韓国企業の第4四半期の経営活動が大詰めを迎えるなか、ロッテショッピングが年初に掲げた売上14兆ウォン・営業利益6000億ウォンの目標に届かない見通しだ。百貨店事業は収益性を改善し健闘したが、マートとスーパー事業の売上と営業利益がともに減少し足かせとなった。ロッテオンに代表されるeコマース（電子商取引）事業も赤字から脱していない。
今年ロッテショッピングは辛東彬（シン・ドンビン、日本名：重光昭夫）ロッテグループ会長が5年ぶりに社内取締役へ復帰し、業績改善への意欲を示した。しかし、内需低迷で本業の競争力強化に苦戦している。ロッテグループは強力な構造改革を通じてロッテショッピング系列会社の代表陣を大幅に交代させ、反転を図っている。
23日、金融情報企業FnGuideによると、ロッテショッピングの今年の業績予想は売上13兆8443億ウォン、営業利益5564億ウォンと集計された。前年に比べ売上は1%減少し、営業利益は17.6%増加する見込みである。
これに先立ちロッテショッピングは2月に実施した2024年度決算発表会で、今年の業績目標として売上1兆4000億ウォン、営業利益6000億ウォンを提示した。未集計の第4四半期業績を合算しても、売上と営業利益はいずれも目標に届かないとみられる。
ロッテショッピングは3四半期までの累計で売上10兆2165億ウォン、営業利益3194億ウォンを記録した。前年同期比で売上は2.8%、営業利益は2%減少した。収益の大半は百貨店がけん引した。第1〜第3四半期の国内百貨店部門の売上は2兆2958億ウォンで前年同期比1.2%減少したが、営業利益は22.9%増の2707億ウォンとなった。本店・蚕室店・釜山本店・仁川店など大型店舗を中心に販売実績が改善し、外国人観光客の来店が増加した効果である。
一方、ロッテマート・スーパーを運営するグローサリー部門は売上と営業利益が同時に減少した。今年第1〜第3四半期のグローサリー部門の売上は3兆8812億ウォンで前年同期比5.6%減少し、営業損失283億ウォンを計上して赤字転落した。ロッテオンに代表されるeコマース事業も第1〜第3四半期累計で266億ウォンの赤字だった。
辛会長はロッテショッピングの責任経営に乗り出し、業績改善への意志を示してきた。辛会長は3月の定時株主総会を経て5年ぶりに社内取締役へ復帰した。共同代表取締役職も担った。復帰後は上半期のロッテショッピング取締役会に大半出席し、ソウル西部圏開発事業計画の変更、ロッテマート・グラングローサリー九里店の新規出店、ロッテ百貨店永登浦店の事業権返上・再入札、ロッテファクトリーアウトレット加山店の閉店、ロッテ百貨店の一部資産売却など大きな意思決定に関与した。
辛会長は年初のVCM（Value Creation Meeting・旧社長団会議）で「短期間で市場の信頼を回復するため、有形資産売却、資産再評価など多様な方策を実施しているが、根本的な解決には事業の本源的競争力を強化して収益性を高めるべきだ」と求めた。
業績が目標に届かなかった状況で、ロッテグループは先月発表した2026年度の定期人事で強度の高い人的刷新に踏み切り、反転を図っている。各系列会社中心の責任経営を強化するため、9年間維持した事業総括体制を廃止し、これに伴い従来ユ流通分野を総括していた金相鉉ロッテ流通群総括代表副会長は勇退した。
あわせてロッテショッピングは百貨店、マート・スーパー、eコマース事業部などの代表取締役を多数交代した。ロッテ百貨店の代表取締役には鄭鉉錫ロッテ百貨店アウトレット事業本部長が、ロッテマート・スーパーの代表取締役には車祐喆ロッテGRS代表取締役がそれぞれ選任された。eコマース事業部の代表取締役には秋大植ロッテeコマース企画管理部門長（専務）が昇格して選任された。
ロッテショッピングは来年上半期に完成予定の先端自動化物流センター「ゼタスマートセンター釜山」に期待を寄せている。同センターには英国グローバル・リテールテック企業「オカド」のスマートプラットフォーム（OSP）が適用された。ロッテショッピングは、商品の変質、品切れ、欠品、誤配送など既存のオンライン買い物の不便要素を改善し、配送品質と顧客満足度を高めてオンライン・グローサリー事業の収益性改善を狙う構えだ。
朴鍾烈・興国証券研究員は「来年は実質賃金の上昇、訪韓外国人の増加、消費マインドの改善などにより、国内消費支出の漸進的な改善が可能とみられる」と述べ、「高級消費財の領域である百貨店部門が来年も収益性をけん引する一方、マート・スーパーの業績反転も可能だ」と語った。