誰も目を向けなかったニュージーランド南島の果て、マールボロの荒い礫地に最初のブドウの木が植えられたのは1973年である。当時の農業専門家はこの乾いた土地について、乾燥し過ぎて羊を放す場所にしかならないと悲観的な見通しを示した。
しかし開拓者の意地は折れなかった。そして1979年、世に初めて公表されたマールボロのソーヴィニヨン・ブランは、やがて世界市場の注目を集めた。冷たい海風と強い日中の陽光が交錯して生まれた独特の酸味は「世界になかった味」と絶賛され、ニュージーランドワイン全体の地位を押し上げる決定的な契機となった。
このマールボロの黄金期を共に築いた生き証人が「ローズ・ファミリー・エステート」である。創業者のフィル・ローズとクリス・ローズの夫妻は周囲の反対を押し切り、1978年にワイラウ川岸に最初の木を植えた。創業当初は大手ワイナリーに高品質のブドウを供給する無名の栽培者として出発し、土に触れブドウを世話しながら着実に腕を磨き、20年を経てようやく一族の名を冠したワインを世に送り出した。
現在ローズ・ファミリーは創業者夫妻の意志を継ぎ、子どもたちがブドウ栽培から醸造、マーケティングまで全工程を担う家族経営体制を続けている。「子どもに受け継がせる土地で育ったブドウこそが最も誠実な味を生む」という信念によるものだ。彼らはワイラウ・バレー北部を中心に500ヘクタール超のブドウ畑を運営している。
大半のブドウ畑はワイナリーから車で10分圏、最も遠い場所でも30分以内にあり、収穫後1時間以内に醸造に移行できる。2002年に完成したワイナリーは年間最大1万トンのブドウを処理でき、瓶詰め設備と物流倉庫も備え、年間65万ケース(約780万本)を生産できる規模である。収穫から醸造、瓶詰め、保管まで全工程を自社で管理する体制も整えた。
ローズ・ファミリーは、一家が代々夏の休暇を過ごしてきたマールボロ・サウンズの小さな海辺のリゾート「サンシャイン・ベイ」の名を取りブランド名とした。ニュージーランドの明るい日差し、温かな砂、澄んだ青い海を満喫できる場所である。穏やかな記憶と清新な海の空気を瓶にそのまま封じ込めたいという思いが、このブランドの出発点である。実際、マールボロの中心都市ブレナムは年間日照時間が2769時間に達する。ニュージーランドでも最高水準である。
とりわけ海岸に最も近いブドウ畑に由来する微細な塩分は、サンシャイン・ベイならではのアイデンティティを形成する。ほのかな塩味が果実の甘味と天然の酸の間でバランスを取る。ブドウは涼しい朝の時間帯に収穫し、優しく圧搾し、ステンレススチールタンクで低温発酵させる。瓶詰め前に澱とともに短期間熟成させ、果実本来の純度を最大化する。意思決定を内製化した体制により、畑から瓶詰めまで品質管理が厳格に維持される。
サンシャイン・ベイ ソーヴィニヨン・ブランは、トロピカルフルーツとシトラスの香りが感じられる。口中ではグアバや梅、桃の風味が繊細に調和し、その後に現れるほのかなミネラリティが清新でドライな余韻を残す。新鮮な魚介料理、レモンドレッシングを添えたサラダやグリルチキンと好相性である。2025 大韓民国酒類大賞 新世界白ワイン部門で大賞を受賞した。