中堅建設会社の役員を名乗り、協力会社の役職員に金融投資商品の加入などを求めた事例が出た。A建設の役員であることを前面に出し、協力会社の役職員に「金融投資商品に関する説明会を実施するので人を集めてほしい」と要請したという。協力会社はこうした要求を不審に思い本社に確認し、役員を装っていた人物は連絡を絶った状態だ。この建設会社は最近、来年度の主要協力会社の選定作業を進めた。当該建設会社の経営陣は大きく当惑したとされる。
1日建設業界によると、先月A建設は自社役員を装い、協力会社の社員に詐欺を働いた事例を協力会社からの通報で把握し、主要協力会社に通知した。さらに告知を通じ、当該事例はA建設の役員ではないと明らかにした。A建設の役員だと自己紹介した人物は、この建設会社の協力会社に電話などで連絡し、金融投資商品の説明会を開催する計画なので役職員を集めてほしいと要求した。
A建設関係者は「役職員が5〜6人程度しかいない零細な協力会社から連絡があった」とし、「不審だという通報を受けて、本社レベルで詐欺被害に遭わないよう告知したものだ」と述べた。この関係者は「経営陣も他の協力会社にも告知して被害が発生しないよう措置するよう指示した」と語った。
ホームページでの告知でも「当社は金融機関と連携した商品説明会や商品の加入を勧誘したり、電話やショートメッセージを一切送っていない」とし、「当社の役職員を装う電話やショートメッセージによって被害が発生しないよう、格別の注意をお願いする」と明らかにした。ただしこの建設会社は実際の被害事例は発生していないとして、警察や金融監督院への通報措置は取らなかった。
こうした詐欺行為は、A建設が主要協力会社を募集する時期に発生した。この建設会社は10月31日から11月13日まで「資材協力会社新規登録募集公告」を出し、主要協力会社を募集した。企業信用格付けB-以上、キャッシュフロー等級C-以上で、法人設立後2年以上経過した企業を対象に、建築、土木、電気、設備、建設機械、安全、共通など8部門60分野の協力会社を募集した。
過去には建設会社または建設会社の役職員を装って詐欺行為を働いた事例がしばしばあった。2015年には京畿道安養市萬安区安養洞で、大手建設会社の次長だと称して保険募集人に接触し、保険商品に加入するかのように装って少額を借り取り、横領した後に検挙された事件が発生した。当時、容疑者の姓イの人物は保険募集人をだますために建設会社のユニフォームを着用し、当該建設会社の名刺を渡したりもした。
2023年には有名建設会社を装い、「XXX（建設会社名）カナダ・オンタリオ州プロジェクト見積依頼」という件名のフィッシングメールが拡散した。メールには「カナダ・オンタリオ州で進行中の契約に関連し、添付した物品に対する貴社の見積書を提出してほしい」という内容が含まれていた。見積書の文書ファイルには悪性リンクが仕込まれ、アカウント情報の入力を誘導した。
ただし最近では建設会社を装った詐欺は減少傾向にある。建設業界関係者は「最近は建設会社の役員だと偽って協力会社を対象に詐欺行為を試みるケースはほとんどない」とし、「以前と異なり、協力会社と対等なパートナー関係を構築するために努める状況であり、なおさらそのような事例は見つけにくい」と述べた。