李在明大統領は16日、保健福祉部の業務報告で、不妊治療支援、脱毛症・肥満の治療、韓医学による不妊治療などに関し、現行の健康保険と財政支援の体制が現実を十分に反映しているかを相次いで点検した。特に「保険料は払っているのに恩恵を受けられないという若年層の剥奪感が大きくなっている」として、制度全般に対する検討を求めた。
大統領はまず不妊治療支援事業に言及し「妊娠と出産を望んでもできない人々への支援がある」と切り出した上で、施術回数の制限と方式別の支援構造を詳しく尋ねた。福祉部が現在、人工授精と体外受精を含め最大25回まで支援していると説明すると、大統領は「方法ごとに施術費の差が大きいのに同一に適用される構造なのか」「個人別の特性と嗜好が反映されているのか」を重ねて確認した。
続いて韓医学による不妊治療に話題を移した大統領は「韓医学の側にも不妊に対する処方があると承知している」とし、「保険適用になるのか、国家の支援があるのか」を尋ねた。これに対し福祉部は「韓医学の不妊治療は保険給付の対象ではなく、一部の地方自治体で事業の形で支援している」と説明した。大統領は「有効性が検証されていないならなぜ許容されているのか、科学的立証はどのように進んでいるのか」を問いただした。
脱毛症の治療については、より直截的な問題提起が続いた。大統領は「過去の大統領選の際に脱毛薬支援を公約したことがある」とし、「今回は約束していないのに、なぜやらないのかという声を多く聞く」と述べた。続けて「脱毛も病の一部ではないか。最近若者が多く直面する問題だ」と語った。
福祉部が、遺伝的要因による脱毛は疾患と見なしにくく、美容的性格が強いため非給付に分類されていると説明すると、大統領は「遺伝病も遺伝によるものだが、これを病と見るか否かは概念整理の問題ではないか」とし、「以前は美容といったが、最近は生存の問題として受け止める傾向もある」と述べた。
大統領は「財政が負担となるなら無制限の給付ではなく、回数制限や総額制限といった方式もあり得る」とし、「保険料を払っているのに恩恵を受けられないという認識が広がるのは望ましくない」とした。さらに「給付で管理すれば薬価も下がるというので、こうした要素を総合して検討してほしい」と求めた。
肥満治療についても同様の問題意識を示した。大統領は高度肥満に対する外科的治療のみ一部給付が適用されている現行の構造を指摘し、薬物治療についても「検討がどこまで進んでいるのか」を尋ねた。
大統領は発言を締めくくり、「保険の原理は理解するが、若い世代の立場では『自分は保険料だけ払って恩恵はない』と考えることもあり得る」とし、「出産、脱毛、肥満のように個人には切実な問題が、なぜ制度の外にあるのかについての熟考が必要だ」と強調した。