政府は医療データの活用を大幅に拡大し、人工知能（AI）に基づく診断・予測・モニタリングなどの医療現場導入を前倒しすると明らかにした。
保健福祉部は10日午後、ソウル中区の韓国プレスセンターでイ・ヒョンフン第2次官主宰の「保健医療データ政策審議委員会」を開き、医療データ活用の活性化方策と公共データの開放・活用の改善策を議論したと明らかにした。
委員会は医療界・学界・産業界・患者・消費者など各分野の専門家24人で構成されている。
福祉部は医療AI研究と臨床活用を下支えするための公共医療データインフラを拡充することにした。
現在行政データ中心で運営されている保健医療ビッグデータプラットフォームに、来年から国立大学病院3カ所の臨床データを連携する。
国家研究開発（R&D）事業で蓄積されたデータを後続研究に活用できるよう体制を整備し、2028年までに77万人規模の「国家統合バイオビッグデータ」を構築する計画である。これは来年下半期から段階的に開放される予定だ。
福祉部関係者は「個人情報保護を前提に機関間データを連携し、医療AI学習と臨床研究に活用できる体制も整える計画だ」と説明した。
医療機関が保有するデータを研究者が容易に確認できるよう、メタデータに基づく検索体制も構築する。医療AIスタートアップと中小企業を対象とする「医療データ利用権（バウチャー）」支援も拡大する。事業規模は今年の8件から来年は40件へと増える。
また、機関生物倫理委員会（IRB）とデータ審議委員会（DRB）の標準運用手順を整備し、複数機関が共同で活用できる「共用DRB」制度を新設して、審議手続きを効率化する。
医療機関でAIソリューションの性能と効果を事前検証できるよう、20件の「医療AI実証」課題支援を新設する。その後、医療データ中心病院にAI研究・実証機能まで統合し、地域・必須・公共医療分野のAI活用基盤を強化する方針である。
この日の委員会では、疾病管理庁、国立がんセンター、国民健康保険公団、健康保険審査評価院（審評院）など主要公共機関のデータ開放状況と今後の計画も共有された。
疾病管理庁国立保健研究院は、保健医療研究開発（R&D）データを統合管理する「CODA（保健医療研究資源情報センター）」システムを運用中である。来年、GPU・クラウド基盤の遠隔分析サービスを高度化する予定だ。
国立がんセンターは国家がんデータセンターとして、がん公共データと主要ながん種（8種）の臨床ライブラリーを開放しており、今後は公共・臨床データ結合サービスと精密医療インフラの拡充を推進する。
健康保険公団は健康保険ビッグデータプラットフォームを通じて、カスタマイズ型健康サービス提供、感染症・地域医療政策支援などを実施している。分析センターを拡大し、分析環境を高度化する計画だ。
審評院はHIRA保健医療ビッグデータ開放システムを通じて診療・医薬品・医療資源データを提供しており、低リスク仮名データの開発とスタートアップ支援を強化する。
イ・ヒョンフン保健福祉部第2次官は「政府は医療データの安全な活用のための法・制度基盤を整え、AI研究開発から実証・現場適用までデータ全周期が円滑に機能するよう、政策支援と投資を拡大する」と述べた。