ソウル江東区明逸洞の道路のど真ん中で、車線4本以上に達する幅の大型の地盤陥没(シンクホール)が発生した原因は、下水管の漏水などにより弱体化した深層風化帯の不連続面のすべりによるものと調査された。深層風化帯は、地下の深部に位置し、長時間にわたる物理・化学的風化作用を受けて地盤が弱くなった区間を意味する。
明逸洞の地盤陥没事故は3月24日にソウル江東区明逸洞の大明初等学校交差点の道路で地盤沈下が起き、長さ18m、幅20m、深さ30m規模の大型シンクホールが生じた事件である。この事故でシンクホールに落下したオートバイの乗員1人が死亡し、道路陥没直前に道路を通過した女性の自動車運転者1人が病院に搬送された。国土交通部は事故から4日後に中央地下事故調査委員会(サジョウィ)を設置し、事故原因の究明に乗り出した。当初の活動期限は9月までだったが、11月末まで一度延長した。
国土交通部は3日午前、政府世宗庁舎で、この内容を盛り込んだソウル明逸洞の地盤陥没事故に関するサジョウィの調査結果と再発防止策などを明らかにした。サジョウィはソウル地下鉄9号線工事の発注者・施工会社などと利害関係のない分野別の民間専門家12人で構成した。
サジョウィは事故原因の究明に向けて、▲現地調査(地盤陥没区間の試料採取、ボーリング調査位置の選定、地下埋設物の現況調査など)▲品質試験(ショットクリート打設厚さおよび初期強度試験、鋼管補強グラウチング試験施工など)▲関係者の聴聞▲事故調査委員間の調査結果のクロスチェックなど、延べ26回にわたり会議を実施した。
また、調査結果の正確性と信頼性の確保のため、外部専門機関にドローン映像を基にした3Dモデリング(地質構造の再現)と数値解析によるトンネル安定性の詳細検討などを依頼し、様々な崩壊シナリオを分析した。
サジョウィは、これまでの事故調査の結果を踏まえ、設計・施工段階で把握できなかった深層風化帯の不連続面が地下水位低下と下水管漏水で弱体化してすべり、その結果、設計荷重を超える外力がトンネルに作用してトンネル崩壊と地盤陥没が発生したと判断した。
とりわけサジョウィは、事故発生地点近隣の現地調査とドローン撮影結果の分析などを通じて、複数の不連続面を発見した。このうち3つの不連続面が交差して形成されたくさび状のブロックが、地盤陥没の決定的な原因であることが判明した。
また事故地点は、過去の世宗―抱川高速道路13工区のトンネル工事により地下水位が低下し、地盤内の応力分布が変化した。2017年1月時点の世宗―抱川高速道路13工区の設計地下水位はG.L(−)3.1〜6.9mだったが、2022年1月時点の都市鉄道9号線4段階の設計地下水位はG.L(−)18.9〜25.5mで、地下水位が約18.6m低下した。
あわせてサジョウィは、事故現場近隣の老朽下水管の管理が不十分で、継続的な漏水による地盤の軟弱化も地盤陥没に影響したと判断した。当該地下埋設物管理者は2022年に当該下水管の実態調査を実施したが、ひび割れ・継手段差などに対する補修措置は行われなかった。このほかサジョウィは、施工中の掘進面側面展開図の作成義務不遵守1件、地盤補強材注入工事の仕様書作成不備1件なども確認した。
サジョウィのパク・インジュン委員長は「今回の事故は一般的に石灰岩地形の地盤が沈下して生じるシンクホールではない」としつつ、「くさび状ブロックが自然的要因だとすれば、地下水位の低下と下水管の漏水は人災とみなすこともできる部分だ」と述べた。
サジョウィはこれに対する再発防止策として、▲設計・施工の管理強化のため、地盤調査間隔の縮小、1日の掘進速度と掘進量の施工計画書への反映を勧告▲地下水位管理の強化のため、地下水位低下に関する措置要領の改善、都心部の深層風化帯区間での非排水トンネル(TBMなど)施工を勧告▲地下埋設物管理の強化のため、地盤探査の強化、掘削工事近隣の老朽下水管の交換、トンネル内の地下水成分の調査および関係機関の協議体の構成▲トンネル安定性の強化のため、都心部の深層風化帯区間で3列重複の鋼管補強グラウチング工法の適用、掘進面の評価体制の強化、などを提案した。
TBM施工は、機械を用いて掘進面を土圧・水圧で密閉し、地下水や土砂の流出を防ぎ、地盤掘削と同時にトンネルを完成させていく工法である。
パク・インジュン委員長は「TBM施工は従来方式より費用が1.5倍から2倍程度高いため、異例の強い要請をした」と述べ、「事故調査の結果を整理・補完し、12月中に国土交通部へ最終報告書を提出する予定だ」と明らかにした。続けて「類似の事故の再発を防ぐため、国土交通部を含む関係機関の迅速な制度整備と後続措置に期待する」と付け加えた。