ヒトゲノム解読に貢献したジョン・クレイグ・ベンターが2009年にバラク・オバマ元米大統領から勲章を授与されている/AP 聯合ニュース

人間のゲノム(全遺伝情報)解読を主導した米国の科学者、ジョン・クレイグ・ベンターが79歳で死去した。

クレイグベンター研究所は先月30日(現地時間)に、ベンターががん治療の過程で亡くなったと明らかにした。クレイグベンター研究所はベンターが設立した非営利研究機関である。

ベンターは1990年代、人間のゲノムを解読する「ヒトゲノム計画」が進行していた時期に、セレラ・ゲノミクスを設立し、独自のゲノム解析を主導した。米国国立衛生研究所(NIH)とエネルギー省(DOE)などが支援していたヒトゲノム計画の進行速度が予想より遅いと判断し、独自に開発した技術を活用してこれらと競争に乗り出した。

実際にベンターが開発した「ショットガン・シーケンシング」は、ヒトゲノム計画の進行速度を高めるのに大きく寄与した。遺伝情報を持つデオキシリボ核酸(DNA)を無作為の小さな単位に断片化し、各断片の塩基配列を解析して再び組み立てる方式で、従来の方法より極めて速い速度でゲノム解析を可能にする技術である。

ヒトゲノム計画もベンターのショットガン・シーケンシングを適用し、研究に弾みがついた。ベンターとヒトゲノム計画の研究陣は2000年に人間のゲノム草案を共同で発表した。人の疾病と遺伝的起源を明らかにするうえで最も重要な道標が誕生した瞬間である。

ヒトゲノム計画の研究陣は、ゲノムで中核的機能を担う92%を解読することに成功した。2022年には残り8%の解読も進み、細胞分裂において当該部分が重要な役割を果たすことが明らかになった。

ベンターは人間のゲノム解析に寄与した功労で2007年にスクリップス海洋研究所が授与する「ニーレンバーグ賞」を受賞した。2009年にはバラク・オバマ米国前大統領から国家科学勲章も受けた。ベンターは遺伝情報を解読したのに続き、合成遺伝子で人工生命体を作る試みも行った。

ベンターが率いるクレイグ・ベンター研究所(JCVI)は2010年、人工的に合成した遺伝子を持つ細菌「JCVI-syn1.0」を開発した。初の人工生命体であった。研究陣は遺伝子を除いた細菌に人工合成した遺伝子を注入した。

ベンター博士の研究陣は2016年、国際学術誌サイエンスに、遺伝子493個を持つ人工生命体を開発したと発表した。本来この細菌は遺伝子が901個だが、遺伝子解析によって最適化し、473個だけでも十分に生存と増殖が可能であった。

米国標準技術研究所とマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究陣は2021年、国際学術誌「セル」に、クレイグ・ベンター博士が作った人工生命体バージョン3.0に遺伝子7個を追加し、実際の細菌のように均一に分裂し成長するようにしたと報告した。

人工生命体は自然を模倣するだけでなく、新たな能力を持ち得る。人工細菌のように遺伝子を人為的に設計する合成生物学は、治療薬やバイオ燃料など有用物質を最小コストで生産する道具として注目されている。

ベンターは若い頃のベトナム戦争の戦場での記憶を踏まえ、医学にも関心を持つようになった。のちに寿命延長と疾病診断のためにヒューマン・ロンジェビティ(Human Longevity)とディプロイド・ゲノミクス(Diploid Genomics)を起業した。ヒューマン・ロンジェビティはAIと老化研究を組み合わせて寿命を延ばす技術の開発を目標としており、ディプロイド・ゲノミクスはゲノム情報を用いた疾病診断技術を開発している。

ベンターが開発したゲノム解析技術は現在は進歩した技術の登場により使用されていないが、ゲノム研究の礎を築いたとの評価を受ける。アンダース・デール・クレイグ・ベンター研究所代表は「ベンターのリーダーシップとビジョンがゲノミクス界と合成生物学の発展を牽引した」と評価した。

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