サムスン物産 建設部門(サムスン物産)がソウル・ヨイドのDaekyoアパート再建築整備事業組合が提示した入札指針に違反したという不満が一部組合員の間で出ている。サムスン物産はDaekyoアパート再建築の入札に単独で参加しており、随意契約を締結する可能性が高いとみられる。
13日、整備業界によると、ヨイドDaekyoアパート再建築の一部組合員は、サムスン物産が提案した事業費金利の基準、移住費・追加移住費の金利、工事費の物価上昇率適用基準などが、組合が提示した入札指針書と異なると主張している。
整備事業の施工会社選定入札に参加する建設会社は、当該組合が示した指針に沿って事業を提案しなければならない。組合の入札指針から外れる条件で提案した場合、組合の判断により入札保証金の没収、入札資格の剥奪などが行われることもある。
ヨイドDaekyo再建築組合は入札指針を通じ、施工会社が提案すべき当該事業のすべての金利条件として利率を「譲渡性預金証書(CD)+加算金利」、加算金利は固定金利で提示するよう定めた。事業の安定性を維持するには、変動金利より固定金利が組合に有利に働くという判断からだ。しかしサムスン物産が入札に参加して提示した事業提案書には「金融調達時点の最低貸出金利」と記し、変動金利の条件を掲げたというのが組合員の指摘である。
組合の入札指針をみると、施工会社に事業費金利と入札保証金金利の基準も同一に提示するよう設定していた。ところがサムスン物産は入札保証金金利と事業費金利を異なる条件で提示したというのが一部組合員の主張だ。サムスン物産の提案書によれば、入札保証金はCD+0%の条件を掲げた一方、本事業費については「借入時に金融機関が調達する最低金利」を提供するとしている。
また組合は入札指針で、追加移住費の金利を基本移住費の金利と同一に提示するよう定めた。サムスン物産が追加移住費を調達する際に、第1金融圏の移住費ローンと同一の金利を設定してほしいということだ。もっともサムスン物産は、基本移住費は組合が選定した金融機関で実行する集団担保貸出による直接貸出であり、追加移住費は信用供与の条件だと説明し、異なる金利を適用できる余地を残した。一部組合員は「条件が違えば金利も違ってくるのではないか」と指摘した。
また組合員は、サムスン物産が物価変動による工事費調整の基準も組合の指針に従っていないと批判した。入札指針では、実際の着工日まで消費者物価指数と建設工事費指数のうち低い方の基準を適用して工事費を引き上げることができるとしている。だがサムスン物産は2つの指数の算術平均値を適用すると提案した。より低い指数を適用せず、2つの指数の算術平均値を工事費に適用すれば、今後の工事費の上昇幅がはるかに大きくなるというのが一部組合員の意見だ。
Daekyoアパート組合員A氏は「サムスン物産は競争なしで単独入札し、間もなく随意契約を目前にしている」としつつも、「再建築事業に大きく影響する金融条件や工事費の物価上昇率の適用基準を、組合の指針と異なりサムスン物産に有利に調整したのは問題だ」と語った。A氏は「組合内部では、建設業界1位のサムスン物産が施工会社に選ばれるのだから静かにやり過ごそうという意見がある一方、今後組合員の負担金が大きく増える可能性がある事案である以上、正すべきだという主張も出ている」と付け加えた。
ヨイドDaekyoアパート再建築組合は、サムスン物産の入札指針違反論争について「指針違反に関する内容はないと承知している」と述べた。
サムスン物産もまた、ヨイドDaekyoアパート施工会社選定入札に参加して提出した事業提案書には指針違反の事由はないと明らかにした。サムスン物産の関係者は「組合に出せる最適な事業提案書を提出した」とし「組合が提示した入札指針から外れない範囲で提案したものだ」と述べた。
Daekyoアパート再建築組合は15日に総会を開き、現在の優先交渉対象者に選定されているサムスン物産と随意契約を締結する案件を上程し、組合員投票で決定する方針だ。
整備業界の関係者は「サムスン物産が今月、組合総会を通じて最終施工会社に選定され、提案書が入札指針と異なっていても、ひとまず総会で議決さえ得れば私的契約が成立するため、その後は法的問題はなくなる」とし、「組合員がサムスン物産と随意契約を結んでスピードを優先するのか、それとも遅くなっても組合が提示した条件に合う施工会社を見つけられるよう再入札を推進するのかは、総会の結果を見守る必要がある」と説明した。
サムスン物産は9月に2度実施されたヨイドDaekyoアパートの施工会社入札に単独で参加し、優先交渉対象者に選定された。
ヨイドDaekyoアパート再建築は、ソウル・ヨンドゥンポ区ヨイド洞41番地一帯の576世帯を、地下5階〜地上49階、4棟、912世帯規模の新しいアパートとして建設する事業である。想定工事費は3.3㎡当たり1,120万ウォンで、総額7,721億ウォン規模と推定される。