第一(ジェイル)薬品は子会社のOnconic Therapeuticsが、次世代抗がん新薬候補「ネスパリブ」の再発・転移性胃がんを対象とする第1b・第2相試験計画(IND)について、食品医薬品安全処から承認を受けたと17日に明らかにした。
今回の治験は、ネスパリブと既存の化学抗がん剤イリノテカンの併用療法における安全性・忍容性・有効性を評価することが目的である。韓国の主要な上級病院を中心に、三次以上の治療歴がある再発・転移性胃がん患者を対象に実施する予定だ。
ネスパリブは、がん細胞のDNA損傷修復を担う「PARP」と、がんの成長・増殖に関与する「タンクイラーゼ(Tankyrase)」を同時に阻害する二重阻害の原理を持つ次世代合成致死抗がん新薬候補である。
これに先立ちネスパリブは2021年、膵がんの適応で米国食品医薬品局(FDA)から希少医薬品指定(ODD)を受けた。続いて2025年3月には胃がんおよび胃食道接合部がんの適応でも希少医薬品指定を追加で獲得し、新規胃がん治療薬としての開発可能性があらためて認められた。
米国の希少医薬品指定は、FDAが当該物質の科学的資料を審査して決定し、指定時には約65億ウォン規模の新薬承認審査(NDA)手数料免除、承認後7年間の市場独占権など多様なインセンティブが提供される。実際に2022年のFDA承認新薬のうち約49%が希少医薬品指定を受けており、業界では希少医薬品指定を新薬開発可能性を測る一つの指標として評価している。
現在ネスパリブは膵がんの第2相で患者投与を開始しており、米国メルク(MSD)の免疫抗がん剤「キイトルーダ」との併用による子宮内膜がんの研究者主導第2相も進行中である。今回の胃がん適応が新たな第2相段階のパイプラインとして追加され、Onconic Therapeuticsは合計3つの第2相抗がん適応を確保することになった。
Onconic Therapeuticsは今回の胃がん治験入りを機に、従来の膵がん・子宮内膜がん中心の開発戦略を胃がん領域まで拡大し、抗がんパイプラインの適応の多角化を加速する方針だ。
Onconic Therapeuticsの関係者は「今回の胃がん第1b・第2相IND承認は、最近の膵がん第2相患者投与開始と相まって、ネスパリブの抗がん新薬としての開発価値が本格的に立証される段階に入ったことを意味する」と述べ、「治療選択肢が限られる進行性胃がん患者に新たな治療オプションを提供できるよう、治験の遂行に万全を期す」と語った。