テレビを見ると不倫の話題が主流だ。人間社会は一夫一妻を基本とするが、そんなに浮気をする人が多いのだろうか。科学者が他の動物と人間を比較したところ、人間は一夫一妻制の順位で最上位圏に入ることが分かった。他の霊長類よりもビーバーやミーアキャットに近かった。
英国ケンブリッジ大学考古学科のマーク・ディブル教授は「哺乳類35種を対象に一夫一妻制の比率を調査した結果、人間は配偶者への忠実度が7位と高く現れた」と10日(現地時間)、国際学術誌「王立学会報 生物学」で明らかにした。
◇人間の忠実度、ビーバーとミーアキャットの間
自然界には人間のように一夫一妻制を維持する動物が多い。ビーバーやキツネ、テナガザルなどが代表的な例である。では誰がより配偶者に忠実なのか。もしかして密かに浮気しているのではないか。不倫ドラマを見ると親子鑑定で結論が出る。ディブル教授は「一夫一妻制の水準が高い種と社会ほど、両親が同じ兄弟姉妹が多い可能性が高い」と説明した。
ディブル教授の研究チームは、人間を含む哺乳類35種を対象に兄弟姉妹と異父母兄弟姉妹の比率を分析した。一夫一妻制ランキングの1位はカリフォルニアシカネズミだった。彼らが産んだ子は100%が兄弟姉妹だった。アフリカドール(85%)、ダマラランドハダカデバネズミ(79.5)、ヒゲタマリン(77.6)、エチオピアオオカミ(76.5)、ユーラシアビーバー(72.9)、人間(66%)の順だった。
人間は配偶者への忠実度で他の霊長類よりもビーバーやミーアキャット(59.9)に近かった。人間に最も近い霊長類であるチンパンジーは4.1%にとどまった。ヒヒ(3.7)、アカゲザル(1.1)も一夫一妻制ランキングで最下位圏だった。
科学者は古人類の化石と狩猟採集を行う現代の原始部族を調べ、人間の性的選択を推論した。野生動物は長期観察と親子鑑定によって交尾システムを研究した。ディブル教授は人間を含む哺乳類集団で兄弟姉妹と異父母兄弟姉妹の比率を分析した。ディブル教授は「今回の結果は、一夫一妻制がわれわれの種の支配的な交尾パターンである事実を示す」と明らかにした。
◇チンパンジー・ゴリラと異なる交尾の進化
人間の一夫一妻制をめぐる論争は数世紀にわたり続いてきた。これまで、一夫一妻制が人類が地球を支配できた社会的協力の礎だという主張が主流だった。しかし人類学者は人間社会でそれと異なる事例を継続的に見つけてきた。例えば、先行研究によると産業化以前の社会の85%が、一人の男性が同時に複数の女性と結婚する一夫多妻制を容認した。
ディブル教授は人間の一夫一妻の忠実度を算出するため、考古学遺跡から出土した化石の遺伝子分析結果を調査した。同時に、タンザニアの狩猟採集民であるハザ族からインドネシアの稲作部族であるトラジャ族に至るまで、世界94の人間社会の民族誌データを活用した。
ディブル教授は「チンパンジーやゴリラ(6.2%)のような最も近い霊長類の親類の交尾パターンを考慮すると、人間も当初は他の哺乳類のように配偶者が複数だったが、後に一夫一妻制へ進化した可能性が大きい」と明らかにした。実際に、英国コッツウォルズ地域の初期新石器時代の遺跡から出土した化石の兄弟姉妹比率は26%にとどまったが、その後のフランス北部の新石器時代の集団4カ所では100%が完全な兄弟姉妹だった。
人間が一夫一妻へと進化したのは、子孫を保護するための生存戦略と推定された。英国ブリストル大学の進化人類学者キット・オーピー教授は「人間社会はチンパンジー、ボノボに近いが、交尾の方式で別の道を選んだだけだ」と述べ、「交尾形態の違いは、大きな脳を持つ霊長類の種で深刻な問題である雄の幼児殺しへの対応戦略だ」と語った。チンパンジーやボノボの雌は複数の雄と交尾して父性を曖昧にすることで子を守り、人間は親子関係を確実にして男性が子を保護するようにしたということだ。
今回の研究で人間と最も類似した種は8位のシロテテナガザルで、実際の兄弟姉妹比率は63.5%だった。シロテテナガザルは一夫一妻制の上位に入った唯一の「単胎性」の種である。他の一夫一妻制哺乳類が複数の子を産むのとは異なり、一般的に1回の妊娠で1頭の子を産むという意味だ。
上位に入った唯一の非人間霊長類は4位のヒゲタマリンである。アマゾンの密林に生息する小型のサルで、通常は双子または三つ子を産む。
参考資料
Proceedings of the Royal Society: Biological Sciences(2025), https://royalsocietypublishing.org/rspb/article/292/2060/20252163/363965/Human-monogamy-in-mammalian-context?searchresult=1
Human Behavioral Ecology(2024), DOI: https://doi.org/10.1017/9781108377911.011