「韓国が宇宙情報の主権を確保するには、衛星を保有するだけでは不十分だ。必要な地域を望む時間に撮影する権限、収集した原本データを保存・分析する能力、海外企業や政府の介入なしにシステムを運用する統制権まで備える必要がある。」
ペッカ・ラウリラ(Pekka Laurila)アイサイ(ICEYE)共同創業者兼最高戦略責任者(CSO)は先月26日、ソウル中区ウェスティン朝鮮ホテルで開かれた「SMARTCLOUD SHOW 2026」基調講演直後にChosunBizと会い、こう述べた.
アイサイが韓国市場に提示した事業構想も宇宙情報の主権確保に焦点を合わせている。韓国が直接統制する衛星と地上システムを構築しつつ、アイサイが運用するグローバル衛星網を併用する方式だ。独自システムを構築する間は既存の衛星網を通じて必要な情報を確保し、その後は二つの衛星網を結合して観測能力を高められるという説明である.
アイサイはラウリラとラファウ・モドジェフスキ(Rafal Modrzewski)がフィンランドで2014年に設立した衛星企業である。2018年に世界初の100kg以下商用合成開口レーダー(SAR)衛星「アイサイ-X1」を打ち上げ、今年7月までに計76基の衛星を宇宙に送った。6月のシリーズF資金調達過程で企業価値を100億ユーロ(約17兆ウォン)以上と評価された。衛星と地上インフラの設計・製造・運用から衛星撮影、データ処理と人工知能(AI)分析まで全工程を提供する。韓国では今年6月に法人を設立し、ソウル大とSAR地球観測、小型衛星、AI基盤の衛星運用分野で共同研究・教育のための業務協約を結ぶなど事業を拡大している.
ラウリラ共同創業者は「アイサイが『主権型』と言うときは、名称だけでなく現地の顧客とパートナーが実質的にシステムを統制するという意味だ」と述べ、「韓国の顧客だけが衛星に撮影を命令しデータを管理するようにでき、アイサイ本社や第三国がアクセスできないようにすることも可能だ」と語った.
SAR衛星は地上にレーダーを送信し、戻ってくる信号を分析して映像を作る。光学衛星と異なり夜間でも地上を観測でき、雲や煙で視界が遮られてもデータを確保できる。アイサイは現在年間50基水準の衛星生産能力を2027年までに100基水準へ拡大する計画だ。以下、ラウリラ共同創業者との一問一答。
◇ 「衛星保有より誰が統制するかが重要」
—韓国がアイサイのシステムを導入すると、撮影命令とデータは誰が統制するのか。
「主権型システムの統制権は顧客だけにある。アイサイが『主権型』と言うときは、名称だけでなく現地の顧客とパートナーが実質的にシステムを統制するという意味だ。韓国の顧客だけが衛星に撮影を命令しデータを管理するようにできる。アイサイ本社や第三国がアクセスできないようにすることも可能だ。」
—すべての衛星とシステムを独自に構築すべきか。
「主権型システムとグローバル商用衛星網を併用するのが最良の組み合わせになりうる。中核の観測能力は顧客の国家が独立して統制し、必要なときにグローバル衛星網を追加で利用する方式だ。独自システムの構築には時間が必要だが、商用衛星網を利用すれば初日からデータを受け取れる。『完全な独自構築』と『海外データ購入』のいずれかを選ぶ代わりに、二つの方式を結合する現実的な経路というわけだ。」
—韓国を重要市場と見る理由は何か。
「韓国は国防や保険、日常生活など多方面で新技術を迅速に導入する。技術を作る面でも、それを採用する面でも先導的な国家だ。国防の側面ではフィンランドと韓国が置かれた環境が似ている点もある。(フィンランドはロシアと約1340kmに及ぶ国境を接し、韓国は軍事境界線を挟んで北朝鮮と対峙している。)両国はいずれも周辺の日常的な活動の様相を把握し、潜在的な軍事活動を早期に警報する必要がある。」
—韓国ではどのような方式で事業を拡大する計画か。
「韓国には技術水準の高い現地パートナーが多い。アイサイは外国技術を一方的に輸出する企業としてとどまろうとはしない。韓国に現地チームと法人、技術能力とパートナーシップを構築し、国家レベルのインフラを共に作りたい。現地生産とシステム運用、人材育成など深い水準の協力にも開かれている。」
◇ 「写真一枚より反復観測が情報を生む」
—高解像度の衛星写真一枚より反復観測が重要なのか。
「一枚のSAR画像は撮影当時の状況だけを示す。同じ地域を反復して見てこそ洪水や山火事の拡散、国境地域の変化、船舶の移動が分かる。低軌道衛星一基は約90分ごとに地球を回るが、地球も自転するため特定地域を再撮影するのに二日ほどかかる場合がある。複数の衛星をコンステレーションで運用すればこの間隔を大きく縮められる。
ある地域を数日に一度撮影すると、すでに起きた事象の確認にとどまる可能性が大きい。これに対し一日に何度も反復観測すれば変化を早期に捕捉できる。衛星写真が事後記録を越えて実質的な情報となるには、解像度だけでなく観測頻度と分析速度まで同時に高まる必要がある。」
—今後衛星産業の競争を分ける要素は何か。
「衛星の数と画像解像度、データ伝送速度は引き続き重要だ。しかし衛星が増えてデータが増加しても、すぐに情報になるわけではない。データから必要な変化を迅速に見つけ、実際の意思決定に活用させる能力が重要だ。SAR衛星網が世界を観測するバックボーン(backbone・核心情報インフラ)となり、その上に他のセンサーと外部データ、AI分析と応用サービスが結合されるだろう。衛星産業の競争軸が『どれほど鮮明な写真を撮るか』から『写真の中の変化をどれほど速く解釈するか』へ移っているという意味だ。衛星数が増え撮影周期が短くなるほど、人がすべての映像を直接確認する方式には限界が生じる。」
◇ 「AI分析結果が衛星の次の撮影を決める」
—アイサイはAIをどう活用するのか。
「AIが衛星データから特定のシグナルを発見すると、分析で終わらない。その結果に応じて衛星センサーに追加観測を指示し、新たに確保したデータで既存分析を再検証する。リアルタイムに情報を収集・分析し、衛星網を再び動かす『エンドツーエンド・ループ(データ収集から分析、追加撮影、再検証まで全過程を一つに結んで反復する構造)』がアイサイの差別化点だ。」
—国防分野でもAIが独自に判断できるのか。
「AIは膨大なデータを同じ基準で反復処理する点に強みがある。しかし国防のように判断結果の波及力が大きい分野では、人が必ず介入しなければならない。AIが分析した結果を人が最終的に確認する『ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human in the Loop)』体制が必要だ。」
—アイサイが今後どのような会社になると見るか。
「長期的にアイサイのセンシング技術は世界を支える核心情報インフラになる。この種のディープテックは一般的に学界と政府で先に活用された後、他の産業へ拡散する。現在は国防と政府分野で急速に成長しており、保険会社など企業にもソリューションを提供している。衛星ナビゲーションが軍で始まり汎用的なインフラとなったように、地球観測技術も同じ道をたどるだろう。」