掃除機で事業を始め、扇風機・空気清浄機・ヘアケアへと製品群を拡大してきたダイソンが、今回はオーラルケアで事業領域を広げる。カメラで歯間を見つけて液体を自動噴射する自社初のオーラルケア製品を前面に押し出し、専門各社が固めた市場に挑戦状を叩きつけた格好だ。カメラ・機械学習を活用した自動歯間洗浄で差別化を図ったが、高価格と浴室での映像流出懸念は大衆化に向けて解くべき課題とされる。
ダイソンは1日、フランス・パリで自社初の電動歯ブラシ・口腔洗浄器「ダイソン・カメラジェット(Dyson CameraJet™)」を公開した。47万枚以上の歯の画像を学習した機械学習とカメラを用い、歯間を見つけて当該地点に液体を自動噴射するのが特徴だ。グローバル公開に合わせて韓国で事前予約販売を開始した。希望小売価格は74万9000ウォンで、セラミックピンクとセラミックウルトラブルーの2色展開である。
ダイソンはロボット掃除機などで活用してきたビジョン技術と機械学習に、液体の動きを制御する流体力学を組み合わせ、オーラルケア市場での差別化を試みる。歯ブラシと口腔洗浄器を単純に一体化するにとどまらず、カメラが自律的に歯間を見つけ、液体の噴射地点を決定するようにした。ダイソンはカメラジェットの開発に6年を費やし、エンジニア661人が参加して関連特許38件を出願した。シンガポール国立大学と歯間プラークを研究し、世界各地の歯科専門家30人と協力したほか、製品は1600万行のプログラムコードで駆動する。
ダイソン創業者のジェームズ・ダイソン最高エンジニアは「多くの人はデンタルフロスの重要性を知りながらも、歯間清掃が面倒で時間がかかるという理由で実践していない」と述べ、「ダイソンのエンジニアが10年以上にわたり多様な口腔ケア習慣と口腔内に細菌が蓄積される過程を研究した結果、多くの人がプラークが生じやすい歯間を見落としている事実を確認した」と語った。さらに「カメラと機械学習、流体力学、先端ブラッシング技術、Wi-Fiを組み合わせ、口腔の健康を守る新たな選択肢を提示する」と付け加えた。
◇ 47万枚を学習したカメラが歯間を特定…0.1秒後に"ジェット"
カメラジェットには10万画素のマクロレンズカメラと「ギャップ・オプティカル・ターゲティング(Gap Optical Targeting)」システムが搭載される。歯の画像47万枚以上を学習した機械学習アルゴリズムが毎秒28枚の画像を分析し、歯間の位置と方向を判断する。歯間を捉えると0.1秒で目標地点に液体を自動噴射する。
カメラと照明は毎秒257回点滅し、ブラシヘッドの振動周期と微妙にずれるよう設計した。ブラシ毛が視界を遮らない瞬間に歯を撮影するためだ。液体は一直線ではなく広い円錐形で噴射される。ダイソン側は、細く直線的なジェットよりも円錐形の方が歯間を広く覆い、歯ぐきと歯にやさしく作用すると説明した。
本体には12.5mL容量の「反重力タンク」を搭載した。内部のシリコン膜が液体の減少に合わせて膨張し、空気層を最小化する構造で、製品を立てても傾けても水平に使っても一定して噴射できる。ソニックモーターは毎秒245回、ブラシヘッドは毎秒約1000回振動する。二重構造のブラシ毛とRFID(無線認識)タグを適用し、歯・歯肉縁の清掃とブラシ交換時期の案内機能も提供する。
◇ 浴室で使うカメラ…映像保存を遮断し遠隔実行も防止
カメラはカメラジェットの中核機能であると同時に、消費者の懸念が生じうる部分でもある。製品とスマートフォンのMyDyson(マイダイソン)アプリを連携すると、歯ブラシに付いたカメラが撮影する口腔内をリアルタイムで確認する「ライブビュー」機能を利用できる。どの部位を磨き、どこを見落としたかを確認するブラッシング・歯間清掃情報も提供する。
浴室という私的空間で使う製品にカメラと無線通信機能が同時に入るだけに、Wi-Fiを通じた外部からのアクセスやリアルタイム映像流出の可能性への懸念が生じうる。ダイソン側は、ライブビューは製品本体の物理ボタンを直接押した場合にのみ有効化でき、外部から遠隔で実行することは不可能だと説明した。ライブビュー映像も家庭用Wi-Fiではなく、別の保護された接続で送信される構造だという。
カメラで撮影される画像と映像は、製品とMyDysonアプリ、クラウドのいずれにも保存しない。カメラが作動している間は、製品上部の白色LED(発光ダイオード)が点灯し、使用者が作動の有無を確認できるため、映像流出の懸念はないというのが会社側の説明だ。
◇ 74万ウォンでもカスタマイズドアプリは機器当たり1人対応
価格に見合う使用価値を提供できるかどうかも、市場定着の変数だ。MyDysonアプリでは、使用者がどの部位を磨き、どの歯間を清掃したかを確認できる。見落とした区間を示す歯間清掃範囲マッピングや、ブラッシング習慣に応じたカスタマイズドなフィードバックも提供する。
高額製品だが、複数家族のカスタマイズドデータを1台で個別管理する機能は備えない。MyDysonアプリはカメラジェット1台当たり1人の使用者を前提にブラッシング情報を分析し、複数使用者のプロフィールを別途作成・切り替えする機能もない。カスタマイズドデータ活用の側面では家族共用より個人使用に焦点を当てた構造ということだ。市販の電動歯ブラシの中には本体を共用しブラシヘッドのみを付け替えて複数人が使用できる製品もあるだけに、家族単位での活用度は相対的に下がる。
ダイソンは研究開発(R&D)を通じ、生活の不便を解決する新製品を継続的に投入する戦略を強調してきた。昨年はR&Dに4億ポンド(約7400億ウォン)以上を投じた。創業者のジェームズ・ダイソンは昨年の通期業績を発表し、「最高の性能を発揮する製品を発明することに絶えず集中している」と述べ、R&Dの成果としてAIロボット掃除機と湿式清掃の新製品を挙げた。ハノ・キルナー最高経営責任者(CEO)も「2026年にはこれまで以上に多くの製品を多様な価格帯で披露する」とし、新たな顧客層を拡大する計画を明らかにした。