米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)が月面で使用する核分裂ベースの電力システムを共同開発することを決めた。目標は2030年までに月面原子炉を開発することであり、NASAの有人月探査計画「アルテミス」と将来の有人火星探査を下支えする持続可能な電力インフラを整備する構想だ。
NASAとDOEは13日(現地時間)に覚書(MOU)を締結し、2030年までに月面原子炉を開発・準備するという目標を公式化した。
月探査における大きな現実的障害の一つは安定的な電力供給である。月は昼と夜が長く続き、月の夜は地球時間で約14日も継続する。この期間は太陽光パネルで発電できず、気温も大きく下がるため、機器や居住設備の維持が難しくなる。
両機関が推進する核分裂表面電力は、月面に設置する小型原子炉発電装置である。ウラン原子核を分裂させて熱を生み、その熱を電力に変換する方式だ。日照が弱い、あるいはない環境でも昼夜のサイクルにかかわらず電力を供給できる。
DOEが公表した説明によれば、月面原子炉システムは最大40kW(キロワット)級の電力を目標とする。100Wの電球400個を点灯するのに必要な電力だ。数字だけ見れば巨大な発電所とは比較にならないが、月面基地の一部インフラや機器を稼働させるには意味のある規模だと説明している。
今後NASAは月面基地と探査任務の全体設計を、DOEは原子炉設計と燃料管理の専門性を基に、開発、燃料、打ち上げに向けた認可準備までを共に推進する。
ジャレッド・アイザクマンNASA局長は「米国は月に再び赴き現地に留まるための基盤施設を構築し、火星の先へ進む次の段階に向けた投資に専念している」と述べ、「このような未来を実現するには原子力を活用しなければならない」と明らかにした。
月面電力は事実上、長期滞在型の月面基地の前提条件とみなされている。こうした背景から、他の宇宙大国も類似の構想を描いている。ロイターは先に、ロシアが中国と共に進める月面研究基地構想に合わせ、今後10年以内に月面原発を建設する計画を協議してきたと伝えた。