購入』の事例も増えている。一部地域の薬局は安価を売りに『肥満治療薬の聖地』と呼ばれることもある。

食薬処は、海外で流通する医薬品の場合、製造・流通経路の確認が困難で、偽造医薬品が混入している可能性も排除できないと警告する。最近、GLP-1系肥満治療薬の流通実態を点検した結果、処方せんなしで医薬品を販売したり、診療記録簿を作成しなかった薬局も摘発された。

業界では、食薬処が誤用・乱用のおそれがある医薬品指定を根拠に広告や販売行為に対する監視を強化し、関税庁など関係機関と協力して取り締まりもより体系的に進めるとみている。

◇『治療薬だけを規制する逆説』

ただし医薬界では今回の措置に対する反論も相次ぐ。今回の措置は実効性に欠け、肥満に対する社会的スティグマを強める可能性があるという主張だ。

グローバル大手製薬出身の薬物監視専門家は「GLP-1系肥満治療薬は臨床的にも乱用事例や依存性プロファイルが確認されたことはない」と述べ、「米国と欧州でも乱用リスク薬物には分類されていない」と語った。

米国、欧州、日本の規制当局が韓国の『誤用・乱用のおそれがある医薬品』のような別途の管理体系を運用する事例は見当たらず、偽造医薬品や違法オンライン販売、未承認製品の流通などに対してのみ集中的に取り締まる方式が一般的だという説明だ。

ある開業医は「最近になってようやく肥満を疾病として認める雰囲気が生まれたなかで、肥満治療薬に『誤用・乱用のおそれ』という表現が付くこと自体が、治療に対する社会的スティグマを強めかねない」と述べた。

この開業医は「ウゴービとマンジャロは単なる減量薬ではなく、肥満患者の血糖コントロールや心血管系リスクの低減、代謝疾患の改善などに資する治療薬だ」とし、「むしろ保険適用化によって適応症と処方基準を明確にすれば、自由診療市場で発生する誤用・乱用の問題は緩和できる」と主張した。

海外の個人輸入と遠征購入の問題は、国内製品の包装に警告文句を貼付したからといって解決する類のものではないとの指摘もある。需要構造の問題であり、治療薬を規制するのは妥当ではないという指摘だ。

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