近年は韓国でも西欧のように年末年始に休暇をまとめて取る会社員が増えた。ゆったり休みながら一年を振り返り新年の計画を立てる時間を持つ。しかし休むこと自体が簡単ではない。何の計画もなく休むとエネルギーを補充するどころか逆にストレスだけ受ける場合が多い。どうすればうまく休めるのか。
米国ウースター工科大学の心理学者ステイシー・ショー教授は「冬のホリデーシーズンに睡眠やテレビ視聴のように考えなしに休むより、適度な活動を伴う動的休息(active rest)をしたほうがストレスを減らしエネルギーを補充できる」と18日(現地時間)、非営利メディア「ザ・コンバーセーション」に発表した。同メディアは大学や研究機関の研究者が自身の研究結果を直接紹介する記事を掲載する。
◇悪夢になりやすいクリスマスシーズン
米国や欧州ではクリスマスが近づくと年初まで長く休む人が多い。最近は韓国でもクリスマスから新年の元日まで休ませる企業が増えた。休暇が長ければ無条件に良いと考えがちだが、現実はそうではない。休暇がかえってストレスの数値を高めることもある。
ショー教授は「冬のホリデーシーズンは財政支出が増え日常が崩れることで心理的にむしろ打撃を受けやすい」とし、「旅行のストレスや家族関係の負担まで重なると、休暇中ずっと情緒的安定感が低下するのは当然だ」と述べた。
米国心理学会が2023年に2000余人を対象に実施した調査によると、年末年始の休暇はさまざまな理由でストレスを与える。最大の懸念は贈り物だった。プレゼントを買うお金が不足しているという懸念(46%)が最大のストレス要因で、プレゼント選び(40%)と過度な支出(38%)がこれに続いた。家族や他者との関係に対する負担、喪失感もストレス要因だった。
ショー教授は冬休みのストレスを克服するには質の高い休息を取るべきだと提案した。まずテレビとスマートフォンから距離を置く必要がある。米国サイエンティフィック・アメリカン誌が2002年に調査した結果によれば、最も人気のある余暇活動はテレビ視聴だった。しかし1日4時間以上テレビを見た人は、2時間未満の人よりテレビ視聴が楽しくないと答えた。短時間ならともかく、休暇中ずっとテレビの前にいるとストレスを与えるだけだということだ。
20年が過ぎた今、テレビに代わったスマートフォンも同様だ。ショー教授の研究チームが大学生を調べたところ、スマートフォンでソーシャルメディアを見ることも休息効果をもたらさなかった。ショー教授は、ソファに横たわってテレビやスマートフォンを見る静的休息ではなく、人と交流し外に出る動的休息をするよう提案した.
だからといって無理に集まりを作ったり予定を詰め込むと逆効果になる。合間に休符を入れるのが良い。ショー教授は午前に買い物をしたなら午後は静かな場所で本を読み回復の時間を持つよう勧めた。またプレゼントを開けてすぐ片付けず、そのままにして散歩に出るのも良いとした。不十分な休息と活動不足の悪循環を断てということだ。
◇散歩、趣味活動が脳のストレスを減少
休暇にむしろ動くことが心身に良いという点は既に多くの研究で実証されている。米国スタンフォード大学の研究チームは2015年、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」で、自然の中を散歩すると悲しみや反芻思考に関連する脳領域の活動を減らせると発表した。
昨年、英国エディンバラ大学の研究チームは自然の中での散歩が不安とストレスを減らすと明らかにした。趣味活動も同様の効果がある。2011年、日本の奈良教育大学の研究チームはピアノ演奏や書道といった趣味活動がストレスホルモンであるコルチゾールの数値を下げると発表した。
休暇が長くなると、これで良いのかという気持ちになるという人もいる。いわゆる「余暇罪悪感(leisure guilty)」が生じるのだ。休暇への期待が大きいほど余暇罪悪感も強くなる。ショー教授は、休暇が終わった後も続く余暇罪悪感をなくすのに有効な幾つかの方法も紹介した。
まず家族と完璧な休暇を過ごさねばならないという期待値から下げるべきだ。料理の準備を完璧にしたりプレゼントの包装をきれいにしなければならないという考えを捨てるよう助言した。また休暇には、ソファでテレビやスマートフォンを見るより没入感の強い活動のほうがエネルギー補充に適している。ショー教授は、先に研究者が推奨した散歩に加え、ビデオゲームをしたり子どもと遊ぶことも家事や会社業務を忘れるのに良いと提案した。
余暇罪悪感もむやみに抑え込まないよう助言した。ショー教授は「休むことへの罪悪感が湧いたら、その感情をそのまま受け入れて通り過ぎるべきだ」とし、「ストレスが強い状況では否定的感情を回避するより受け入れるほうが抑うつ症状を減らせる」と述べた。働くのと同じくらい、休むことにも戦略が必要というわけだ。
参考資料
The Conversation(2025)、DOI: https://doi.org/10.64628/AAI.6rrsky6ut
Current Psychology(2024)、DOI: https://doi.org/10.1007/s12144-023-05112-z
International Journal of Music Education(2011)、DOI: https://doi.org/10.1177/0255761411408505
Scientific American(2002)、DOI: https://doi.org/10.1038/scientificamerican0202-74