この記事は2025年12月11日午後4時17分にChosunBizRMレポートサイトに掲載された。
「遺伝子組換え食品(GMO)完全表示制は、食品医薬品安全処の安全性検査を通過した食品を対象に消費者の知る権利のために導入するものだ。産業界、消費者、科学者と十分に意思疎通し、段階的な基準を作る」
オ・ユギョン食品医薬品安全処長は11日、ソウル・光化門で記者懇談会を開き、GMO完全表示制に関してこのように述べた。GMOは遺伝子を人為的に操作して作った農産物・微生物などを指す。
オ処長は「GMO完全表示制をいつから段階的に適用するかなどに関する詳細な事柄が残っている」とし、「GMO完全表示制について合意すること自体が難しかったが、今回本会議を通過し法的根拠が整った」と語った。
続けて「下位規定は消費者の知る権利とともに、産業界の原料調達問題などに対する懸念、科学者の分析まで全体的な意見を十分に反映しようと思う。継続的に意思疎通していく」と述べた。
先立って食品医薬品安全処長が定める品目に限りGMO原料の使用有無を表示するよう定めた「食品衛生法」改正案が2日に国会本会議を通過した。健康機能食品のGMO表示に関する内容を盛り込んだ「健康機能食品に関する法律」改正案も同日、本会議を通過した。
現在韓国では遺伝子組換えDNAまたは遺伝子組換えタンパク質の残留有無により表示対象を限定している。遺伝子組換え原料を使用していても、製造・加工後に遺伝子組換えDNAなどが残っていなければGMO表示をしなくてもよい。
改正法案はこれを維持しつつ、食薬処長が食品衛生審議委員会の審議・議決を経て定める品目について、遺伝子組換えの有無を表示するようにした。また遺伝子組換え原料が非意図的に混入した場合でも、その比率が食薬処長が定めた基準を超えればGMOの有無を表示しなければならない。
遺伝子組換え原料を使用していない、または一定要件を満たした製品は、非遺伝子組換え食品(Non-GMO)と表示できる。対象品目、表示方式など具体的な基準は今後の施行令・告示で定める予定だ。
食品業界では、しょうゆ、大豆油、でんぷん糖(水あめ、果糖)などが表示対象として取り沙汰されている。韓国生命工学研究院バイオ安全性情報センターによると、昨年の韓国の遺伝子組換え農産物の輸入量は1000万トン(t)に達する。
韓国が輸入する遺伝子組換え農産物の大半はトウモロコシ・大豆・カノーラである。これを精製して作る食用油・でんぷん・糖類・添加物は、菓子・ラーメン・飲料・ソース・ベーカリーなど大半の加工食品に使われる。加工食品を扱う企業だけでなく、食用油・でんぷん・ソースなどを多く使用する外食業界にも影響を及ぼすとの懸念が出ている。
非遺伝子組換え食品を求める消費者需要に合わせて食品企業が原料を切り替える場合、価格上昇は避けられないとの見方が出ている。加工食品の製造原価も連動して上がり得る。非遺伝子組換え食品は世界的に供給量が少なく価格が高いためだ。
市民社会では、消費者の知る権利を満たすGMO完全表示制を歓迎する雰囲気だ。一方で、食品衛生審議委員会がGMO表示品目を審議するのは適切でないとの指摘もある。現在、食品衛生審議委員会にはGMO分科がなく、委員会に食品業界が参加していることが理由だ。
オ処長はこうした懸念に関し、「どこまで許容基準を設けるか、どの品目から段階的に適用するかなどについて、食薬処が主導するより現場の声をさらに聞こうと思う」とし、「多角的に検討しながら着実に対応していく」と述べた。