旅行のように楽しかった体験を思い起こすなど前向きな思考を多く持つと、脳の報酬中枢の活動が高まり、ワクチンの免疫効果も高まることが明らかになった。/Pexels

年を重ねるほど前向きに考えるほど健康でいられるとされる。実際に同じワクチンでも前向きな人により効果が高いという研究結果が示された。前向きな経験を想像すると、外部からの侵入者を検知して無力化する抗体がより多く生成されるということだ。

タルマ・ヘンドラー・イスラエルのテルアビブ大学精神医学科教授の研究チームは「報酬と肯定的期待と結びつく脳領域を活性化するよう訓練すると、ワクチンに対する身体の免疫反応が増加することを確認した」と20日、国際学術誌「ネイチャー・メディシン」に発表した。

◇B型肝炎ワクチンでプラセボを確認

心理状態は薬効に影響すると知られている。いわゆるプラセボ(placebo)効果は、砂糖で作った偽薬を飲んだり生理食塩水の注射を受けても、本物の薬だという信念によって治療効果が現れる現象だ。逆に本物の薬を処方しても、患者の否定的な考えのために薬効が落ちると逆プラセボ、またはノセボ(nocebo)効果と呼ぶ。

研究チームは85人を対象にワクチンでもプラセボ効果が現れるかを試験した。研究チームは前向きな考えを高める訓練を行った後、B型肝炎ワクチンを接種した。2週と4週後にそれぞれ採血して抗体を分析した。

実験の結果、脳で快感と満足感をもたらす報酬中枢の活動が増えた人ほど抗体値が高かった。研究チームは「今回の結果は、前向きに考えるだけでも免疫系を強化するのに役立つことを立証したものだ」とし「これはプラセボ効果だ」と明らかにした。

研究チームは参加者がワクチン注射を受ける前に前向きな考えをするよう誘導する心理訓練を行った。参加者は旅行のように楽しかった出来事を思い起こした。この時、脳の報酬中枢である腹側被蓋部(VTA)の活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で撮影した。脳で特定の領域が作動すると、そこに血液が集まる。fMRIは該当領域をまるで明かりが灯ったように示す。

1980年代にVTAにある神経細胞が活性化すると神経伝達物質のドーパミンが分泌される事実が明らかになった。こうなると快感と満足感が得られる報酬を受ける。参加者はfMRI画像を基に前向き思考の水準を評価され、これを高められる訓練を4回繰り返した。どのように考えると脳の報酬中枢がより強く反応するかを確認し、その方向に訓練を集中する方式である。研究チームは、脳の報酬中枢活動を維持する方法を学んだ人々で抗体値がより大きく増加したと明らかにした。

新型コロナワクチン接種後に現れる軽度の副反応は、多くが否定的な思考によって生じるノセボ効果だとする研究結果が示された。/Pixabay

◇否定的思考はコロナ副反応を誘発

反対に否定的な考えが多い人は同じ薬でも効果が劣る事実も既に確認されている。米国ハーバード医科大学のテッド・カプチュク教授の研究チームは2022年、「米医師会雑誌(JAMA)ネットワーク・オープン」に、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)予防ワクチンを接種した人々が経験する頭痛や倦怠感のような一般的な副反応は、3分の2以上が逆プラセボ効果として現れると明らかにした。

研究チームは、米国のコロナワクチン臨床試験12件で副反応を訴えた4万5380人にはワクチンだけでなく偽の注射を受けた人々も含まれていたことを確認した。臨床試験は参加者を無作為に選別し、一方には本物の薬、もう一方には偽薬を投与して薬効を評価する。誰が本物のワクチンを接種するのかを知らせていないため、ワクチンを接種した人々が申告した副反応も同じ比率で逆プラセボ効果と見なせる。

分析の結果、ワクチン1回目接種後に現れる頭痛や倦怠感といった全身性の副反応は76%が逆プラセボ効果によるものと判明した。2回目接種の副反応も逆プラセボ効果が52%を占めた。カプチュク教授は論文で「プラセボ効果に関する情報を提供すれば、ワクチンに対する否定的な考えを減らし接種率を高められるだろう」と述べた

当時の研究結果は過去の臨床試験結果を分析したもので、プラセボ効果を確認するために新たに試験したわけではなかった。この点でイスラエル研究チームの今回の研究結果は、プラセボ効果を調べるために新たに試験を実施したという意味がある。ヘンドラー教授は「脳の報酬システムを活用する方法を学べば、予防接種効果が増加するという因果関係とみられる初の人を対象にした実証研究だ」と語った。

もちろん今回の結果が思考だけで疾病を治療できるという意味ではない。だが心理戦略が免疫系が感染と闘い、さらには腫瘍を抑制するのに役立つ可能性はあると研究チームは明らかにした。前向き思考に明確な医学的利点があるかどうかを確認するには、より大規模な臨床試験が必要だ。研究チームは、炎症反応を担う免疫系の他の部分も心理状態の影響を受けるかどうかを調査中だと明らかにした。

参考資料

Nature Medicine(2026), DOI: https://doi.org/10.1038/s41591-025-04140-5

JAMA Network Open(2022), DOI: https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.43955

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