肥満治療薬が人気を集めるなか、製薬各社が思わぬところで頭を抱えている。ウェゴビを販売すると称して金をだまし取る詐欺が発生したり、実損保険をめぐる論争が持ち上がっているためだ。肥満治療薬は需要が高く価格も高めのため、違法流通ルートが登場し問題が拡大している。
インターネットで「数百万円を送金すればウェゴビ3カ月分を送る」とする事例が代表的だ。ダイエット医薬品を販売するサイトを作り、金だけ受け取って肥満治療薬は送らない手口である。水原地裁は、ウェゴビなど肥満治療薬代2,100万ウォン余りを8人から受け取り、さらに酒類などを販売すると称して数千万ウォンをだまし取ったA氏に対し、詐欺の罪で2024年5月に懲役2年6カ月を言い渡した。
一般の食品をウェゴビと同じ成分だと広告し、ソーシャルメディア(SNS)で違法販売する事例もある。これに先立ち食品医薬品安全処(韓国の医薬品・食品規制当局)は、インフルエンサーを前面に出し「1カ月で7kg減量」「超強力な食欲抑制」などの文句で宣伝し、300億ウォン超を得た業者5社の代表を、食品などの表示・広告に関する法律違反の疑いで検察に送致した。販売製品はウェゴビと成分が同じだとしたが、実際に体重を減らす効果はないことが判明した。
ウェゴビ、マンジャロなどの肥満治療薬を販売し、診療記録簿を虚偽作成して保険金を請求する病院も摘発されている。治療目的ではない肥満治療薬は実損保険の対象外である。一部の病院は肥満治療薬を販売し、体外衝撃波治療など実損保険の補償項目を治療したかのように診療記録簿を作成する方式で患者を集めていたことが分かった。
金融監督院と警察庁などは3月まで実損保険の悪用詐欺に対する特別申告期間を運用している。診療記録簿を操作した医師や病・医院関係者、ブローカー、患者などを申告すれば、1,000万〜5,000万ウォンの報奨金を支払う。
海外でも偽の肥満治療薬問題が浮上している。米国では偽の肥満治療薬がTikTokやインスタグラムなどで違法販売された事案があり、英国・ドイツなど欧州でも違法流通が摘発された例がある。米食品医薬品局(FDA)は「低血糖や吐き気を引き起こす恐れがあるので注意せよ」とした。こうした偽の肥満治療薬は、包装の文言に誤字がある場合もあるという。
ウェゴビとマンジャロは、デンマークのノボノルディスク、米国のイーライリリーが開発した肥満治療薬である。食後に小腸から分泌されるグルカゴン様ペプチド(GLP)-1ホルモンを模倣した薬剤で、週1回注射する方式だ。脳で食欲を抑制し、食物が胃内を移動する速度を遅らせて満腹感を高める原理である。体格指数(BMI)30以上、または高血圧、第2型糖尿病などがあるBMI27〜30の患者が治療対象だ。
肥満治療薬は病院で医師の処方を受けなければならない専門医薬品である。腹痛、嘔吐、出血といった副作用が生じる恐れがあるためだ。ノボノルディスク関係者は「会社をかたる事例まである」と述べ、「患者に安全な使用を案内している」と明らかにした。韓国リリーは「違法広告に惑わされず、医療専門家に相談すべきだ」と説明した。
肥満治療薬は最近、経口薬が米食品医薬品局の承認を受け、関心が一段と高まっている。患者が適正な流通チャネルを経ない場合、安全性の問題が生じ得るため、格別の注意が必要である。