「おっ!」
5日(現地時間)ドイツ・ベルリンで開かれた欧州最大の家電・情報技術(IT)展示会「ベルリン国際家電博覧会(IFA)2026」。メッセ・ベルリン内パレ・アム・フンクトゥルム(Palais am Funkturm)のクリエイターステージで、車輪付き四足歩行ロボット1台が芸を披露した後、後ずさりする際に方向をうまく取れなかった。そのままランウェイの端を外れて舞台下に落ちると、観客の間からため息が漏れた。しかしすぐに「頑張れ」「できる」といった声援が続いた。子どもの特技披露で失敗が出たときのように、観客は失敗に注目するよりもロボットの次の動きを待ちながら拍手を送った。
この日行われた「ロボッツ・オン・ザ・ランウェイ(Robots on the Runway)」は、開演10分余り前から舞台周辺が人で埋まった。現場スタッフが追加入場を制限し、1階の舞台周辺だけでなく2階の手すりにもロボットを見下ろそうとする観客が隙間なく並んだ。ロボットが激しいダンスを踊ったり太極拳の動作をしたり、脚を左右に大きく開く動作を見せるたびに歓声が上がった。見事な動きが出るたびに数十台のスマートフォンが同時に舞台へ向けられた。
ランウェイを見守った20代のドイツ人観客は「ゾッとするほどの驚くべき技術力を一目で見た」と述べ、「ロボットで自分の日常が変わる時点が遠くないと感じた」と語った。IFAが今年ロボットを前面に配置したのも、こうした技術の変化を示すためである。未来技術の展示空間である「IFAネクスト(IFA Next)」には約300社が参加した。IFA側は今年の催しに過去最多のヒューマノイドロボットが登場したと明らかにした。単にブースにロボットを立たせておくにとどまらず、ランウェイや自律ロボットサッカー「ロボカップ(RoboCup)」などを用意し、観客がセンサー・動作制御・人間との相互作用を直接見られるよう展示方式も変えた。
◇ ダンス・太極拳・前後開脚に歓声…失敗にも「頑張れ」
ランウェイには中国のエンジンAI・AGIBOT(애지봇)・ユニトリー・DOBOT(도봇)・ディープロボティクス・AiMOGA(아이모가)をはじめ、プライムボット・COGIO Robotics(コジオロボティクス)・ALLO BOT(オルロボット)・Astral Dynamics(アスト랄다이내믹스)・Mind with Heart(マインド위드ハ트)など11社が参加した。ヒューマノイドから四足歩行・車輪型ロボット、動物を模したコンパニオンロボットまで形態もさまざまだった。
各社が代表製品をランウェイに上げて最も自信のある動作を見せた後、舞台裏に下がり、次のロボットが登場する方式で約1時間進行した。IFA側は、ヒューマノイドがこの日のイベントでダンス・太極拳・後方宙返り・前後開脚などを成功裏に披露したと述べた。
人の背丈に近い中国エンジンAIの「T800」が舞台上で上体を大きくひねり手足を動かすと、観客の視線が一斉に集まった。T800は身長173cmの汎用ヒューマノイドだ。手を除く全身に最大29の自由度を適用し、脚の関節を能動冷却して長時間の動作を実現することに重点を置いた。
中国AGIBOTはこれより小さい身長1.31m、重量約39kgの「X2ウルトラ」を登場させた。X2ウルトラは30の自由度と3次元(3D)ライダー・RGB-Dカメラなどを備え、歩行や身ぶり、人物との相互作用を見せた。
強い動きだけを競ったわけではない。中国DOBOTはパンダを模した「PandaBo(パンダボ)」を四つ足で動かし、観客と交感する様子を見せ、サイズや外観の異なる複数のコンパニオンロボットも一度にランウェイに上げた。ヒューマノイドの人に近い動きと、動物に似たロボットの親しみやすさを同じ舞台に配置した格好だ。イベント後には観客がロボットを間近で見られる交流イベントも続いた。
リアルタイムの催しであるだけに、動作がすべて計画どおりに続いたわけではなかった。四足歩行ロボットが舞台下に落ち、子どもほどの大きさのヒューマノイドがバランスを崩すと、司会者が手で体を支えて姿勢を立て直すのを助ける場面もあった。しかし観客は失敗にやじを飛ばすより、声援を送った。ロボットが再び姿勢を整えると歓声も上がった。
韓国の中小製造業の社員、姓イの人物(43)は「リアルタイムで進行したイベントだったにもかかわらず、ロボットが大きな失敗なく技術力を示した点が印象的だった」と述べ、「人の形だけでなく、情緒的に交感できるロボットも多く、フィジカルAIが接合される分野が非常に広いことを改めて感じた」と語った。
◇ ロボットで埋め尽くされた展示場
ロボットの展示も華やかだった。メッセ・ベルリン25ホールでは、ロボットが実際に何ができるかを示す競い合いが繰り広げられた。ヒューマノイドがダンスを披露するブースの隣では、別のロボットが物流作業を想定して物品を扱い、傾斜面や砂地を行き来したり楽器を演奏した。IFAが掲げた「フィジカルAI」が、単に二足で歩く人型の機械だけを意味しないことを示す場面だった。
中国プードゥロボティクスは車輪型セミヒューマノイド「PUDU D7」を欧州で披露した。D7は身長175cm、重量140kgで、両腕と360度全方向移動シャーシを組み合わせた。片腕で最大20kgを扱え、稼働時間は4時間以上、演算性能は276TOPSだ。二本脚で人のように歩く代わりに、平坦な工場・物流環境で安定的に移動しながら高い棚の物を取り出したり運搬・組立てを行う作業に焦点を当てた構造である。
同じブースでは、中国プードゥロボティクスの車輪型四足歩行ロボット「PUDU D5-W」がスロープを上り、砂が敷かれた区間を通過した。3Dライダーとカメラで周辺を認識し、人が移動しにくい施設を点検・巡回する用途を狙った製品だ。中国ディープロボティクスも車輪型四足歩行ロボット「Lynx M20S(リングスM20S)」を展示し、電力設備の点検や災害救助・警備巡回など産業現場を適用先として提示した。
ロボットの手を見せるデモもあった。中国ターミテック(TermiTech)のブースでは、ヒューマノイドが両手を動かしてヤマハの電子キーボードを演奏した。ターミテックはロボットの判断・制御を担う「TermiBrain(ターミブレイン)」やロボットハンドなどを開発しており、製造・巡回・点検などを適用分野として示している。中国ユニトリーのブースでは、ヒューマノイド「G1」3台が同じ動きを合わせて群舞を続けた。中国プライムボットは身長88cmの個人向けヒューマノイド「Q1」と、人型・四足形態を行き来できる「T1」を投入し、教育・撮影・コンパニオンロボット市場を狙った。
市場調査会社カウンターポイント・リサーチによると、今年上半期の世界ヒューマノイドロボット出荷台数は2万2000台を超え、前年同期比で約300%増えた。中国AGIBOTが約9700台で43%以上、中国ユニトリーが7000台超で31%を占めた。両社だけで世界出荷量の約4分の3だ。カウンターポイント・リサーチは、今年の世界ヒューマノイド出荷台数は5万台を上回ると展望した。
出荷されたヒューマノイドのうち、公演・エンターテインメントとデータ生成・研究用が依然60%を超える。製造用は13%、倉庫・物流は5%だ。現在の市場では、ランウェイで見たダンスや動きそのものも実需がある商品というわけだ。
業界関係者は「製造・物流の比重が大きくなり、競争の基準は『どれほど人のように動くか』から『その動きでどれほど正確かつ反復的に業務をこなせるか』へ移っている」と述べ、「次の競争は、宙返りをどれだけ見事に回るかよりも、展示会で見せた『仕事』を構造と状況が絶えず変わる工場・店舗・家庭でもどれだけ正確に反復できるかに懸かっている」と語った。