貸出金やチョンセ(韓国特有の賃貸制度)保証金を期日通りに返済しなかったり、税金滞納で差し押さえられた住宅が5年ぶりに40%近く急増したことが分かった。高金利と景気不況の長期化により、限界状況に置かれた自営業者や庶民層が増えているという意味である。
22日、裁判所の登記情報広場によると、今年1月から11月までの集合建物(アパート・ヴィラなど)の差し押さえ登記申請件数は18万3296件で、前年同期(16万7483件)比で10%増加した。2020年、2021年には13万件水準だった年間申請件数は、今年18万件となり36.2%増加した。
債権者は債務者が金を返済しない場合、訴訟を提起でき、勝訴すれば裁判所を通じた住宅など資産の差し押さえ、強制競売が可能である。債務者の資産を仮に拘束する仮差し押さえも同期間に増加傾向だ。2020年に8万5300件だった集合建物の仮差し押さえ登記申請件数は、今年11万8709件で39.2%増えた。
コ・ジュンソク延世大商南経営院教授は「差し押さえられた住宅は強制競売に移るが、これは困難に直面した自営業者などが大きく増えたということだ」とし、「景気低迷が続いている一方で貸出金利は高いため、自営業者の延滞率は上昇基調を続けている」と述べた。
韓国銀行が9月に発表した金融安定状況報告書によると、今年2四半期末時点の自営業者の脆弱債務者(多重債務者であり同時に所得下位30%の低所得者)数は43万7000人で、このうち1カ月以上借金を返済できなかった人の割合は25.6%だった。4分の1が延滞中という意味であり、延滞者の比率は2021年1四半期(11.3%)に比べ2倍以上に増えた。
高金利がとりわけ直撃弾となった。金利が下がってこそ利子負担が和らぐが、利下げのペースは鈍い状況だ。2020年5月年0.50%だった韓国銀行の基準金利は2023年1月に3.5%まで急騰した後、昨年10月まで1年9カ月間、過去最長期間の据え置きを維持した。韓銀は昨年末から4回基準金利を引き下げたが、利下げサイクル終了の可能性も取り沙汰される状況である。
無理をして家を購入し、上昇した利子で貸出金を期日通りに返せなかったいわゆる「ヨンクル(魂までかき集めて住宅を購入)」層も増加した。今年11月まで全国で任意競売による集合建物の所有権移転登記申請は2万2562件で、前年同期(1万9132件)より17.9%増加した。任意競売は、債権者が債務者から担保として提供を受けた不動産に設定した抵当権・根抵当権・留置権・質権・チョンセ(韓国特有の賃貸制度)権・担保仮登記などの担保権を実行する競売である。主に住宅などに対する担保融資を受け、元利金を返済できない場合に実施される。