暗黒物質・ニュートリノ分野の碩学で、イタリア国立核物理研究所(INFN)傘下グランサッソ国立研究所(LNGS)で国際協力総括を務めるアルド・イアンニ博士が30日、大田の基礎科学研究院(IBS)本部でChosunBizと面会しインタビューに応じている。/IBS

昨日のライバルが今日の同僚である。世界最大の地下実験施設を運営し、暗黒物質研究で大きな成果を挙げてきたイタリアのグランサッソ国立研究所(LNGS)と韓国の基礎科学研究院(IBS)の話だ。宇宙のミステリーである暗黒物質をめぐり数年にわたり対立してきた両機関が30日に一つの組織になった。共同研究センターを設け、暗黒物質を一緒に探すことにしたというわけだ。

アルド・イアンニLNGS国際協力責任者は共同研究センター(GCND)開所式で「IBSの研究結果は極めて確固としており、自分も同意する」と述べ、「当方の暗黒物質実験が主張した年間変調シグナルの起源を究明し、暗黒物質研究を前進させるには双方の協力が必要だ」と語った。キム・ヨンドクIBS地下実験研究団団長は「相反する結果を出してきた両研究機関が共同センターを設けたのは、論争に終止符を打ち、新たな暗黒物質検出技術を開発しようという趣旨だ」と説明した。

◇同一装置で実験、競争相手を反駁した韓国

科学者は、宇宙で恒星や惑星のように光を発したり反射して観測可能な物質は全体の5%にすぎず、68%は宇宙の膨張を押し進める暗黒エネルギー、27%は光を出さず物体を引き寄せる暗黒物質だとみている。暗黒物質が何であり、どのように作用するのかはまだ解明されていない。

IBS地下実験研究団はカンウォンド・チョンソンの地下1000mに位置する国内唯一の深層研究施設「イェミラボ」で暗黒物質を探索してきた。研究チームは最近、LNGSの代表実験であるダマ(DAMA)の結果を正面から反駁し、国際学界の注目を集めた。研究結果は9月に国際学術誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載された。

関心の中心は暗黒物質の有力候補とされるウィンプ(WIMP・弱く相互作用する重い粒子)だ。電子よりはるかに重いが他の物質とほとんど反応せず捕捉が難しい粒子を指す。深い地下に入る理由もここにある。宇宙から来る放射線などのノイズを岩盤自体で遮断し、ウィンプが原子核に触れて生じる微弱な閃光を電気信号に変換して捉える方式だ。

国内唯一の暗黒物質探索研究地下実験室『イェミラボ』。/基礎科学研究院(IBS)

地球が太陽の周りを公転することで銀河内の暗黒物質との相対速度が変わり、それに伴い検出される信号の頻度も季節によって変化し得る。LNGSのダマ研究チームは1998年、ヨウ化ナトリウム(NaI)検出器でこのような年間変調シグナルを観測し、これをウィンプの存在証拠だと主張した。しかし他の研究者らが同じ結果を再現できず、「実験誤りではないか」との論争が続いた。

IBSが主導する国際共同研究チーム「コサイン-100(COSINE-100)」はダマの主張を検証した。2016年、カンウォンド・ヤンヤンにある地下700mの実験室でイタリアと同じ検出器を用いて実験した。2016〜2023年の6年分のデータをイタリア研究陣と同じ手法で分析した結果、年間変調シグナルは検出されなかった。

スペインの研究者も地下実験室で同様の手法により実験し、同一の結論を得た。イタリア側が捉えた信号が暗黒物質による可能性を事実上排除した格好だ。IBSとスペイン研究陣による相互解析研究は国際学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ」への掲載が承認された。

◇共同センター「共に作り、共に検証する」

韓国とイタリアが共同設立した研究センターは両国がそれぞれの役割を担い運営される。韓国は未知の暗黒物質信号を検出するヨウ化ナトリウム結晶を精製し、イタリアは結晶成長と放射能測定を担当する。

イアンニ博士は「暗黒物質の希少な信号を見つけるにはラドンのような放射性気体を遮断し、検出器を清浄に維持する工程が核心だ」と述べ、「韓国が材料を可能な限りクリーンに作れば、イタリアがこれを成長させて検証し、最終的な検出用試料を作る」と説明した。この試料に基づき感度を高めた次世代検出器も併せて開発する予定だ。

イアンニ博士は「韓国イェミラボ(地下1km)とイタリアLNGS(1.4km)は深さが異なり、放射線環境の差も比較できる」とし、「地下生物反応の研究は希少粒子実験の環境を理解し、さらに宇宙実験の設計にも参考になる」と語った。

ウィンプで確かな成果が出ない中で、研究者は視野を広げている。質量がより低い低質量暗黒物質、あるいはアクシオン(axion)・アクシオン様粒子(ALP)などが新たな候補として浮上した。これらはウィンプのように原子核と衝突して痕跡を残す方式が通用しないため、磁場・電場・共鳴現象などを活用した間接検出が必要だ。

イアンニ博士は「暗黒物質が単一の粒子である保証はない」と述べ、「通常の物質のように複数の種類が混在している可能性もある」と語った。さらに「天文観測と結び付けて候補の範囲を絞ることが研究の方向性を定めるうえで重要だ」とし、「今後10年以内にどの検出方式が最も有効かが見極められるだろう」と述べた。

イタリア国立核物理研究所(INFN)傘下グランサッソ国立研究所(LNGS)のボレクシーノ研究チームがCNO太陽ニュートリノの検出に用いた装置。/LNGS
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