料理が辛すぎるときは水より牛乳を飲むとよい。辛味成分のカプサイシンは水では落ちにくいが、牛乳の脂肪に溶けやすく、カゼインたんぱく質と結合して分離しやすくなるため。/Shutterstock

2024年にデンマーク政府は三養食品のブルダック炒め麺3種類が辛すぎるとして製品リコール(回収)を指示した。辛味を出すカプサイシン含量が高く急性中毒のリスクがあると判断したためだ。しかし消費者がリコールの中止を求めて声を上げると、その後2種類は安全性が認められて販売が再開された。

世界を席巻したK(韓国)ブームの中で食品各社が辛味競争を繰り広げている。開発者は毎日辛い試作品を味見する羽目になって苦労している。科学者が食品研究者の舌を守る代案を見つけた。人と同じように辛さを判定する電子の舌である。

◇20代の辛さ判定結果と一致

中国の華東科技大学化学工学科のフージン教授の研究チームは「脱脂粉乳ジェルで作った人工の舌で唐辛子やソースの辛さを人と同様に判定することに成功した」と2025年に国際学術誌「米国化学会(ACS)センサー」に発表した。

唐辛子は見た目だけでは甘いピーマン程度なのか、それとも口に火が付くほどなのか判断しにくい。甘味や苦味、塩味、うま味は味を出す成分と結合する受容体タンパク質があり電子の舌で味見しやすいが、辛味はそうではない。カプサイシン自体は味を出さず、代わりに舌に熱感を与えて辛味が生じるためだ。

研究チームは脱脂粉乳にアクリル酸とコリン塩化物を混ぜ、舌のように柔らかいジェル状態の電子の舌を作った。通常、電子の舌は(−)の電気を帯びる塩化物イオンと(+)の電気の水素イオンが自由に行き来して電流が流れる。だがカプサイシンに触れるとイオン移動が減る。その分電流が減少する。研究チームは電流の減少度合いによって唐辛子と辛い食品をそれぞれ8種類のカプサイシン含量と辛さの程度で判定した。

同時に研究チームは平均22歳の男女7人を対象に、電子の舌が判定したのと同じ唐辛子と食品を味見させた。彼らは他人より辛味に強いと自認する人々から選抜した。摂氏25度の室内で人が判定した辛さは電子の舌の判定結果とほぼ同じだったと研究チームは明らかにした。研究チームは「人工の舌は食品開発者の舌の味覚細胞を危険にさらすことなく食品の辛さを迅速に試験できる」と述べた。

研究チームは今後、機器サイズを小型化し、より多様な人の辛さ判定と比較して判定精度を高めると明らかにした。そうなれば携帯型味覚センサーとして開発し、味を適切に感じられない人を支援できる。他の味覚センサーと組み合わせれば、人型ロボットが人のように味見しながら調理することも可能だ。

辛味成分カプサイシンが舌に触れると神経細胞のTRPV1チャネルが開き、陽電荷を帯びたイオンが流入して電気信号が発生し、脳が痛みとして認識する(左)。一方、電子の舌は通常、帯電イオンが自由に移動して電流が流れるが、カプサイシン(赤)がカゼインたんぱく質(青)と結合し凝集すると電流が低下する。/ACS Sensors

◇牛乳で辛味を抑える点に着想

辛い食品を食べるとカプサイシンが感覚神経の細胞膜にあるTRPV1というイオンチャネルを開く。カルシウムや水素、ナトリウムのような(+)イオンが細胞内に入ると電気信号を発生し、脳はこれを熱い、あるいは痛いという痛覚として認識する。

TRPV1は本来43度以上の高温や酸性環境に反応するよう設計された熱痛覚センサーだが、カプサイシンはそれより低い温度でも熱い感覚を与える。研究チームはこのとき水ではなく牛乳が舌の痛みを和らげるのに有効だという点を利用した。

カプサイシンは水と結合しにくい疎水性物質で、水を飲んでも舌から洗い流されない。これに対し牛乳に含まれる脂肪はカプサイシンを溶かして洗い流す。何より牛乳に含まれるカゼインというタンパク質がカプサイシンを包み、イオンの流れを遮る。その分舌の痛みが消える。

今回の電子の舌でもカゼインタンパク質がカプサイシンと塊を作り、電流を遮断した。研究チームは電子の舌にカプサイシンが触れてから10秒後から電流が減少したと明らかにした。電流が大きく減少すればそれだけカプサイシンが多く、辛さがより強いと判断できる。

参考資料

ACS Sensors(2025)、DOI: https://doi.org/10.1021/acssensors.5c01329

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