新型コロナウイルス、福島の汚染水、大規模な山火事などが相次いだ社会・環境のイシューの中で、根拠のない情報が瞬く間に拡散した。正確な科学情報を伝え、歪曲を防ぐ体制の必要性が一段と高まるなか、オーストラリア・ニュージーランド・台湾のサイエンスメディアセンター(SMC)のセンター長らは「危機の瞬間であるほど科学と報道が迅速に協力すべきだ」と強調した。
11日にソウルのカンナム区で会ったスザンナ・エリオット(Susannah Eliott)オーストラリアSMCセンター長とダシア・ヘルブロック(Dacia Herbulock)ニュージーランドSMCセンター長、シネード・ヒーシー・チェン(Sinead Hsi-Yi Chen)台湾SMCセンター長は、13日に開かれるグローバル・サイエンス・メディア・フォーラムを前に各国の経験を共有した。
SMCは科学と報道をつなぐ機関で、社会の懸案に関連する専門家の意見を記者に迅速に提供する役割を担う。2002年に英国で初めて設立された後、2005年にオーストラリア、2008年にニュージーランド、2010年に日本、2014年にカナダ、2017年に台湾へと広がった。
エリオットセンター長は「オーストラリアで大規模な山火事が起きると、報道は消防士や政治家、山火事の被災者などをまず探し、肝心の火の拡大要因を説明する科学者は探さなかった」とし「この種の事案を正しく見るには科学者の意見が不可欠だ。これがオーストラリアSMC設立の契機だった」と語った。
チェンセンター長も「台湾では国際ニュースを翻訳して載せる記事が多いが、翻訳の過程で内容が歪曲される場合が少なくなかった」とし「そこで国内の専門家の意見を集めて記者に伝える体制を作ろうと考えた」と説明した。
3人のセンター長は特に新型コロナウイルスのパンデミック当時にSMCの役割を実感したと口をそろえた。ヘルブロックセンター長は「当時ニュージーランド政府が人口の90%のワクチン接種を目標にしたが、当初は不可能だという認識が強かった」とし「政府・報道・地域社会・専門家が共に情報を供給しキャンペーンを行い接種率が80%を超え、残り20%の国民の間でもワクチンを接種すべきだという認識が広がった」と語った。
新型コロナウイルスは科学と報道関係者が積極的に力を合わせる契機にもなった。オーストラリア、ニュージーランドのSMCを含む6カ国のSMCはパンデミック当時、グーグルから100万ドル(約14億6000万ウォン)の支援を受け、「新型コロナウイルスワクチン・メディア・ハブ」というウェブサイトを開設した。エリオットセンター長は「世界のSMCが収集した科学者の意見をここに集め、世界中の記者が参照できるようにした」とし「われわれが行った最大の国際協力プロジェクトだった」と語った。
SMCは今や各国メディアに不可欠な科学情報ハブとして定着した。ヘルブロックセンター長は「津波や地震のような災害報道で科学者のインタビューが自然に含まれるのが日常になった」とし「専門家もメディアを通じてエビデンスを伝えることに慣れてきている」と述べた。
チェンセンター長は「台湾SMCが発足してまだ5年ほどにすぎないが明確な変化が見える」とし「科学者が記者と対話しようとする意欲がはるかに大きくなり、記者も政府に根拠を求める習慣が身についた。台湾で起きた非常に大きな変化だと考える」と語った。
韓国でも9月に韓国科学技術メディアセンターが正式に発足した。他国のSMCと同様に、科学の懸案について専門家のエビデンスに基づく解説を迅速に提供することを目標とする。科学技術情報通信部の承認を受けた独立の非営利財団法人の形で設立され、初期3年間は政府予算で運営される。
センター長らは韓国SMCが安定的に定着するには財務の透明性と編集の独立、そして情報のスピードが核心だと助言した。オーストラリアSMCは70余の機関の分散支援で運営され、単一機関の支援はセンター運営費の10%未満に制限される。ニュージーランドSMCは政府支援を受けるが、編集権の完全な独立が保障される。台湾SMCは補助金と寄付を併用するが単一の補助金は運営費の30%、単一の寄付は10%を超えないように制限し、毎年財源を公開する。
ヘルブロックセンター長は「時折、政府や野党の議員事務所から不満が寄せられることもあるが、政権が変わってもSMCの運営に介入しようとしたことはなかった」とし「こうした制度的な仕組みが、われわれが独立して働ける土台だ」と語った。
続けて「福島の汚染水のように新しい科学イシューが出てくると、世論が固まる前にエビデンスを透明に説明すべきだ」とし「科学者が慎重な検討に時間をかけている間に誤情報が先に広がる」と指摘した。さらに「記者が素早く動くのと同じだけ、科学者もより迅速に対応すべきだ」とし「確答を急ぐ必要はないが、分かっていることと分かっていないことを明確に示すのが信頼の出発点だ」と強調した。