ペク・スンテ LGエレクトロニクス ホームアプライアンスソリューション(HS)事業本部長(副社長)が5日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開かれた欧州最大の家電・情報技術(IT)見本市「ベルリン国際コンシューマ・エレクトロニクス展(IFA) 2026」で取材陣の質問に答えている/ベルリン=チョン・ドゥヨン記者

「現在、複数のビッグテックとロボット用アクチュエーターの受注活動を進めている。10月には生産準備状況などをめぐってミーティングも予定している。」

ペク・スンテLGエレクトロニクスホームアプライアンスソリューション(HS)事業本部長(副社長)は5日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開かれた欧州最大の家電・情報技術(IT)展示会「ベルリン国際コンシューマー・エレクトロニクス展(IFA)2026」で記者団にこう語った。ペク副社長はLGエレクトロニクスの中核事業である生活家電を率いるトップである。アクチュエーターはモーター・減速機・ドライバーなどを組み合わせてロボットの動きを生み、精密に制御する中核部品で、人の関節と筋肉に相当する。業界ではヒューマノイドロボットの原価に占めるアクチュエーターの比率が最大60〜70%に達するとみている。

LGエレクトロニクスは冷蔵庫・洗濯機など完成品を販売する企業と消費者間取引(B2C)に加え、企業間取引(B2B)を生活家電の新たな成長軸に育てている。建設会社などに家電をパッケージで供給するビルダー・ビルトインと業務用ランドリー家電、モーター・コンプレッサーなど既存の部品事業にロボット用アクチュエーターを新たな軸として追加し、B2Bの売上基盤を広げる戦略だ。ペク副社長は「現在HS事業本部の全体売上でB2Bが占める比率は10%を少し上回る水準だ」とし、「生活家電で蓄積した技術と顧客体験データを基に、住居だけでなく商業、産業空間までB2B事業領域を拡大し、家電事業の成長にスピードをつける」と述べた。

ペク副社長は中国家電メーカーの追撃について「十分に対応できる体力が高まっている」と評価した。モーター・コンプレッサーなど中核部品を自社生産する技術力に、グローバルサプライチェーンと生産拠点を柔軟に活用する原価競争力を加えて対応する構想だ。

ペク副社長はこうした生産・原価対応力を土台に、対外不確実性が続く状況でも事業の成長基調を維持していると説明した。ペク副社長は「具体的な数字は示せないが、損益率の面でも前年より悪い状況ではない」とし、「原材料価格と地政学的な不確実性などを定数とみて、対応体制を整えている」と語った。

4日(現地時間)、ドイツ・ベルリンのIFA 2026 LGエレクトロニクス展示場入口でホームロボット「LG クロイド」が両腕を動かして「LG AIオーケストラ」を指揮している。LGエレクトロニクスはクロイドを中心に生活家電とTV・空調製品などが一体でつながるAIホームの未来を表現した/チョン・ドゥヨン記者

◇「1〜2年以内にコンプレッサー級の売上」…ロボットの『関節・筋肉』をB2Bで

LGエレクトロニクスは年初、ロボット用アクチュエーターのブランド「LGアクシウム(AXIUM)」を公開した。現在9種の製品群を、顧客企業が求めるサイズや出力、精度、使用環境などに合わせて拡大し、年内に量産体制を整える計画だ。

ペク副社長は「減速機とモーター、ドライバーがアクチュエーターの中核部品だが、LGエレクトロニクスは約60年にわたってモーターを作ってきた」とし、「高効率と軽量、原価競争力が強みだ」と述べた。続けて「競合に比べてモーターを30%以上軽く作ることができる」と語った。

LGエレクトロニクスは、相対的に技術確保が必要な減速機は自社開発と外部調達を並行する。ヒューマノイドメーカーごとに求められるサイズや出力、構造が異なり、まだアクチュエーターの標準規格が確立されていないだけに、顧客カスタム製品への対応力も確保する計画だ。慶南・昌原の事業場にアクチュエーターの自動化生産ライン構築も準備している。ペク副社長は「10月以降は受注したという良い知らせを早く伝えたい」と語った。

事業規模に関する目標も示した。ペク副社長は「ロボットの材料費でアクチュエーターが占める比率は約60%で、ヒューマノイド1台には数十個のアクチュエーターが入る」とし、「1〜2年以内に現在外部に販売しているコンプレッサー事業と肩を並べる水準の売上になり得る」と述べた。

既存のB2B事業も急速に拡大している。LGエレクトロニクスの北米ビルダー事業の売上は直近3年間で年平均約45%、業務用ランドリー家電は約41%成長した。昨年、北米のランドリーソリューション企業CSCサービスワークス(CSC ServiceWorks)と業務用洗濯機の供給契約を結び、今年は供給規模を前年より2倍以上に拡大する計画だ。

LGエレクトロニクスは北米で得た事業経験を欧州に拡大する。年内に欧州のビルダー専門営業人員を2倍以上に増やし、年内までに欧州全域の家電・インテリア・家具企業など約3000店舗でビルトイン家電の展示を拡大する計画だ。

◇「中国の低価格攻勢が継続するのは難しい」…欧州家電1位の目標を維持

ペク副社長は中国企業の製品競争力が急速に高まった点は認めつつも、価格を前面に出した攻勢が長期化するのは難しいとみた。ペク副社長は「過去には中国主要家電企業の原価削減率はLGエレクトロニクスより高かったが、最近は原価が上がる様子も見えている」とし、「中国企業も市場シェアを高めるために低価格戦略を継続するのは難しいと考える」と述べた。

LGエレクトロニクスもサプライチェーンと原価構造を継続的に見直した。ペク副社長は「中国のエコシステムを活用することを含め、材料費を削減するための多くの変化を試みた」とし、「グローバル10カ国12の生産拠点を柔軟に調整し対応できるため、以前より体力が高まった」と語った。

製品競争力の基盤としては、モーター・コンプレッサーなどの中核部品と制御・ソフトウエア技術を挙げた。ペク副社長は「過去は価格と容量が競争ポイントだったが、今の家電競争力の基本は製品にどれだけ顧客体験を盛り込めるかだ」とし、品質と使い勝手、サービスまでが製品競争力を左右すると説明した。

欧州ではエネルギー効率を中核の競争力として打ち出す。LGエレクトロニクスは欧州最高のエネルギー効率等級であるA等級基準よりエネルギー使用量を70%削減した洗濯機をはじめ、冷蔵庫(A-35%)、食器洗い機(A-30%)などを披露した。製品自体のエネルギー効率だけでなく、スマートホームプラットフォームとホームエネルギー管理システム(HEMS)を組み合わせ、住宅全体のエネルギー使用量を管理するソリューションも拡大する。

ペク副社長は昨年示した「2030年に欧州家電で1位」という目標も維持すると明らかにした。ペク副社長は「欧州ではミーレやボッシュのように長年ブランド信頼を積み上げた伝統の強者が相当な市場を占めている」としつつも、「LGエレクトロニクスの冷蔵庫と洗濯機は前年より二桁以上成長している。継続的に努力すれば、目指す水準の市場地位に到達できるとみている」と述べた。以下はペク副社長と取材陣の一問一答。

LGエレクトロニクスのロボット用アクチュエーターブランド「LG アクチュエーター アクシウム」イメージ/LGエレクトロニクス

-中国企業のロボット掃除機を見ると、障害物を乗り越えるなどハードウエアの変化が速い。LGエレクトロニクスが技術的に遅れているとの評価もあるが。

「掃除ロボットで最も重要なのは走り回る走行技術だ。その部分が不足していたのは事実だ。ただし今年投入した製品は市場での検証過程で、走行に問題がないとの評価を受けている。今後ロボットプラットフォームで活用される走行技術を継続的に確保すれば、十分に競争力を高められると考える。

直近3年間、中国企業のフォームファクターの変化を見ると、市場に実際に適用されず消えた機能も多かった。結局、ロボット掃除機の本質は『走行』と『清掃』だ。LGエレクトロニクスは本体とステーションにスチーム機能を適用するなど、清掃品質で差別化している。不足していた走行技術は補完しつつ、清掃という製品の本質でも競争力を確保する。」

-LGグループがヒューマノイドを強化している。HS事業本部はどのような役割を担うのか。

「ロボットは使用する環境によってホイールタイプや人のように二足歩行する形など、さまざまな姿に発展し得ると考える。産業現場でも作業の特性によって必ずしも脚や頭が必要なわけではない。グループレベルではセンサーや素材、データ、駆動技術など各系列会社のケイパビリティーを結集している。HS事業本部はその中でも、ロボットの中核部品であるアクチュエーター事業に集中する。」

-ヒューマノイドを実際にLGエレクトロニクスの工場にも投入するのか。

「家庭に入る前に、産業現場でまず多くの経験を積むことになるだろう。米国テネシー工場ではヒューマノイドが一部工程を学習しており、近く現場に配備する計画だ。昌原のスマートファクトリーにもヒューマノイドの適用を準備している。

家庭では安全が最も重要だ。産業現場は安全を管理できるが、家庭には予測しにくい突発状況が多い。多くの企業がこれを解決するために模索している過程にあり、時間は必要だが、思ったより早く来る可能性もある。」

-今年のIFAでホームロボット『LGクロイド(LG CLOiD)』をAIオーケストラの指揮者に据えた理由は。

「昨年までは洗濯機と冷蔵庫それぞれにAI機能を入れ、家電間の接続を強調した。今年見せたいのは単純な接続ではない。各家電が顧客の空間と生活を理解し、自ら判断し実行して日常を支援する『ゼロレイバーホーム(Zero Labor Home)』だ。今すぐではないが、最終段階ではロボットが頂点を打つだろう。ゼロレイバーホームで最も重要なフォームファクターがロボットになるという意味で、クロイドを指揮者に据えた。」

-ゼロレイバーホームは具体的にどのような姿か。

「一つの志向点だ。顧客が意識しなくても家電が顧客と状況を認知し、機器とサービスをつないで見えないケアを提供するということだ。現時点では洗濯物を洗濯機に入れて取り出し、移す過程まで一つの家電がすべて遂行できていない。こうした実際の行動までフィジカルAIが担うようにする過程にある。家全体でこうした機能を一つずつ実装していけば、ゼロレイバーホームに近づくとみている。」

4日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開かれた「IFA 2026」LGエレクトロニクス展示館に、同社初のヘアドライヤー「LG エアデュー(AirDew)」が展示されている。LGエレクトロニクスは生活家電で蓄積したモーター・センサー・気流制御技術をヘアケア製品に適用した/ベルリン=チョン・ドゥヨン記者

-IFAで初披露したヘアドライヤーを生活家電事業の新たな領域とみなせるか。

「ヘアドライヤーの中核技術の一つもモーターだ。LGエレクトロニクスが持つモーター技術を活用できる分野だ。頭皮と毛髪の水分を管理する機能を適用し、風量でも業界主要製品と比べて競争力を備えた。市場に紹介して評価を受け、意味のある成果が出ればヘアケア領域へ製品群を拡大する計画だ。冷蔵庫や洗濯機のように既に定着した家電だけにとどまらず、顧客の日常で新たな機会を継続して探す予定だ。」

-サムスン電子は今年、メッセ・ベルリンで大型の公開ブースを運営しない。LGエレクトロニクスはIFAへの参加を続ける計画か。

「その通りだ。IFAは他の展示会のように新製品と技術を見せる役割もあるが、取引先との商談が多く行われる点が大きな特徴だ。LGエレクトロニクスは欧州で事業を成長させようとする戦略と相まって、今後もIFAに継続して参加する。」

-AIホームがカメラやドアロックまでつながると、セキュリティの重要性も高まるが。

「AIホームは家電だけでなく、IoT(モノのインターネット)カメラやドアロックなどへと範囲が広がる。セキュリティは顧客に対して必ず守るべき価値だ。LGエレクトロニクスは『LGシールド(LG Shield)』を通じてAIホームのセキュリティを強化している。」

-グローバルサウスでは追加の生産投資が進んでいるのか。

「ブラジルの冷蔵庫工場が先月生産を開始し、現地供給に入った。インドでは既存の2つの工場に続き、スリシティ工場が年末から生産を開始する予定だ。これらの市場にはプレミアム需要もあるが、初めて冷蔵庫や洗濯機を購入する顧客も多い。インドではこうした顧客を狙った製品を披露し、意図した売上と収益性を確保した。この経験を他のグローバルサウス市場へ拡大する計画だ。」

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