オレンジ農園で走行するロボットが車体前方の電磁誘導(EMI)センサーで土壌の含水量を測定する様子。/UCリバーサイド

地球温暖化の影響で世界各地で干ばつが深刻化している。農業用水が不足する地域も増えた。科学者が農業の水不足問題を解決する技術を開発した。ロボットが喉の渇いた木を選び出し、不足する水をより効率的に使う方法である.

米国リバーサイドのカリフォルニア大学(UCリバーサイド)のエリア・スクディエロ(Elia Scudiero)教授の研究チームは「オレンジ農場で木ごとに異なる土壌水分量を地図化し、水を与える適切な時期と場所を把握できるようにした」と2日(現地時間)明らかにした。研究結果は国際学術誌『農業コンピュータ電子工学』に掲載された。

◇磁場センサーを搭載し水分量を測定

研究チームは土壌水分量を測る半自律走行ロボットを開発した。本体はカナダのクリアパス・ロボティクス(Clearpath Robotics)社のジャッカル(Jackal)というモデルである。大きさは横43㎝、縦51㎝、高さ25㎝である。ロボットは未舗装路や農場のような不整地でも走行できる。

ロボットの中核技術は土壌の水分量を測る電磁誘導(EMI)センサーである。1831年、英国の物理学者マイケル・ファラデーは磁場が変化すると電流が流れるという電磁誘導の法則を発見した。EMIセンサーは磁場の変化から土壌内部で電流がどの程度よく流れるかを把握する。地中に水が多いほど電流はよく流れる。

研究チームは車体の金属部品がセンサー測定に影響を与えないよう、車両前部に長さ35㎝の非金属棒を取り付け、その先端にEMIセンサーを装着した。ロボットが移動しながら地中の電流量を測定し、これを根拠に水分量まで割り出す。研究チームは「現代版ロボット水脈探知棒」と呼んだ。

研究チームは大学の研究用オレンジ農場で、ロボットが移動しながらEMIセンサーで土壌の水分含有量を測定するようにした。同時に長さ12㎝のEMI電極棒を20カ所に挿し、地表から12㎝の深さの水分量を測定した。研究チームは2つの測定データを統合し、果樹園全体の土壌水分量地図を作成した。地図を見ると、どの木が喉が渇いているか一目で分かる。

UCリバーサイドの研究用果樹園で、ロボットが各樹木ごとの異なる土壌含水率を5段階で示したグラフ。土壌1㎥当たりの水分量を㎥単位で表した。水分が多いほど色が濃くなる。/UCリバーサイド

◇病虫害を抑え地下水汚染も防止

現在もEMIセンサーを地中に挿して土壌の水分量を測ることはできるが、得られる情報は限定的である。スクディエロ教授は「地中にセンサーが設置されたまさにその周辺地域で何が起きているかを知らせるだけだ」と述べた。とはいえ木ごとに土壌へセンサーを設置するには費用がかさむ。ロボットを使えば地下センサーなしでも数百、数千本ごとにそれぞれ異なる土壌水分量を測り、それに合わせて給水できる。

カリフォルニアの果樹園はスプリンクラーシステムを備え、定められた時間に同じ量の水を与えている。UCリバーサイドの研究チームは土壌水分地図を通じ、同じ果樹園でも木ごとに利用可能な水が異なる場合があることを突き止めた。土壌粒子の密度が高いと水が付着する表面積が広く水分量が多く、砂が多いと水が早く抜けて水分量が少ない。研究チームは「今回開発したロボットを用いれば木ごとの水分分布状況を把握できる」とし、「乾燥した木にだけ水を与えられるため、農業用水を効率的に使用できるだろう」と明らかにした。

土壌が適切な水分レベルを維持することは植物の健全性にも重要である。水が少なすぎると木がストレスを受け、害虫や病気により脆弱になる。逆に水を与えすぎると土壌の空隙がすべて水で満たされ、根が酸素を吸収できない。作物が水で窒息する格好である。スクディエロ教授は「作物に必要なだけの水を与えれば、根から肥料がすぐに洗い流されて地下水汚染を引き起こすリスクも減らせる」と述べた。

研究チームは2019年からロボットで土壌の水分量を自動測定する研究を進めてきた。すでに関連技術の特許を出願しており、今後は大学の研究用果樹園を越え、実際の農家で今回開発したシステムを試験する計画だと明らかにした。

参考資料

Computers and Electronics in Agriculture(2026), DOI: https://doi.org/10.1016/j.compag.2026.111540

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