新型コロナの流行当時、ワクチンからカビや髪の毛、二酸化ケイ素(シリカ)など製造過程で混入した可能性がある異物が見つかったにもかかわらず、防疫当局は接種を中断せずにワクチン接種を継続したことが明らかになった。異物の通報以後にも同一製造番号(ロット番号)のワクチン約1420万回分が追加で接種された。
監査院が23日に公開した「新型コロナ対応実態の診断および分析」報告書によると、疾病管理庁は2021年3月から2024年10月まで医療機関から新型コロナワクチンの異物通報1285件を受け付けた。
このうち835件(65%)は接種過程でゴム栓の破片が落ちた事例だった。カビ・髪の毛・二酸化ケイ素など危害が懸念される異物の通報も127件(9.9%)に達した。
政府マニュアルによれば、ワクチンで異物が見つかった場合、疾病庁は食品医薬品安全処に品質審査を要請し、食薬処は成分分析などを経て結果を通知しなければならない。必要な場合、当該製造番号のワクチンについて接種保留や回収・検査措置が講じられるべきだ。
しかし監査院によると、疾病庁は異物通報を食薬処に通知せず、メーカーにのみ知らせた。メーカーの自主調査結果を別途の検証なしに受け入れる方式で事案を終結した。その間に危害懸念の異物が通報された製造番号のワクチン約1420万回分が追加で接種された。
有効期限が切れたワクチンの接種事例も明らかになった。監査院は2021〜2023年の間に2703人が有効期限の過ぎた新型コロナワクチンを接種したと明らかにした。
疾病庁は新型コロナ予防接種の実施基準などに、有効期限切れワクチン接種時に被接種者へこれを知らせるよう明示しておらず、再接種の可否も別途管理していなかった。その結果、2703人のうち1504人(55.6%)は再接種を受けていないと把握された。
それにもかかわらず疾病庁はこれらに予防接種証明書を発給した。
監査院はまた、文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の防疫体制の構造的な混乱も指摘した。疾病庁中央防疫対策本部、福祉部中央事故収拾本部、汎政府中央災難安全対策本部、地方政府などが同時に稼働したが、法令とマニュアルで機関別の役割と責任が明確に区分されず、業務の遅延と混乱が発生したということだ。
実際に福祉部と疾病庁は事前調整なしに相反するメッセージを出した。福祉部が「選挙遊説は5人以上の集まり禁止の対象ではない」とすると、疾病庁は「適用対象だ」とし、綿マスクの予防効果やワクチン接種インセンティブの有無を巡っても相反する説明が出た。
中央・地方政府間の足並みの乱れもあった。中央政府が自己検査キット導入に慎重論を展開する間、ソウル市は導入計画を明らかにし、屋内マスク義務を段階的に緩和するという中央方針と異なり、一部の自治体は独自判断で義務を解除した。
疾病管理本部を疾病庁に昇格する過程でも混乱が生じた。2020年当時、ワクチン導入の交渉主体が明確に整理されないまま組織改編が行われ、福祉部と疾病庁が互いに相手機関の業務と認識して交渉が1カ月以上遅延したと監査院は明らかにした。
疫学調査でも死角があった。航空機搭乗の確定患者発生時に隣接座席の乗客は隔離したが、当該区域の乗務員は接触者に分類せず、最小658人から最大9514人が隔離されなかった。地域間の接触者情報共有システムがなく、メール・公文に依存するうち隔離が漏れた事例も多数確認された。
これに関連して疾病庁はこの日ブリーフィングを開き、監査結果を「積極的に受け入れる」と明らかにした。ただし異物ワクチンに関しては「接種過程で異物が報告された場合、当該ワクチンは隔離・保管しており、実際に接種された事例はない」と釈明した。
また「メーカーの調査結果、同一製造番号のワクチン1420万回分で製造・工程上の品質異常が見つかったことはない」と強調した。
疾病庁は「パンデミック当時、食薬処を経ずにメーカーへ直接調査依頼をした場合が多く、調査結果が出るまで当該製造番号全体に対する接種中断措置は行わなかった」と説明した。
あわせて、ワクチンの品質異常発見時の通報および品質調査依頼の手続きを具体化し、誤接種の管理指針とシステムを補完すると明らかにした。食薬処も緊急使用承認ワクチンに対する品質検証制度を導入し、法的根拠を整備するとした。
監査院は保健福祉部、疾病管理庁、食品医薬品安全処、行政安全部など4機関に計31件の改善事項を通知した。
ただし2020年3月、チェ・ジェヒョン当時の監査院長が「国家的な危機対応の過程で個人的な不正がない限り問責しない」と明らかにした点を踏まえ、関係者に対する懲戒などの人事措置は行わなかった。