人間のゲノム解読を主導した米国の科学者、ジョン・クレイグ・ベンターが79歳で死去した。
クレイグベンター研究所は先月30日(現地時間)に、ベンターががん治療の過程で死去したと明らかにした。クレイグベンター研究所はベンターが設立した非営利研究機関である.
ベンターは1990年代、人間のゲノムを解読する「ヒトゲノムプロジェクト」が進行していた時期に、セレラ・ジェノミクスを設立して独自のゲノム解析を主導した。米国国立衛生研究所(NIH)とエネルギー省(DOE)などが支援していたヒトゲノムプロジェクトの進行速度が予想より遅いと判断し、独自開発した技術を活用してこれらと競争に乗り出した。
実際にベンターが開発した「ショットガンシーケンシング」は、ヒトゲノムプロジェクトの進行速度を高めるうえで大きく貢献した。遺伝情報を含むデオキシリボ核酸(DNA)を無作為の小さな単位に分割した後、各断片の塩基配列を解析して再び組み立てる方式で、従来の方式よりも極めて速い速度でゲノム解析を可能にする技術である。
ヒトゲノムプロジェクトもベンターのショットガンシーケンシングを適用し、研究に弾みがついた。ベンターとヒトゲノムプロジェクトの研究陣は2000年に人間のゲノム草案を共同で発表した。人間の疾病と遺伝的起源を解明するうえで最も重要なマイルストーンが誕生した瞬間である。以後2003年にはヒトゲノムプロジェクトの研究陣がゲノムで中核的機能を担う92%を解読することに成功し、2022年には残り8%の解読も進み、細胞分裂で当該部分が重要な役割を果たすことが明らかになった。
ベンターは人間のゲノム解析に寄与した功労で2007年にスクリップス海洋研究所が授与する「ニーレンバーグ賞」を受賞した。2009年にはバラク・オバマ米国前大統領から国家科学勲章も受けた。
若い頃にベトナム戦にも参戦したベンターは、戦場での記憶を踏まえて医学にも関心を持つようになり、その後ヒューマン・ロンジェビティ(Human Longevity)とディプロイド・ジェノミクス(Diploid Genomics)を創業した。ヒューマン・ロンジェビティはAIと老化研究を結びつけて寿命を延ばす技術を開発することを目標としており、ディプロイド・ジェノミクスはゲノム情報を用いた疾病診断技術を開発している。
ベンターが開発したゲノム解析技術は現在では進歩した技術の登場により使われていないが、ゲノム研究の礎を築いたとの評価を受ける。アンダース・デール・クレイグベンター研究所代表は「ベンターのリーダーシップとビジョンがゲノム学界と合成生物学の発展を牽引した」と評価した。