農心が化粧品開発の協業に乗り出した。代表的なラーメン企業の「ビューティー拡張」という点も異例だが、業界の視線を引いたのは「タイミング」だ。オーナー3世であるシン・サンヨル農心副社長が社内取締役に選任された直後に直ちに打ち出した動きだからである。業界の一部では、シン副社長体制の新規事業の方向性を示した号砲とみている。
26日、流通・食品業界によると、農心は最近、化粧品メーカーのエフアイシーシー(FICC)と協力し、健康機能食品ブランド「ライフィル」のコラーゲン原料を活用した化粧品の研究・開発(R&D)協力に着手した。農心が原料を供給し、パートナー社が製品化を担う構造で、「食べるコラーゲン」から「塗るコラーゲン」へと拡張する方式である。
シン副社長は故シン・チュノ会長の孫であり、シン・ドンウォン会長の長男だ。今年1月に副社長へ昇進した後、未来事業室を率い、投資とM&A(合併・買収)、グローバル事業戦略を統括している。シン副社長は20日、農心の定期株主総会で社内取締役に選任され、経営の前面に公式に合流した。
これまでシン副社長は健康機能食品、スマートファームなど新規事業の発掘を推進してきた。ただし、いまだ可視的な成果に直結した事例は限定的である。このため、業界ではシン副社長の社内取締役選任後の初動が何になるのか注目してきた状況だ。
こうした状況を勘案すれば、今回公表された協業も新規事業を拡張する過程で出たカードと映る。単一製品ではなく原料を基盤に事業群を広げる戦略で、従来のラーメンとスナック中心の事業構造を越え、新たな成長ドライバーを確保する趣旨だとの解釈である。
食品業界の関係者は「社内取締役選任直後、4日で『ビューティー事業の協業』を公表した点を踏まえると、新規事業の方向性を外部に示す性格が強いのは事実だ」と述べ、「これまで分散していた新規事業のうち、特定の事業に力を入れようとするシグナルとして読める」と語った。流通業界の関係者は「ライフィルは社内ベンチャーから出発した新規事業と承知している」とし、「素材基盤事業の転換可能性の観点から、食品企業が保有する機能性原料がインナー・ビューティー市場にまで拡張可能かを見極めようとしているようだ」と述べた。
農心の今回の動きは、食品業界全般で進むビューティー事業の多角化の流れとも重なる。代表例として、CJ第一製糖の健康機能食品子会社CJウェルケアはインナービューティー戦略を維持しつつ、機能性素材の高度化に注力しており、hy(旧韓国ヤクルト)は乳酸菌ベースの原料を活用し、インナービューティーやアンプル・スキンケア製品などビューティー事業領域を拡張している。
農心の関係者は「今回の協業は原料基盤の技術協力の次元であり、別個の化粧品事業進出とは見なしにくい」とし、「ライフィルはすでに別途の事業部で運営中のブランドだ。既存事業の延長線上で推進されたものだ」と述べた。
業界では、農心の今回のビューティー協業が中核の新成長ドライバーの一角として定着するかに注目する雰囲気だ。食品業界の関係者は「機能性原料を基盤にした事業の拡張・多角化は業界全般にわたる流れだ」としつつも、「実際の事業として定着させるには、ブランドや流通、収益構造まで整える必要があるため、新規事業を牽引する実行力が重要になる」と述べた。
イ・ジョンウ亜洲大学経営学科教授は「健康機能食品と化粧品は産業構造と求められるケイパビリティが全く異なる領域であるため、食品会社が機能性原料を保有しているからといって直ちに競争力を確保できるわけではない」と述べ、「ただし新成長ドライバーを模索する過程で市場反応を見極めようとする意図が反映された動きであり、オーナー3世体制で新規事業の方向性を設定していく過程にあるとみられる」と語った。