ホルアリがチャンジョムバギプルンブジョンナビの幼虫を運ぶ。チョウの幼虫はアリの巣で働きアリに世話され成長する。/イタリア・トリノ大学

カッコウは別の鳥の巣に卵を産む。巣の主はそれと知らず大事に抱いて育てる。昆虫界にはカッコウ顔負けの存在がいる。シジミチョウ科(Lycaenid)の幼虫は天敵であるアリから餌を与えられて育つ。秘訣は声真似である。チョウの幼虫はアリがやり取りする音を真似して家族として認められることが分かった。

フランチェスカ・バルベロ(Francesca Barbero)イタリア・トリノ大学生命科学科教授の研究チームは「シジミチョウ幼虫は、アリが出す音を同じタイミングと同じ拍子で模倣したおかげでコロニーの一員として認められ、餌と手厚い世話を受ける」と25日(現地時間)国際学術誌「ニューヨーク科学アカデミー紀要」に発表した。

シジミチョウはチョウ類の40%を占めるほど一般的なチョウである。翅の下面は白に近い灰色に黒い斑点があり、上面は金属光沢を帯びた青色だ。一部の種はカッコウのようにアリにただで幼虫の育児を任せる。シジミチョウ幼虫は天敵のアリを欺いて使役するにとどまらず、恩知らずにもアリの卵や幼虫まで捕食する。

チャンジョムバギプルンブジョンナビ。幼虫期をアリの巣で過ごすチョウである。/Butterfly Conservation

◇アリの通信信号のリズムに合わせて振動

シジミチョウは生まれつきのスパイだ。母チョウが花に産んだ卵からかえった幼虫は自らアリの巣を探し出す。幼虫はアリにとって願ってもない良い餌だが、何の問題もなくアリの巣の中に入る。働きアリが好む糖分を分泌して懐柔する一方、アリを識別する化学信号であるフェロモンで偽装するためである。

バルベロ教授の研究チームは、シジミチョウ幼虫がアリの巣の中で宿主を誘引し宥めるため、精密に時間を合わせた振動リズムも活用する事実を明らかにした。論文の第1著者であるキアラ・デ・グレゴリオ(Chiara De Gregorio)英ウォリック大学ポスドク研究員は「チョウの幼虫がアリの言語を操る格好だ」とし「アリが出す音にリズムを合わせながら、自分がアリのコロニーの一員であると説得する」と説明した。

研究チームはシジミチョウ科9種の幼虫とハリアリ属(Myrmica)2種を採集し、超高感度マイクで彼らが出す音を録音・分析した。ハリアリの世話に全面的に依存するアレコンギンイロシジミ(学名 Phengaris alcon)の幼虫はアリと酷似した音を出した。チョウの幼虫はアリと同じ時間間隔で音を出すだけでなく、拍子まで合わせた。

ハリアリは行進曲のように強弱の二拍子で音を出すが、チョウの幼虫も全く同じだった。アリと関係がない種は、より単純または不規則なリズムで音を出した。バルベロ教授は「暗く混雑したアリの巣では正確なリズムが信号を素早く認識するのに役立つ」とし「チョウの幼虫にとってリズムを正確に合わせることは生死が懸かる問題だ」と述べた。

ホルアリとコウンジョムバギプルンブジョンナビの幼虫(赤)。別のチョウの幼虫は働きアリから餌をもらうが、この幼虫はアリの卵や幼虫を捕食する。/Daniel Sanchez

◇危機が迫ってもまずチョウの幼虫から守る

シジミチョウ幼虫がアリの音を真似るという事実は以前から知られていた。2009年には英オックスフォード大学のジェレミー・トーマス(Jeremy Thomas)教授が「サイエンス」に、シジミチョウ幼虫が女王アリの出す音を模倣すると発表した。

働きアリは餌が不足すると、自分の子は後回しにしてチョウの幼虫を先に守った。研究チームは、チョウの幼虫が出す音が女王アリと同じだったためだと解釈した。もともと働きアリは環境が悪化すると卵や幼虫は脇に置き、女王アリだけを保護する。

チョウの幼虫の声真似は寄生の程度により差があった。バルベロ教授の研究チームは2014年、国際学術誌「プロスワン(PLOS ONE)」に、アリの世話への依存度に応じてシジミチョウ幼虫が女王アリの音を模倣する時間が異なると発表した。

アレコンギンイロシジミの幼虫は全面的に働きアリが与える餌をもらって育つ。最後まで働きアリの世話を受けねばならないため、アリの巣に入るとより強く女王アリの音を真似た。これに対しオオルリシジミ(Phengaris teleius)は、ひとたびアリの巣に入ると女王アリの声真似は少なかった。このチョウの幼虫はアリの巣の中で自らアリの卵や幼虫を捕食する。声真似はアリの巣に侵入する際にのみ必要だったとみられる。

寄生バチがアリに世話されるシジミチョウの幼虫に産卵している。寄生バチはアリを興奮させるフェロモンを分泌して混乱を誘い、その隙に巣内へ入り込んで産卵する。/英・オックスフォード大学

◇アリのセキュリティ信号を逆用する寄生蜂

アリの巣は昆虫界のスパイ戦の戦場である。シジミチョウ幼虫はアリ塚の前でアリと酷似したフェロモンを分泌する。アリの識別信号をハッキングした格好だ。アリもチョウ幼虫のハッキングに対抗して新たなセキュリティ技術を開発した。暗号をより複雑にするのである。

デイビッド・ナッシュ(David Nash)デンマーク・コペンハーゲン大学教授は2008年、サイエンスに、一度もシジミチョウ幼虫の侵入を受けなかったアリと、シジミチョウ幼虫が頻繁に寄生したアリの間のフェロモン差を分析した研究を発表した。チョウの幼虫を見たことがないアリは常に似たフェロモンを出したが、チョウの幼虫にしばしば遭遇したアリはより多様なフェロモンを放出した。

アリとシジミチョウの戦いで漁夫の利を得る昆虫もいる。オックスフォード大学の研究チームは2002年、ネイチャーに、寄生蜂がアリの巣にいるギフチョウモドキシジミ(Phengaris rebeli)幼虫に産卵する秘密を発表した。寄生蜂はまずアリの巣の前でアリを誘引し攻撃性を高めるフェロモンを相次いで分泌した。フェロモンに惑わされたアリが群がって互いに争っている隙に、寄生蜂は悠々とアリの巣に入り、シジミチョウ幼虫の体に産卵した。寄生蜂の幼虫はアリの巣の中で安全にシジミチョウ幼虫を食べて育つ。

韓国の昆虫研究の先駆者で「チョウ博士」と呼ばれたソク・ジュミョン先生は、ある先輩が翅の模様を見てシジミチョウという洒落た名前を付けたと記した。ソク・ジュミョン先生は1947年「朝鮮の蝶の名称由来記」で「ブジョンという言葉は、写真立てのようなものを掛ける際、下に挟む小さな座布団の役割をする三角形の色彩ある装飾物をいう」と説明した。愛らしい姿と美しい名の内側に、欺き欺かれる苛烈な生存競争が隠れていた。

参考資料

Annals of the New York Academy of Sciences(2026), DOI: https://nyaspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nyas.70223?af=R

PLOS One(2014) DOI: https://doi.org/10.1371/journal.pone.0094341

Science(2009), DOI: https://doi.org/10.1126/science.1175726

Science(2008), DOI: https://doi.org/10.1126/science.1149180

Nature(2002), DOI: https://doi.org/10.1038/417505a

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