アフリカのルワンダの森でゴリラが足を上に伸ばした。英国の野生動物写真家マーク・メス=コーンは、この姿を撮影した写真に「ハイ・ファイブ」というタイトルを付けた。足なのでハイキックのほうが合いそうだが、足の裏が人の手のように見えるため、間違った題名とも言えない。
ニコン・笑える野生動物写真展(Nikon Wildlife Photography Awards)は、メス=コーンのゴリラ写真が今年の総合1位作品に選ばれたと9日(現地時間)に発表した。主催者側は今年は109カ国から1万点が出品され、大会11年の歴史で最高記録を更新したと明らかにした。出品作のうち動画受賞作を含め44点が最終候補に選ばれ、メス=コーンの作品は審査員の間で群を抜いて際立ち、哺乳類部門1位まで席巻した。
◇野生動物保護への関心を高めるために主催
笑える野生動物写真展は2015年に英国の写真家ポール・ジョインソン=ヒックスとトム・サラムが始めた。今年で11回目である。他の写真展が野生動物の格好いい姿を捉えた写真に賞を与えるのに対し、この大会は名前の通り野生動物の滑稽な姿を捉えた写真を選んで表彰する。創設者らは野生動物の明るい側面に焦点を当て、ユーモアを通じて絶滅の危機にある野生動物への関心を高めるために写真展を始めたと述べた。
写真展は野生動物保護活動にも寄与する。主催者側は毎年、共同主催した英国の野生動物保護財団であるウィットリー自然基金(WFN)に大会収益金の一部を寄付してきた。ウィットリー自然基金(WFN)は過去30年間、世界80カ国で環境保護活動家220余名に2300万ポンド(約450億ウォン)を支援した。
総合1位の受賞作は年初にルワンダで撮影された。審査員は、森の空き地で踊るゴリラの完璧な瞬間を捉えたと評価した。メス=コーンは「ゴリラの家族が暮らす霧のかかったビルンガ山地を探検し、忘れられない4日間を過ごした」とし、「ある日、森の空き地である家族に出会ったが、その中の若いオスがハイキックと宙返りの技を披露した」と語った。さらに「ゴリラの公演を見守るのは純粋な喜びであり、この写真にその茶目っ気あふれる姿を収めることができてうれしい」と付け加えた。
メス=コーンは昨年の大会でも決勝に進出した。メス=コーンはアフリカの広大な平原で大型のネコ科動物を撮影するのが生涯の夢だったと語った。今回の大会で総合1位を獲得し、夢が現実となった。1位受賞者にはケニア・マサイマラで行われるサファリ旅行が贈られる。トロフィーとカメラバッグも授与される。
大会のスポンサーであるニコンの欧州マーケティング統括シニアマネジャー、ステファン・マイアーは「1位受賞作は野生動物の遊びを完璧に捉えた」とし、「ニコンは今年の受賞者たちのようなビジュアル・ストーリーテラーを支援することで、世界中の観客が地球の驚くべき野生動物と共感し、保護するようインスピレーションを与えられることを誇りに思う」と述べた。
◇ワシとサルの驚いた表情が印象的
米国出身のグレイソン・ベルは16歳以下に与えられるジュニア部門賞と、爬虫類・両生類・昆虫部門賞を同時に受けた。水中で取っ組み合う2匹のカエルをクローズアップし、「強制的に洗礼を受ける改宗者」というタイトルを付けた。ドイツのパウラ・ルステマイアーは「キツネたちのダンスバトル」という題の茶目っ気あふれるキツネの写真で25歳以下の若手作家部門賞を受けた。
英国のウォレン・プライスは2羽のニシツノメドリの頭が重なる瞬間を捉え、「ヘッドロック」というタイトルを付けた。この写真は鳥類部門賞を受けた。同じく英国出身のジェニー・ストックは、チンアナゴを撮影した「キムチ(原題 Smiley)」という作品で魚類およびその他水生動物部門賞を獲得した。
ストックは、フィリピンでチンアナゴがサンゴに隠れては何度も顔を出す様子が、まるで写真を撮れと言っているように見えたため、この題名を付けたと述べた。体長は8㎝に過ぎず滑稽な姿だが、実際は恐ろしい種だ。この魚は敵に出会うと噛みつき、致命的な毒を注入する。
ドイツのタチアナ・エフは、サーフィンするサギの華やかな映像で動画部門1位に選ばれた。エフは3月、南アフリカ共和国のクルーガー国立公園でサギを見かけ、サーフィンするように水面を滑る姿を撮影した。
後で見ると、サギはカバの背中に乗っていた。周囲にワニが多く、サギにとってカバの背は遊びではなく生存のための完璧な避難場所だった。エフは「カバが動き始めると、サギはバランスを崩しそうになったが、すぐに姿勢を立て直した」とし、「鳥がスピード感を楽しんでいるかのような様子は一生に一度見られる場面だった」と語った。
米国のマギー・ホフマンは、せっせと鼻をほじるチンパンジーを連続撮影し、「黄金採掘」というタイトルを付けて連作部門賞を受けた。写真の中の雌のチンパンジーは、赤ん坊がよくするように、鼻から掘り出した黄金を口に入れた。
主催者側は部門別受賞者のほかに10人を優秀作(Highly Commended)として選出した。総合1位受賞者のメス=コーンは、ゴリラの母親が赤ちゃんにキスする様子を撮影した写真で優秀賞も受けた。今年の受賞作品は10〜14日、ロンドンのギャラリー@オクソ(Gallery@Oxo)で展示される。主催者側は、今年の大会はニコンに加え、製紙会社ハーネムーレ(Hahnemühle)と印刷会社メトロ・イメージング(Metro Imaging)も後援したと明らかにした。
参考資料
Nikon Wildlife Photography Awards, https://www.comedywildlifephoto.com/gallery/nikon-comedy-wildlife-2025-competition-winners.php